業務アプリケーション視点から見た中堅・中小企業のハイブリッドクラウド動向

ノークリサーチは業務アプリケーションの視点で見た場合の中堅・中小企業におけるハイブリッドクラウド動向に関する分析結果を発表した。

<ハイブリッドクラウド提案では、業務アプリケーションの運用形態から見た視点も持っておくべき>
■「ハイブリッドクラウド」には異なる3つの捉え方があり、特定の1つに偏らない提案が大切
■生産管理システムについてはハイブリッドクラウドではなく、パッケージ/SaaSの併存状態
■ワークフロー・ビジネスプロセス管理では、販売チャネルが運用形態とも深く関連している

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2024年3月4日

業務アプリケーション視点から見た中堅・中小企業のハイブリッドクラウド動向

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は業務アプリケーションの視点で見た場合の中堅・中小企業におけるハイブリッドクラウド動向に関する分析結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」のサンプル/ダイジェストにハイブリッドクラウド関連の分析を加えたものである。

<ハイブリッドクラウド提案では、業務アプリケーションの運用形態から見た視点も持っておくべき>
■「ハイブリッドクラウド」には異なる3つの捉え方があり、特定の1つに偏らない提案が大切
■生産管理システムについてはハイブリッドクラウドではなく、パッケージ/SaaSの併存状態
■ワークフロー・ビジネスプロセス管理では、販売チャネルが運用形態とも深く関連している


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■「ハイブリッドクラウド」には異なる3つの捉え方があり、特定の1つに偏らない提案が大切
昨今では、中堅・中小市場においてもハイブリッドクラウドに該当するIT活用形態を見る機会が徐々に増えてきている。一般にハイブリッドクラウドと言った場合には以下のように狭義と広義の2つの捉え方があり、さらに広義の捉え方はITインフラ視点と業務アプリケーション視点の2つに大別することができる。
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業における生産管理システムの運用形態を導入済み(現状)と新規予定(今後)で比較したものだ。(運用形態の選択肢に関する詳細は次頁を参照) 生産管理は元々オンプレミス比率の高い業務システム分野だが、IaaS/ホスティングやSaaSの形態も無視できなくなっていることがわかる。IT企業ではITインフラ視点の広義の捉え方によるハイブリッドクラウドの訴求が目立つが、ユーザ企業は業務アプリケーション視点でオンプレミス/クラウドの使い分けを模索することが少なくない。そのため、IT企業としても特定の捉え方に偏ることなく、「上記のグラフは社内設置パッケージからSaaSへの遷移を示唆しているのか、それとも併用なのか?」などを見極めることが大切となってくる。 次頁以降では、そうした観点での分析結果を述べる。


■生産管理システムについてはハイブリッドクラウドではなく、パッケージ/SaaSの併存状態
本リリースの元となる「2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」では、有効回答件数1300社の中堅・中小企業(年商5億円未満、5~50億円、50~100億円、100~300億円、300~500億円)を対象に ERP、生産管理、会計管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、ワークフロー・ビジネスプロセス管理、コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービスの10分野に渡る業務アプリケーションの運用形態を集計/分析している。運用形態の選択肢は以下の通りだ。 業務アプリケーション運用形態の選択肢
<<パッケージ>>
・パッケージ(社内設置) ※1 ハードウェア/OS/ミドルウェア/パッケージを自社で購入し、社内に設置して利用する
・パッケージ(データセンタ設置) ※2 ハードウェア/OS/ミドルウェア/パッケージを自社で購入し、データセンタに預けて運用する
・パッケージ(IaaS/ホスティング利用) ※3 ハードウェア/OSのいずれも自社では購入せず、IaaS/ホスティングを基盤としてミドルウェアやパッケージを購入/導入して利用する
<<独自開発システム>>
・独自開発システム(社内設置) ハードウェア/OS/ミドルウェアを自社で購入し、自社向けに独自開発されたシステムを社内に設置して利用する
・独自開発システム(データセンタ設置) ハードウェア/OS/ミドルウェアを自社で購入し、自社向けに独自開発されたシステムをデータセンタに預けて運用する
・独自開発システム(IaaS/ホスティング利用) ハードウェア/OSのいずれも自社では購入せず、IaaS/ホスティングを基盤として自社向けに独自開発されたシステムを利用する
・独自開発システム(PaaS利用) ハードウェア/OS/ミドルウェアのいずれも自社では購入せず、PaaSを基盤として自社向けに独自開発されたシステムを利用する
<<SaaS>>
・SaaS利用 ※4 ハードウェア/OS/ミドルウェア/パッケージを購入せず、SaaS形態のサービスを利用する
前頁のグラフは導入済み/新規予定の生産管理システムの運用形態を尋ねた結果から、※1~※4の値を抜粋したものである。さらに、「パッケージ」(※1~※3)と「SaaS利用」(※4)において、他の形態を併用している割合を集計した結果が以下の数表だ。
「パッケージ」での「SaaS利用」の併用(赤点線枠)、「SaaS利用」での「パッケージ」の併用(青点線枠)共に「導入済み」と比べて「新規予定」の方が同程度または低い値となっている。つまり、現段階の中堅・中小企業の生産管理システムではパッケージとSaaSの併用によるハイブリッドクラウドが拡大する兆候は見られず、両者が併存している状況と言える。したがって、ITインフラを主力とするベンダや販社/SIerとしては、中堅・中小向け生産管理に関してはオンプレミスサーバ環境のIaaS/ホスティングへの移行/拡大よりも、パッケージ/SaaSの双方をカバーした管理/運用ツールの訴求に注力した方が堅実だ。ただし、こうした傾向は業務アプリケーション分野によって異なってくる。次頁ではワークフロー・ビジネスプロセス管理における動向について述べる。


■ワークフロー・ビジネスプロセス管理では、販売チャネルが運用形態とも深く関連している
さらに、本リリースの元となる調査レポートでは業務アプリケーションの運用形態だけでなく、それらをどのようなIT企業から導入したのか?についても、右記の選択肢を設けて尋ねている。
導入元に関する選択肢
・最も主要な委託先/購入先 (プライムの販社/SIer)
・主要ではない委託先/購入先
・開発元ベンダからの直接購入
例えば、ワークフロー・ビジネスプロセス管理はコロナ禍や法制度対応(インボイス制度、改正電帳法)に起因するペーパレス化の進展によって、中堅・中小企業におけるSaaS導入が活発化している業務アプリケーション分野だ。 ただし、申請/承認の際に参照する様々なマスタ情報は依然としてオンプレミスに配置されているケースも多く、業務アプリケーション視点で見たハイブリッドクラウドの状態となりやすい。 では、その際にハイブリッドクラウドに向けた取り組みの起点として望ましいのはオンプレミスのパッケージとSaaSのどちらだろうか?
それを知るためのヒントとなるのが以下のグラフである。これはワークフロー・ビジネスプロセス管理の運用形態(前頁に記した※1~※4の項目)の割合を導入元(販売チャネル)の種別に分けて集計したものだ。
ユーザ企業から見た時に「最も主要な委託先/購入先(プライムの販社/SIer)」を導入元(販売チャネル)としてワークフロー・ビジネスプロセス管理を導入した場合は「パッケージ(社内設置)」の値が高く、「SaaS利用」の値が低い。 逆に、導入元が「主要ではない委託先/購入先」である場合には「SaaS利用」の値が相対的に高くなっていることがわかる。 つまり、SaaSを起点としてハイブリッドクラウドに取り組んだ場合にはプライムではない比較的新興の販社/SIerによる支援となる
可能性が高く、オンプレミスのパッケージを起点とした場合は従来から実績のあるプライムの販社/SIerによる支援が中心となる可能性が高い。前者はクラウド間連携を含むモダンなシステム構築では有利だが、既存システムとのデータ連携では苦慮する場面もあるかも知れない。後者に関しては、その逆が当てはまる。このようにワークフロー・ビジネスプロセス管理におけるハイブリッドクラウドの取り組みに際しては、導入元(販売チャネル)という要素も考慮しておく必要がある。 ここでは生産管理とワークフロー・ビジネスプロセス管理における運用形態の傾向を元に、業務アプリケーション視点で見た時
のハイブリッドクラウド訴求の留意点を述べた。本リリースの元となる調査レポートではERP、会計管理、販売・仕入・在庫管理、給与・人事・勤怠・就業管理、コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)、CRM、BI、文書管理・オンラインストレージサービスといった他の業務アプリケーション分野の運用形態についても詳細な集計/分析を行っている。ITインフラの視点だけでなく、業務アプリケーション視点も踏まえたハイブリッドクラウド提案を進める際は、そうした分野毎の違いを把握しておくことが大きな差別化要素となってくる。また、ITインフラ視点でのハイブリッドクラウド提案における留意点は今春発刊予定の「2024年版 サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート」で詳細を述べる。


本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
10分野に渡る業務アプリケーションの導入済み/導入予定の社数シェア、 運用形態(オンプレミス/クラウド)、端末形態、導入年、導入費用、課題、ニーズを全て網羅した中堅・中小市場のIT活用提案における必携書 【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~10億円未満 / 10億円以上~20億円未満 / 20億円以上~50億円未満 /50億円以上~100億円未満 / 100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 10人未満 / 10人以上~20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 /100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満/ 500人以上~1,000人未満 /1,000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 流通業(運輸業) /IT関連サービス業 / 一般サービス業 / その他:
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 /四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分) 【全体の構成】
有効回答件数1300社の中堅・中小企業に対して、まず最初に以下に列挙した10分野の業務アプリケーションのうちで 導入済み/導入予定の分野を尋ねる。その後、「導入済み/導入予定」と回答した分野について、製品/サービス名称を列挙した社数シェア、運用形態、端末形態、導入年、導入費用、課題とニーズ(分野によって選択肢は異なる)を尋ねた結果を集計/分析している。
また、業務アプリケーションの導入/更新に関する全般的な方針についても尋ねている。 P1. ERP
P2. 生産管理
P3. 会計管理
P4. 販売・仕入・在庫管理
P5. 給与・人事・勤怠・就業管理
P6. ワークフロー・ビジネスプロセス管理
P7. コラボレーション(グループウェア/ビジネスチャット/Web会議)
P8. CRM 
P9. BI
P10. 文書管理・オンラインストレージサービス
【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の概要】
各分野について10~20ページからなる分析サマリが計10ファイル、「業務アプリケーションの導入/更新に関する方針」をまとめた分析サマリが1ファイル、さらに全分野を横断する形で法制度対応およびデータ分析/生成AIに着目した分析サマリが2ファイルの計13ファイルのPDFドキュメントが収録されている。P1~P10の10分野の分析サマリは以下の章構成となっている。(章構成は共通だが、分析/提言の内容は各分野の傾向や特性に応じて大きく異なる)
第1章:製品/サービスの導入状況とシェア動向
製品/サービスの「導入状況」、「製品/サービスの導入社数シェア」、最も主要な製品/サービスの「導入年」、「導入元」、「評価概況」といったデータの中から、分野毎に重要なポイントを分析している。
第2章:運用形態と端末環境
最も主要な製品/サービスにおける「運用形態」と「端末環境」に着目し、クラウド移行の状況や端末環境の多様化などについて分野毎の傾向を分析している。
第3章:製品/サービスの評価、課題、ニーズ
最も主要な製品/サービスに関して「評価/満足している機能や特徴」「現時点で抱えている課題」「今後持つべきと考える機能や特徴」を尋ねた結果を分析している。
付表:選択肢として記載した製品/サービス一覧
本調査において選択肢に記載された製品/サービスの一覧を掲載している。選択肢に掲載される製品/サービスは過去の調査結果や最新の市場状況を踏まえて選定され、自由回答の中から多く挙げられたものは選択肢として新たに取り上げ、逆に一定期間以上シェア数値がないものは割愛するといった形で年毎に調整を行っている。 【レポート案内(設問項目、試読版など)】 リンク
【発刊日】 2023年10月20日 【価格】 180,000円(税別) 特定分野のみの個別販売は行っておりません
本データの無断引用・転載を禁じます。引用・転載をご希望の場合は下記をご参照の上、担当窓口にお問い合わせください。 引用・転載のポリシー: リンク

当調査データに関するお問い合わせ

株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL 03-5361-7880 FAX 03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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