中堅・中小企業がモバイルを活用する上で押さえておきたいチェックポイント - (page 2)

梅田正隆(ロビンソン)2010年09月28日 11時00分

モバイルPCにデータを残さない仕組み

 モバイル活用においては、モバイル端末側にデータを残さない仕組みがあると安心だ。続いて、ソリューションベンダから提供されている「リモートデスクトップサービス」をいくつか確認していく。

 ここで述べるリモートデスクトップサービスとは、社内のクライアントPCにリモートからアクセスして、社内にいるのと同様のPC操作を社外からでも行える仕組みを提供するサービスのことだ。実際には、社内のクライアントPCに表示されるデスクトップの画面イメージを社外のリモートPCに転送して、画面イメージを使って社内のクライアントPCを遠隔操作する。社外に送られてくるのは画面のイメージ情報だけであり、実際のファイル等は転送されないためモバイルPC側にデータが残ることがない仕組みになっている。ここでは中堅中小企業にとって導入しやすいと思われるサービスを紹介しよう。

DoMobile ASPサービス

 日立ビジネスソリューションが提供する「DoMobile ASPサービス」は、低価格でリモートデスクトップを実現することができるASPサービスだ。リモートPC側と本社側にインターネット接続環境があれば、同社の「DoMobile ASPセンター」の中継サーバを経由してリモートデスクトップを実現する。基本的にリモートPCから社内のクライアントPCまでの通信は暗号化され、最低限のセキュリティ対策はなされている。リモートPCに送信されるのは画面イメージだけであり、ファイルの送信は行われないためリモートPCにデータが残ることはない。また、通信プロトコルはhttpsであるため、既存のファイアウォールやネットワーク構成を変更する必要はない。初期費用としては、企業登録が10,500円/企業、ユーザ登録が1,050円/ユーザ。サービス月額利用料が1,575円/ユーザとなっている。

モバイルオフィスゲートウェイ

 富士通ネットワークソリューションズが提供する「モバイルオフィスゲートウェイ」は大掛かりな設備投資をすることなく、リモートデスクトップをスモールスタートできるサービスだ。コンパクトなモバイルオフィスゲートウェイ(298,000円/台)を導入するだけでリモートデスクトップ接続を実現することができる。既存の認証基盤やリモートアクセスインフラや、VPNサービスと組み合わせることも可能だ。また、リモートデスクトップ接続ファイル設定をシステム管理者側で一括して設定し配布することができる。モバイルオフィスセグメントコントローラ(118,000円/台)を導入すれば、社内クライアントPCの電源を必要にときにリモートから投入することも可能になる。

セキュアPCアクセス

 KDDIが提供する「セキュアPCアクセス」は、KDDIのセンターシステムを経由して、VPNでリモートPCから社内のPCに接続するサービスだ。ユーザ企業がサーバ等を導入する必要がはない。前述したモバイルWiMAXとCDMAの両方に対応したハイブリッドなデータ通信端末を組み合わせて利用することが可能。もちろん社内PCを遠隔操作しても、リモートPCにデータは残らない。携帯電話とUSBキーを用いた多要素認証方式を採用したセキュアなリモートアクセスが特徴。初期費用は初期登録費用が1契約あたり10,500円、月額費用が1,050円/IDとなっている。オプションとしてWOL機能(500円/ID)もある。

 いずれのサービスも、既存のシステムに対するインパクトが少なく、小さく始められるサービスであり、中堅・中小企業が無理なく導入できるサービスだと思われる。なお、先に紹介したデータ通信端末の利用料金については1プランの料金を例示したものであり、くれぐれも自社の通信量に合わせて最適なプランを選択していただきたい。また、すでに利用している携帯電話の契約を含めた割引等が受けられる可能性もあるため、モバイル通信キャリア各社に問い合わせていただきたい。

CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)

-PR-企画特集

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]