E3が見たゲーム業界--巨大見本市を通して振り返る変遷(第2回) - (page 3)

文:Giancarlo Varanini(GameSpot) 翻訳校正:川村インターナショナル2009年07月30日 07時30分

E3 2000--リアルタイムであるはずがない

 いろいろな意味で、E3 2000はE3 1999のリプレイのようであった。またしても、ドリームキャストとPlayStation 2はショーの覇権をめぐって激しく争っていたが、任天堂は思いのほかわい雑な「Conker's Bad Fur Day」とパーフェクトダークを相変わらず展示し、新ハードウェアDolphinに関する新情報を発表するのは任天堂スペースワールドまで待つ構えを見せた。しかし、E3 2000がこれまでの5年間と大きく異なる点が1点あった。4人目のプレーヤーの登場である。従来のハードウェアよりもさらに標準的なPCに近い家庭用ゲーム機の発表を携え、Microsoftが業界に参入してきたのである。その発表はかなりの話題を呼んだが、「Xbox」の発表はあるタイトルのために少々影が薄くなってしまった。それだけでなく、Microsoft製のハードウェアの評判、同社がどれだけのサポートを受けられるのかといった点がその時点では未知数であったことも災いした。

Ravenと、彼女の仲間である巨大ロボがXboxの技術デモに登場。 Ravenと、彼女の仲間である巨大ロボがXboxの技術デモに登場。

 はっきり言えば、Xboxは(会場に並んでいたほぼすべてのものも同様であったが)、ある1本のトレイラーの前にかすんでしまったのである。高い人気を誇り、何百人、とはいかなくとも何十人という人がもう一度見ようとスクリーンの前で列を作る。それこそ、「メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」のトレイラーであった。「鉄拳タッグトーナメント」や「MADDEN NFL スーパーボウル 2001」など、多くのPlayStation 2向け大型タイトルのプレイアブル版が並ぶなか、小島秀夫氏によるメタルギア ソリッドの続編はほかの何よりも人々の注目を集めていた。多くの人々は、これこそドリームキャストとPlayStation 2のグラフィック能力の違いを示す、初の本格的なデモ映像と言い切った。実際、そのあまりの出来の良さに、本当にリアルタイムムービーなのかと疑問を持つ者さえもいた。そして、会場での質問攻めののちに小島氏は冒頭の天候エフェクト以外、トレイラーはすべてリアルタイムムービーであることを明らかにした。

 メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティのトレイラーやPlayStation 2のラインアップは来場者に強い印象を残したが、セガブースも数々のドリームキャスト向けタイトルを並べての壮観な眺めであった。「ジェットセットラジオ」「サンバDEアミーゴ」「ファンタシースターオンライン」「エコー・ザ・ドルフィン」「シェンムー 一章 横須賀」といったドリームキャストのこれまでの最高作品ともいうべき作品が並び、特に「シーマン〜禁断のペット〜」は、どんなタイトルよりも非常識なその内容が大いに話題を呼んだといえる。もちろん、ブース奥近くの巨大な壁に据え付けられた舞台上でコスプレダンサーたちが踊っていた「スペースチャンネル5」の巨大な展示も、セガブースへの注目を集めるのに一役買っていた。

 また、「Halo」と呼ばれるタイトルのトレイラーも展示され、声は大きく違ったものの、コヴナントのエリート族とマスターチーフ本人の初期の映像が流されていた。当時、HaloはまだPCとMac向けのプロジェクトであったが、数カ月後にMicrosoftがBungie Studioを買収したことで、Haloは依然PCとMac向けとの念押しにもかかわらず、Xboxのローンチタイトルになるのではと憶測を呼んだ。

E3最優秀コメント:
 「PlayStation 2はゲームエンターテインメントの未来の姿ではない。エンターテインメントそのものの未来の姿なのだ。まったく新たなプラットフォームであり、ブロードバンド革命のけん引役となるだろう」
-Sony Computer Entertainment America社長兼最高執行責任者(COO)(当時)の平井一夫氏

 第3回へ続く(隔週で公開)。

この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。 原文へ

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