一方、Chrome OSはインターネットと切り離せない関係にある。内部には従来型のOS(組み込み型Linux)があるが、システム上のアプリケーションはChromeブラウザ内で実行される。これらはウェブアプリケーションであり、JavaScriptのようなウェブ言語や「AppCache」などのウェブインターフェースを使ってデータを保存し、「WebGL」を使ってハードウェアアクセラレートされた3Dグラフィックスを表示する。適切に記述されたアプリケーションは、Chrome OS搭載ノートPCがインターネットに接続していないときでも動作可能だが、クラウドコンピューティングが必須だ。
それは多くの人にとって問題ないことだろう。レシピを調べることもできるし、Facebookの友人とのやり取り、電子メールへの返信、ウェブフォームへの顧客情報の入力もできる。また、Amazonでの商品注文、YouTube動画の鑑賞、「Google Docs」のスプレッドシートでの予算策定なども可能だ。
ただし1つ大きな問題がある。「Microsoft Office」の実行や「Portal 2」のプレイ、「iPhoto」でのフォトブック作成ができないことだ。あるいは、既に家庭にあるPCを補足するものとしてChromebookを検討している人にとっては、iPad向けの多くのゲームをプレイできないというのは、さらに重要なことかもしれない。
しかしGoogleは小さく始めて後から大きくしていく計画だ。Pichai氏はChrome OSが多くの人の興味を引くと考えているが、Googleは多くのユーザーを獲得するには長い時間がかかることを明らかに自覚しており、初期の製品群のターゲットをそうしたものに興味を抱きそうなマニア層に定めている。Googleはその種が生長して樹木になることを期待している。
「素晴らしいエクスペリエンスを構築して、それを継続的に改善していく。何人かがそれを利用するようになる。その人たちを喜ばせることができれば、メッセージを届けてくれるようになる。すると、ほかの人がそのメッセージを聞きつけて、広まっていく。そうなるとマーケティングができる。そのプロセスを1つずつこなしていかなければならない」(Pichai氏)
この戦略はAndroidとChromeではうまく機能した。Androidは1台の携帯電話、1社の通信キャリア、1つの市場から始まった。Chromeは多くの機能を欠いたまま、Windowsのみに対応するベータ版として出発した。どちらも成長し、Googleは改善を続けている。
「重要なのは進化のペースだ。(Chromeの)リリースサイクルを6週間に短縮したのはそのためだ」(Pichai氏)
ただし、その戦略が例外なくうまく行くのかどうかは分からない。Appleの初代iPhoneの出だしは控えめなものだった(当初は3Gネットワークに対応しておらず、サードパーティー製のアプリケーションも使用できなかった)が、その後成長して驚異的な成功を収めた。「Gmail」も熱心なアーリーアダプターで構成される小さなグループから始まった。
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