レベルファイブ 日野晃博氏に聞く--次の10年のために新しい作品を生み出すこと - (page 3)

--それら多彩なプラットホームに供給しなければならないメーカーとして、ゲームの作り方は変わりましたか?

 ニンテンドーDSのユーザー自体が、これまでのゲーム機とは全然違いますよね。ゲームをこれまでやらなかった人たちがたくさん持っているハードだと思います。

 そういう人たちがゲームを見てくれる、今はそういう意味でもチャンスだと感じています。いままでゲームをやらなかった人たちは、「脳トレ」が話題になっているから、それを遊ぶためだけに買った人たちかもしれません。でも、その他にもいろいろなゲームがニンテンドーDSでは遊べて、そのゲームとは面白いものだと、これまでゲームを遊ばなかった人たちが遊ぼうとしてくれている訳です。

日野晃博氏

 僕らは、そういう人たちがニンテンドーDSにたくさんいるということを視野に入れて「レイトン教授」シリーズのゲームデザインをおこないました。

 ゲーマーと呼ばれる人たちはもちろん、これまでゲームを遊んでこなかった一般の人たちが喜ぶ作りになっています。そういうターゲットにあったゲームデザインはこれから必要になってきていると思います。

 裏を返せば、PS3の「白騎士物語」では、一般の人が買うというよりもゲームが好きな人たちが買うというのが見えているので、そういった作りにしなければならないということです。

 ですから、「レイトン教授」シリーズをゲームがすごい好きな人が遊ぶと物足りないと感じるかもしれませんし、ライトな人たちが「白騎士物語」を遊ぶと、"こんなに難しいのは遊べない"と思うかもしれません。

--今後、ゲームの世界はどのように広がっていくとお考えですか

 僕には分からないですけれど、ただ、ある特定の層にだけ支えられていたという、これまでのゲーム市場の構成が特殊だったというのはあると思います。

 いまはニンテンドーDSのおかげで、一般のゲームをやらなかった人まで含めて、ゲームを遊ぶようになりました。

 みんなが知っていて、みんなが持っているという状況は、ゲームがテレビや映画に近いメディアに、少しずつ変わってきていることだと思うんですよね。

 携帯電話をみんなが持っているように、ゲームもみんながなにかしらの機械を1台ずつもっているくらいになると、ゲームの作り方も変わってくるでしょうし、ゲームも更にいろいろなタイプが作れるようになるでしょう。

--そのためにはどういった施策が必要でしょうか

 テレビ番組がたくさんあるように、ゲームもたくさんの種類が必要だと思います。

 ゲームのあるジャンルはたくさん供給されていますが、幅広い層に訴えかけるには偏りがあります。

 ロールプレイングゲームの世界は必ずファンタジーで、剣と魔法の冒険をしなければならない……とかね。そういうゲームのある部分はたくさん供給されているけれど、21世紀の日本を舞台にした、現代のテレビドラマみたいな普通の町を舞台にしたゲームはほとんどありません。

 幅広い層へ訴えかけるためには、このようなジャンルとしても作品性としても偏りがある昔からの通例みたいな考えをやめて、テレビとか映画のようなジャンルの広がりを見せなければならないと思います。

 「こういうものをゲームってつくらないと売れないよね」というルールで、仕方なくみんな通例としている所もあります。そういった事がだんだんと無くなってビジネスになるようになっているのが、ニンテンドーDSの世界だと思います。

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