それでも、Twitterは表面的には不正使用に対するいくつかの予防手段を備えている。同サイトのサービス規約には、ユーザーは「他のTwitterユーザーを虐待、嫌がらせ、脅迫し、そのユーザーのふりをしたり、または脅したりしてはならず」、Twitterは「われわれの独自の決定権によって非合法、侮辱的、脅迫的、中傷的、わいせつ、またはその他の好ましくない、またはあらゆる関係者の知的財産を侵し、またはこれらの使用条件に違反していると判断したコンテンツやそのコンテンツを含むアカウントを削除することがあるが、当社はそれに関する責任は一切負わない」とうたわれている。
Waldman氏の苦情に対するTwitterの共同創設者であるBiz Stone氏からの最終的な返答は、「Twitterは通信ユーティリティであって、コンテンツの調停者ではなく」、「Twitterは個人間のコンテンツをめぐる論争を判断する能力は持ち合わせていないと認識している。単なる更新と侮辱との間の区別は、Twitterも大衆も適切に判断できるものではない」と主張するものだった。Stone氏はさらに、Twitterのチームはどのような状況がアカウントの停止にふさわしいかを今後も引き続き話し合っていくと付け加えた。
しかし、Waldman氏が指摘したように、Flickr、Digg、そして同氏が勤務するPownceなどの他のオンラインサービスは、はるかに自由放任主義の度合いが低く、頻繁にアカウントを停止している。Waldman氏は、カオスな状態にあるウェブにおいては嫌がらせメッセージはID管理の問題となると述べたが、じつにまっとうな懸念である。
「誰でもTwitterを使用してくりかえしあなたに嫌がらせをし、あなたのIDの検索結果を嫌がらせの単語でいっぱいにすることができ、しかもTwitterは一切のコミュニティー管理の手段を実行しようとしない」とWaldman氏は書いている。
これによって、Twitterが本質的に通信のサービスかコミュニティーのサービスかという問題に立ち戻ることになる。複数のソーシャルメディアサイトに通用する普遍的なサービス規約の基準は存在しないし、ほとんどのウェブユーザーはそのようなものが存在するべきではないという点でおそらく同意するだろう。異なるサービスは異なるオーディエンスや年齢層を引きつけるのであり、その結果、異なる文化が生まれるのだ。
Waldman氏のような状況に対して、より不干渉のアプローチを取り、DiggやFlickrでは許されない対話を許可したいというのであれば、TwitterはMetaFilterのようなどんな発言でも許されるフォーラムと同列に身を置くことになる。
Twitterは「われわれは状況を検討する」という反応をすることによって、結果的により断固たる態度を取っているように見えるが、同時に自身を何でもありの自由な発言のはけ口としてブランド化するのであれば、おそらくTwitterにとってプラスにならないだろう。報道によると、Twitterは新しいベンチャーキャピタルからの出資を受け、よりメインストリームの支持を得たいと試みているようだが。
「それこそ多くの異論がある点だと思われる」とWaldman氏はCNET News.comに語った。「Twitterは取り締まりの仕事を引き受けたくないようであるが、Twitterのユーザーはもう少し取り締まりが実施されるコミュニティーにいることに慣れているとわたしは想像する」(Waldman氏)
いずれにしても、Waldman氏がいうところの「コミュニティー管理」はTwitterが迅速に解決しなければならない問題である。Twitterがシリコンバレーの文化からさらに突出するようになるにつれて、はるかに生ぬるい状況に非難の声を上げるユーザーに常に対処しなければならなくなるだろう。Twitterの有名なサービス障害と同じように(同社はこの障害に対してついに今週になって詳細に釈明したが)、虐待や嫌がらせはTwitterが単に無視することのできない問題なのである。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
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