最近のベンチャー企業の動向としては、NASDAQの上場基準が高くなっていることから、英国や日本、香港での上場を目指す企業が増えてきているという。ただし、ミッドステージにあるベンチャー企業へのVCの投資が「バブルになってきている」(茶尾氏)という点には注意する必要があるとした。
また、今まで帰国子女の人が中国で起業していたが、最近ではその企業の部長クラスの人がスピンアウトとして会社を興す「第2世代のアントレプレナーが出てきている」(茶尾氏)という。
今後有望な市場として茶尾氏は、Web 2.0関連やEC、アウトソーシングのほか、映像やデータの処理をするアナログ半導体などの分野を挙げる。
ECの分野は、中国でクレジットカードを持っている人が少ないことや、オンラインでの値切り交渉が難しいこと、国土が広く物流の面で課題があることなどからこれまであまり成長してこなかった。ただし最近ではCDや本、化粧品を中心にECの利用が進んでいるという。
Web 2.0と呼ばれる分野については、オンライン広告市場規模が小さい点がネックになっている。同市場の規模は約300億円とまだ未成熟のため、サービス運営費をまかなうことが難しいというのだ。「5年、10年の期間で見ればWeb 2.0の市場は非常に面白いが、今本当にお金をもうけられるかというと厳しい」(茶尾氏)
Liu氏はWeb 2.0サービスを提供している立場から、中国でWeb 2.0サービスを手がける際の注意点として、中国のネット普及率の低さを挙げた。普及率はわずか10%程度のため、例えばSNSでも「自分の友達とかならずインターネットでつながる」といった状況は作りにくい。そこでOak Pacific Interactiveでは、大学生に特化したSNSに焦点を当てた。大学であれば必ずインターネットが普及しており、ユーザーのコンピュータリテラシーも高いというのがその理由だ。
また、動画共有サイトだけを見ても150社以上が乱立している状況のため、こういった分野にこれから投資する場合にはコンテンツが本当に優良か、サービスがきちんと価値を持っているかを見極めたうえで投資し、ビジネスモデルを構築していかないと難しいとの考えを示した。
中国には海外資本のインターネット企業も多く参入しているが、実際にうまくいっている例は少ないようだ。AmazonやeBayが中国のトップ企業を買収して参入したが、「その後ナンバー2に落ちてしまう例が多い」(茶尾氏)。これは人事政策がうまくいっていないためだといい、海外からの人で経営陣を固めようとすることで創業者が退社したり、ほかの従業員との給与の差が大きくなりすぎて社内で問題になるといったことが起きるためだとした。
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