中堅・中小企業がモバイルを活用する上で押さえておきたいチェックポイント

梅田正隆(ロビンソン)2010年09月28日 11時00分

 本連載の第1回、第2回ではリモートデスクトップサービスの仕組みとメリットを紹介し、第3回ではスマートフォンにおける最近のインシデントの事例を見ながら、モバイルのセキュリティ面での課題を取りあげた。最終回となる今回は、中堅・中小企業が選択可能なモバイル通信サービスについて、具体的な製品やソリューションを見ながら、選択の際のチェックポイントを確認していくことにしよう。

 モバイル活用を進めていく上で、企業のITマネジメントが気にするのは、セキュリティを含む運用管理性と、導入費用や通信費などのランニングコストだろう。前回述べたように、魅力的なスマートフォンを安全に活用していくには、その運用管理に専用の管理サーバ等の仕組みが必要だ。そこで今回は、モバイルPCとモバイル通信とを組み合わせたモバイル環境を前提として、中堅・中小企業のモバイル活用を検討してみることにする。

高速なWiMAXは、カバーエリアの確認がポイントに

 前回も述べたようにセキュリティの観点から、社外のフリースポットやネットカフェ等の非セキュアな環境から、社内ネットワークにアクセスさせたくはないだろう。アクセスポイントを制限するという意味では、非セキュアな環境からのアクセスは許可せず、通信が暗号化され、しかも発信者番号や電子証明者、認証キー等を用いた多要素認証が行える、モバイル通信キャリアのデータ通信サービスからアクセスのみを許可する方が安心だろう。

 そこでまず、モバイルワーカーの通信の足回りとなるモバイルデータ通信インフラとなる、主なモバイル通信キャリアが提供する法人向けモバイルデータ通信サービスを整理しておこう。


図1:通信キャリア各社の法人向けモバイルデータ通信サービス(画像クリックで拡大表示)

 ご存じのとおり、現状、帯域(通信速度)についてはモバイルWiMAXが圧倒的に優位に立っているが、人口カバー率については、まだ拡充を進めている最中だ。カバー率の観点でユニークなのが、モバイルWiMAXとCDMAを合体したKDDIの「WINシングル定額 WiMAX」。1台でWiMAXとWIN(CDMA)の両通信方式に対応し、モバイルWiMAXのエリア外ではWINでカバーすることが可能だ。例えば都市部と農村部を行き来するようなモバイルワーカーには適している。
 全体に言えることは、サービスを選択する際には、そのデータ通信サービスが自社のモバイルワーカーが活動する地域で本当に利用可能かを確認する事だ。無料トライアル等のサービスがある場合、必ず活用し、検証することを勧めする。

 通信料金については、図1では中堅・中小企業の検討対象となりそうな通信キャリア各社のプランの中から「2段階定額」の料金プランを紹介している。いわゆる通信量は一切考慮しない「データ定額」のプランを提供するキャリアもあるが、場合によっては従量制よりも割高になってしまうことがあり、データ定額がつねに割安とは限らない。自社のモバイルワーカーのトラフィック量を把握して適切なプランをお選びいただきたい。

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