Deboehmler氏によると、チェアやソファなど多くのIKEA製品にはスウェーデンの町の名前が付けられているという。「だからスウェーデンの各地を車で走っているときに、突然この町の名前はソファにぴったりだとひらめいたりする」とDeboehmler氏は笑う。
それでは、IKEA製品を組み立てる際に使用されるさまざまな金具類についてはどうなのだろうか。一見したところ、10種類余のねじ、ボルト、締め具、留め具などが使用されている。
Marston氏によると、実はIKEAでは製品のデザインで使用される金具類の点数をなるべく減らそうと努めているという。多くの製品が複数の工場で製造され、多くの国々に出荷されていることもその理由である。
「何年か前に誰かが、製品で使用されている金具類の種類を少なくしたらさらに効率化できるという画期的なアイデアを思いついた」(Marston氏)
デザインチームも、製品を目立たせる方法を模索している。
Lillbergチェアのデザイン時に、チームがいわゆる「あり継ぎ」(鳩の尾継ぎ)を採用することにしたのもその理由からだ。あり継ぎとは2片の木材の凸部と凹部を組み合わせる接合方法の1種である。
「生産ラインであり継ぎを作るはきわめて難しい。うまくできるかわからなかったが、なんとか成功させた」(Deboehmler氏)
あり継ぎを採用する利点とは何なのか。
「あり継ぎはあらゆる高級家具に使用されているデザイン上の特徴なのだ。だから高級家具に関する知識のある人であればそれを1つの特徴として認識するだろう」(Marston氏)
IKEAは倉庫の効率を最大限に高める方法も模索している。
「当社のパレットのサイズは2種類しかない」とMarston氏は述べる。パレットとは荷物を載せる木製の台のことだ。「当社の倉庫はこれら2種類のパレットサイズに適合するように寸法と設計が決められている。これはすべて効率を考えてのことである。というのはイノベーションのコストが低く抑えられるからである」(Marston氏)
IKEAはヨーロッパの一部の倉庫で、荷物をつかんで非常に高い棚から下ろすロボットを使用している。
ロボットに照明は不要なのでこれらの工場は暗く、ロボットは1日24時間稼働して荷物を棚から下ろしたり、あちこちに運んだりしているとMarston氏は語る。
「狭い通路の上に立つと、12個のパレット(縦に積み重なっている)を使用しているこの巨大な倉庫でロボットが電子式のセンサーによって前後に動き回っている様子を見ることができる」(Deboehmler氏)
Deboehmler氏によると、IKEAでは常時、5〜10種類の新製品が開発中である可能性が高く、その中には今年発売される製品もあれば、来年、再来年に発売される製品もある。
「それは継続的なプロセスなのだ。1年のサイクルには本当の意味で始まりも終わりもない。常に継続している」(Deboehmler氏)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをシーネットネットワークスジャパン編集部が日本向けに編集したものです。海外CNET Networksの記事へ
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス