B・ゲイツ氏の「創造的資本主義」は世界にとってプラスか? - (page 2)

文:Declan McCullagh(CNET News.com) 翻訳校正:矢倉美登里、大熊あつ子、緒方亮、福岡洋一2008年02月12日 11時05分

 一部のグループの間では、こういう話を口に出すのは政治的に正しくないかもしれないが、「創造的資本主義」にはもっと強力な反論がある。それは、利益は社会への奉仕から生まれるというものだ。利益が大きいのは、企業がそれだけよい仕事を成し遂げたからと判断できるという傾向がある。利益の最大化は、それ自体が価値ある目標なのだ。

 ノーベル賞を受賞した故Milton Friedman氏はこのことを、1970年にThe New York Times Magazineに寄稿した有名なエッセイ「企業の社会的責任は企業の利益を増やすこと」の中に書いた。Friedman氏は2005年に、この問題をさらに詳しく取り上げ、社会的責任論は「社会主義者の考え方」であり、運動家は利害関係者ではなく「企業経営上の問題」だと述べている。

 もちろん中には、「社会的」な目標を掲げることで利益を増大させてきた企業もある。たとえば、Ben & Jerry's、Celestial Seasonings、Patagonia, Stonyfield Farm、Whole Foods Marketなどだ。自由市場を提唱するT. J. Rodgers氏が経営するCypress Semiconductorは10年以上にわたって、従業員数1人あたり最も多くの食糧を援助した会社として表彰され続けている。Rodgers氏はこのことについて、「従業員の勤労意欲が大いに高まり、新入社員を引きつけることにもなる。会社にとってよい宣伝になるし、コミュニティーにとっても大きな利益がある。こうしたことはすべて、職場として、また投資先として、Cypressの魅力を増すことにつながる」と話している

 社会的責任を果たすことが好ましい報道記事を生み、年間何百万ドルという広告費を節約できる巧みな広報活動にもなることを、Rodgers氏は率直に認めている。

 Ben & JerryのBen Cohen氏とJerry Greenfield氏は、「社会的責任」という考え方と1960年代の精神を、年を重ねたベビーブーム世代に投げかけ、「Cherry Garcia」(チェリーとチョコのアイスクリーム)や「Dave Matthews Band Magic Brownies」(バニラとラズベリーとブラウニーのアイスクリーム)をたくさん食べてもらって大金を稼いだ。

 しかし、2007年12月にNewsweek誌に掲載された記事は、Ben & Jerryの「社会的責任」には容赦のない戦術が含まれていて、不満を抱いた複数のフランチャイズ店が、イメージの甘さからはほど遠いとして訴訟を起こしたことを報じている。BenとJerryの両氏はとうの昔に、ボディスプレーの「AXE」、スキンケア用品の「Vaseline」、ヘアスプレーの「Lux」など、環境志向とはなじまない化粧品メーカーのUnileverに、会社を売却してしまっている

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