「暗闇や(水中で光がどのように屈折するか)、そして水中での微粒子の浮かび方について学ばなければならなかった」(May氏)
そして「カールじいさんの空飛ぶ家」でも、さらなるアニメーションの課題が存在した。その中には、この映画の主要なキャラクターであるケビンという鳥の羽をどうアニメーション化し、レンダリングするか、また(主人公)カールの洋服の生地を本物らしく見せるにはどうすればよいかが含まれていた。
カールの洋服は「ここでアニメーション化しなければならなかった衣服の中で最も難しいものだった」とMay氏は語る。「その理由の1つは、カールが大きすぎるスーツを着た(小さい)男性だったことだ。これも物理シミュレーションを使用し、生地の動きについてのルールを設定したケースだった。衣服がゆるくなるほど、大きく動くようになる」(May氏)
さらに、カールの頭部は立方体に近い形をしているため、カール自身をアニメーション化するのも難しかったとMay氏は言う。
「カールじいさんの空飛ぶ家」のほかの多くの要素と同様、カールの四角い顔も監督の適当な思い付きではない。むしろストーリーの要素だ。May氏の説明によれば、カールのキャラクターは、若いときには活発で冒険好きだった人物がベースになっているという。だが年を取るにつれ、彼の小さな家はビルにどんどん囲まれていき、「彼の世界が彼を四角く押しつぶしてしまったようだ」
だから立方体のような顔なのだ。しかし、カールの顔の表情をアニメーション化するには、この四角い形に合わせなければならず、複雑な作業だったとMay氏は言う。例えば笑顔は、ほおから始まってほお全体を覆うようにしなければならなかった。
それでも、Pixarの受賞歴のある映画制作者にとっての目標は、アニメーション上における最難題であっても、銀幕上ではさりげなく見えるようにすることだ。
プロデューサーのJonas Rivera氏は次のように表現した。「観客は(風船の束を)見て、『これはきれいだ』と言う。しかし、これにどれほどの労力が費やされたかは知らない。これには1年以上かかった。(次に)子どもが帽子を脱いで、髪の毛を指でかき上げる。わたしの母は、これに15人が6週間かけたことを知ることはないだろう」
この記事は海外CBS Interactive発の記事をシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。原文へ
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