「App Store」で上位を維持するには--人気アプリの成功例に学ぶ - (page 4)

Josh Lowensohn (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2011年05月19日 07時30分

 一部の無料アプリケーション開発者は、このようなサービスを利用して、自身のアプリケーションを目立たせるとともに、勢いを維持している。DistinctDevもそうした開発元の1つで、2年近くにわたってAppleのチャート上位に留まるヒットゲーム「The Moron Test」の無料バージョンにTapjoyのサービスを実装している。クリエーターのBerkeley Malagon氏は電話インタビューで、その無料バージョンはユーザーを有料バージョンに誘うために存在している、と説明した。

 「順位を押し上げ、戦略的に特定の数字に達するためのメカニズムの1つとしてTapjoyを利用してきた。そのことを問題だとは思っていないが、頻繁に行っているわけではない。優れたゲームを作ることの方が重要だということは理解している」(Malagon氏)

 Malagon氏は、長期的に見るとそうしたシステムは必ずしも良い結果にならないと述べた。「質の高いゲームを作るしかない。出来の悪いゲームを作ってランキングの上位に押し上げることができたとしても、結局は順位が落ちて、お金にはならないだろう。Tapjoyと同システムの操作に関しては多くの議論があるが、出来の悪いゲームを作ってランキング上位に押し上げる行為をいつまでも続けることはできない」(Malagon氏)。

 MobclixのSubramanian氏は、もしAppleが最終的にそうした手法をApp Storeから完全に排除すれば、ほとんどの開発者やパブリッシャーが別の広告形態に軸足を移すという可能性を示唆した。現状でも、多くの開発者やパブリッシャーがある程度の認知度を獲得した後は、最終的にほかの広告形態へ移行している。「インセンティブベースのダウンロードを利用してアプリケーションをApp Storeの上位に送り込んだ後は、開発者やパブリッシャーは通常のメディアの広告枠を購入し始める。すると有機的なダウンロードが発生し始める」(Subramanian氏)

 Appleが最終的にTapjoyのようなサービスを禁止するかどうかは別として、今でも確実なのは、こういったものが精密科学ではないということだ。「Tiny Wings」のようなゲームを見るとよく分かる。Tiny Wingsは開発者のAndreas Illiger氏が1人で開発したゲームで、一時的にAngry Birdsを上回り、リリースから長い時間が経過した後もAngry Birdsを脅かし続けた数少ないアプリケーションの1つだ。このゲームも即座にプレイを開始できる仕組みや、AppleのGame CenterやOpenFeintといったさまざまなソーシャル要素など、本記事で取り上げたほかのアプリケーションと同様の手法を採用している。

 今後の関心事は、開発者がローンチ後に勢いを維持できるようにするためにAppleがどのような仕組みを実装するのか、そして他社はそのニーズを満たすためにどのような手を打ってくるのかということだ。議論の余地はあるにしても、Appleは人気になりそうなアプリケーションを推薦する「Genius」のような機能や、アプリケーションを閲覧、検索、発見するさまざまな手段によって、その基礎を築いている。ただし結局のところ、そもそもアプリケーションに投資する理由を顧客に提案するのは開発者の仕事である。

 「ここでの基本的な教訓は、モバイルソフトウェアやソフトウェア、そしてすべてのコンシューマー製品と同様に、魅力的な製品があるかどうかということだ。それが忘れ去られることを避ける最善の策である。まとめるなら、問題を解決するものを売れば満足してもらえるということだ」(Zotto氏)

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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