2023年 「人材のリスキリング」は中堅・中小企業のデジタル化を促進するか?

ノークリサーチは「人材のリスキリング」が中堅・中小企業のデジタル化にどのような影響を与えるか?の調査を行い、その分析結果を発表した。

<ITの進歩に追随するリスキリングを支援できるか?がIT企業にとっては今後の重要な差別化要素>
■「人材のリスキリング」が広まることで、デジタイゼーションやトランスフォーメーションも進む
■IT機器管理の遠隔化などに適応していくことも、IT企業が支援すべき「リスキリング」の一つ
■リスキリングによって、テレワークやクラウドファーストが進展する可能性は低い点にも注意

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年9月11日

2023年 「人材のリスキリング」は中堅・中小企業のデジタル化を促進するか?

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は「人材のリスキリング」が中堅・中小企業のデジタル化にどのような影響を与えるか?の調査を行い、その分析結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業を取り巻くビジネス環境変化の予測(セミカスタムレポート)」の分析例を紹介したものである。


<ITの進歩に追随するリスキリングを支援できるか?がIT企業にとっては今後の重要な差別化要素>
■「人材のリスキリング」が広まることで、デジタイゼーションやトランスフォーメーションも進む
■IT機器管理の遠隔化などに適応していくことも、IT企業が支援すべき「リスキリング」の一つ
■リスキリングによって、テレワークやクラウドファーストが進展する可能性は低い点にも注意


■「人材のリスキリング」が広まることで、デジタイゼーションやトランスフォーメーションも進む
「リスキリング(Re-skilling)」とは、ビジネス環境変化への適応などを目的として、企業が従業員の新たなスキル獲得を推進する取り組みを指す。その点では、学び直しに際して離職/休職することを前提とした「リカレント教育」や 個人が余暇などを利用する「大人の学び直し」とは異なる。「失われた30年」と言われるように、経済発展が停滞気味の日本においては、リスキリングによる人材活用の活性化に注目が集まっている。人材が限られる中堅・中小企業においても、リスキリングによって従業員のスキルを高度化/多様化する取り組みが今後重要になってくると予想される。
ノークリサーチでは様々なビジネス環境の変化が中堅・中小企業のIT支出にどのような影響を与えるか?の調査/分析を行っている。以下のグラフは「人材のリスキリング」がIT支出に影響を与えると考えるユーザ企業の割合が高くなるにつれて、デジタル化に関連する様々なビジネス環境変化への取り組みがどれだけ活性化するか?を示したものだ。 「テレワーク」といった働き方のスタイルおよび「クラウドファースト」といったITインフラ形態には顕著な変化が見られない一方、「人材のリスキリング」への意識が高まるにつれて、「デジタイゼーション」「トランスフォーメーション」「業務の自動化」といった企業における業務のデジタル化は大きく進展していくことがわかる。そのため、DX/ITソリューションを訴求するIT企業としても「人材のリスキリング」を視野に入れたIT活用提案を進めることが大切だ。次頁では、上記の分析結果に関する詳細を述べていく。


■IT機器管理の遠隔化などに適応していくことも、IT企業が支援すべき「リスキリング」の一つ
本リリースの元となる調査レポート「2023年版中堅・中小企業を取り巻くビジネス環境変化の予測(セミカスタムレポート)」では有効回答件数700社の中堅・中小企業を対象に以下の計23項目から「IT支出の増減に影響する要因は何か?」を尋ねている。
さらに、その結果にベイジアンネットワーク分析を適用することで、要因間の関係性を視覚化し、ある要因が他の要因に与える影響を予測/推論している。
I4_1. デジタイゼーション
(業務フローを変えずにデジタル化を進める)
I4_2. デジタライゼーション
(デジタル化によって業務フローを改善する)
I4_3. トランスフォーメーション
(デジタル化によって顧客や市場を開拓する)
I4_4. テレワーク
(在宅やサテライトオフィスで業務を行う勤務形態)
I4_5. モバイルワーク
(移動中でも業務を継続できる仕組み)
I4_6. ハイブリッドワーク
(オフィス内勤務とテレワークを併用した勤務形態)
I4_7. 人材のリスキリング
(従業員の新たなスキル習得を支援する取り組み)
I4_8. キャッシュレス化
I4_9. ペーパレス化
I4_10. 業務の自動化
I4_11. 管理の遠隔化
I4_12. 防犯/防災の強化
I4_13. マルウェアの脅威
I4_14. 生活様式の変化
I4_15. 物流体制の変化
I4_16. クラウドファースト
(クラウド移行やクラウド上でのシステム構築を前提とした取り組み)
I4_17. クラウドネイティブ
(クラウドの利点を活かした細かい粒度のシステム設計を採用する)
I4_18. ハイブリッドクラウド
(社内設置(オンプレミス)とクラウドの双方を適材適所で併用する)
I4_19. サポートの終了
(ハードウェアやソフトウェアのサポート終了に伴う更新や入れ替え)
I4_20. グレードアップ
(業務アプリケーションやOSのラインアップを上位のものに変更する)
I4_21. 日本政府による法改正
I4_22. 業種毎の規制や方針
I4_23. 海外の条項や規制
上記の23項目の関係性を視覚化したベイジアンネットワーク図が以下である。赤点線で囲った項目が「人材のリスキリング」であり、様々な項目と関連していること がわかる。例えば、隣接する項目に は「管理の遠隔化」「サポートの終了」 がある。
昨今ではサーバ機器やネットワーク機器もクラウドを介して遠隔管理が可能となっており、今後は情報システム担当/部門に求められる管理や運用のスキルも徐々に変わってくる。
また、長年使い続けた業務システムのサポートが終了すれば、刷新した新たなシステムに対応したスキルも必要となる。
リスキリングと言うと、今までと全く異なる分野のスキルを身に着けるという意味合いで捉えてしまいがちだが、「同じ分野の中で最新動向を常にフォローアップしていく」という観点での取り組みも重要であることを上記の結果は示唆している。IT企業としても、最新のDX/ITソリューションを導入/販売するだけでなく、ユーザ企業が確実に使いこなせるための支援を提供することが今後の重要な差別化ポイントになってくると考えられる。次頁では冒頭に挙げたグラフの詳細について述べる。

■リスキリングによって、テレワークやクラウドファーストが進展する可能性は低い点にも注意
ベイジアンネットワーク分析では「ある要因の値が変化した時、他の要因の値がどうなるか?」を予測/推論することができる。
そこで、「人材のリスキリング」に取り組む企業の割合が1割、2割、3割、5割と高くなるにつれて、デジタル化に関連する様々な項目の取り組み割合がどう変化するか?を分析した結果が以下のグラフ(冒頭に掲載したもの)だ。
「テレワーク」(水色)および「クラウドファースト」(緑色)はリスキリングが盛んになった場合でも取り組み割合がそれほど上昇しないことがわかる。
つまり、リスキリングによって従業員がWeb会議やクラウドサービスなどを使いこなすようになったとしても、中堅・中小企業がテレワークやクラウド移行を今よりも強く推進するようになるとは限らない。リスキリングの支援が全てのIT導入を活性化させるとは限らない点に注意が必要だ。 一方、「業務の自動化」はリスキリングと拡大と共に値が大きく上昇していることがわかる。リスキリングの過程においては、必然的に「その業務は今後もヒトが手間をかけて行うべきか?」の再考や検討が生じる。その結果、リスキリングの取り組みに伴って業務の自動化も大きく進展していくと考えられる。
デジタル化を直接反映する「デジタイゼーション」(青色)、「デジタライゼーション」(橙色)、「トランスフォーメーション」(灰色)の3項目については、これらの用語の違いをまず明確にしておく必要がある。ユーザ企業がこれらの用語を区別することは難しいため、調査実施時には以下のように説明と具体例を併記した上で尋ねている。
・デジタイゼーション 業務フローを変えずにデジタル化を進める
例) 紙面で送付していた見積書を電子化する
・デジタライゼーション デジタル化によって業務フローを改善する
例) 過去データを元に見積書の値引き額の妥当性を自動で判定する
・トランスフォーメーション デジタル化によって顧客や市場を開拓する
例) 見積書を送付した企業の属性を元に新たな顧客候補を自動で選定する 上記のグラフを見ると、「デジタイゼーション」および「トランスフォーメーション」はリスキリングの拡大と共に値が大きく上昇しているが、「デジタライゼーション」はほぼ横ばいとなっている。実はこれはリスキリングとの関連に起因するものではなく、中堅・中小企業におけるデジタル化の取り組み状況が「デジタイゼーション」と「トランスフォーメーション」に二極化していることによる。
(この点については右記のリリースで詳述している リンク
したがって、冒頭でも述べたように「人材のリスキリング」が拡大することによって、中堅・中小企業におけるデジタル化も進展していくと予想される。ここでは「デジタイゼーション」、「デジタライゼーション」、「トランスフォーメーション」、「業務の自動化」、「テレワーク」、「クラウドファースト」の6項目と「人材のリスキリング」の関連を分析したが、本リリースの元となる調査レポート(セミカスタムレポート)では、前頁に列挙した計23項目についてIT企業の個々のニーズに応じた分析と提言を提供している。


本リリースの元となる調査レポートのご紹介

『2023年版 中堅・中小企業を取り巻くビジネス環境変化の予測(セミカスタムレポート)』
「既存調査データ+個別分析」によってIT企業毎の個別ニーズに即した予測と提言を提供
【レポートの概要とダイジェスト】 リンク (※)
【価格】 ¥350,000円(税別)
【備考】 本調査レポートには「「2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート」の内容が含まれます。詳細は(※)の3ページをご参照ください。

ご好評いただいている既存の調査レポート 各冊180,000円(税別)

『2023年版 中堅・中小企業におけるネットワーク環境の実態と展望レポート』
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】 セキュリティ対策を起点とした中堅・中小向けネットワーク製品/サービスの訴求
リンク
IT企業が見落としやすい中堅・中小ネットワーク環境の意外な課題/ニーズ
リンク
中堅・中小企業におけるネットワーク製品/サービスの市場規模と導入時の基本方針
リンク

『2022年版 中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】 中堅・中小企業におけるノーコード/ローコード開発ツールの社数シェアと用途
リンク
中堅・中小企業におけるRPA製品/サービスの導入社数シェアと価格重視志向の関連
リンク
中堅・中小企業がRPA活用で抱える課題とIT企業が講じるべき支援策
リンク
ノーコード/ローコード開発ツールについて中堅・中小企業が考える利点と課題
リンク

『2022年版サーバ&エンドポイントにおけるITインフラ導入/運用の実態と展望レポート』
【レポートの概要と案内】 リンク
【リリース(ダイジェスト)】 サーバ管理における課題&ニーズとユーザ企業が求めるクラウド移行パターン
リンク
サーバ導入の注目トピック(オフコン移行/CentOS8代替/クラウド社数シェア)の動向
リンク
企業規模別に見たサーバインスタンス数とストレージ形態の傾向
リンク
エンドポイント端末(PC/スマートデバイス)の導入実態が示す有望な販売施策
リンク
PC/スマートデバイスのシェア動向とITインフラ全体に影響する課題
リンク

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社ノークリサーチ 担当:岩上由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL03-5361-7880 FAX03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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