2023年 IT企業が見落としやすい中堅・中小ネットワーク環境の意外な課題/ニーズ

ノークリサーチは中堅・中小企業におけるネットワーク環境の課題とニーズの調査結果を発表した。

<「SASEは抽象的なゼロトラストと切り離す」など、中堅・中小向けは従来と違うアピールが必要>
■「機器追加時の費用算出が難しい」という課題は「製品/サービス選定ができない」を上回る
■中小層では「持ち出しPCの社内アクセス」が課題、中堅層では「モバイル」の要素が加わる
■SASEは中小層には「クラウド利用状況の管理」、中堅層には「アプリ毎の接続管理」で訴求

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2023年8月9日

2023年 IT企業が見落としやすい中堅・中小ネットワーク環境の意外な課題/ニーズ

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社: 〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5361-7880URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業におけるネットワーク環境の課題とニーズの調査結果を発表した。本リリースは「2023年版 中堅・中小企業におけるネットワーク環境の実態と展望レポート」のサンプル/ダイジェストである。

<「SASEは抽象的なゼロトラストと切り離す」など、中堅・中小向けは従来と違うアピールが必要>
■「機器追加時の費用算出が難しい」という課題は「製品/サービス選定ができない」を上回る
■中小層では「持ち出しPCの社内アクセス」が課題、中堅層では「モバイル」の要素が加わる
■SASEは中小層には「クラウド利用状況の管理」、中堅層には「アプリ毎の接続管理」で訴求


調査対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
調査対象職責: 経営層およびIT活用の導入/選定/運用に関わる立場
調査実施時期: 2023年4月~5月
※詳細は右記のレポート案内を参照 リンク


■「機器追加時の費用算出が難しい」という課題は「製品/サービス選定ができない」を上回る
本リリースの元となる調査レポート「2023年版 中堅・中小企業におけるネットワーク環境の実態と展望レポート」では、有効回答件数700社の中堅・中小企業を対象にネットワーク環境の課題/ニーズを分析し、ベンダや販社/SIerが取るべき施策を提言している。以下のグラフはその中から、「ネットワーク製品/サービスの選定/導入における課題」の一部を年商別に集計したものだ。 ネットワーク製品/サービスは多岐に渡るため、グラフの青帯が示すように中堅・中小企業にとっては「自社の課題に合った製品/サービスを選定できない」という課題が生じやすい。だが、それと同等または上回る形で高い値を示しているのが 「ネットワーク機器を追加した時の費用算出が難しい」という課題だ。中堅・中小向けのネットワーク機器(無線LANアクセスポイントなど)では月額課金によって初期費用負担を軽減しているケースも多い。機器を追加した場合には、既存契約分と追加契約分を合算した月額費用を支払うことになる。月額費用の算出は契約毎に異なり、キャンペーンなどを適用すると同じ機器であっても月額費用が変わってくる。 つまり、ユーザ企業の負担軽減を目的とした費用案分の仕組みが逆にネットワーク管理/運用の手間を増やす要因となっている。 ベンダや販社/SIerとしてはユーザ企業が手軽に月々の費用を確認できる仕組みを充実させることが今後の重要な差別化ポイントの一つとなってくる。また、「未許可のサービス利用(シャドーIT)を禁止できない」は中堅企業層で相対的に高い値を示している。中堅・中小企業でシャドーITが問題となる場面は大企業と比べると少ない。だが、昨今ではネットワーク製品/サービスにおいてもアプライアンスからクラウドサービスへの移行が徐々に進んでおり、手軽な試用が可能となっている。
だが、手軽であるが故にIT管理/運用を担う担当/部門の了解を得ずに試用を進めると、シャドーITと見なされてしまい本番導入における思わぬ障壁となることもある。このようにベンダや販社/SIerが見落としやすい課題に着目することが大切だ。次頁では更なる分析結果を紹介している。

■中小層では「持ち出しPCの社内アクセス」が課題、中堅層では「モバイル」の要素が加わる
本リリースの元となる調査レポートでは、以下のように21項目に渡る選択肢を提示して中堅・中小企業に対してネットワーク製品/サービス導入における課題は何か?を尋ねている。(詳細は右記を参照ttps://www.norkresearch.co.jp/pdf/2023NW_user_rep.pdf )
<<製品/サービスの選定や導入における課題>>
・自社の課題に合った製品/サービスを選定できない※
例) ネットワークやセキュリティの専門用語が氾濫しており、混乱してしまう
・「ゼロトラスト」が具体的に何を指すのかわかりにくい※
例) 「ゼロトラスト」で検索しても情報が多すぎるため、理解ができない
・未許可のサービス利用(シャドーIT)を禁止できない※
例) 無償のオンラインストレージを勝手に利用している部署がある
・ネットワーク機器を追加した時の費用算出が難しい
例) 無線LANアクセスポイントを追加した時の月額費用算定が非常に複雑
・5Gの特徴を業務に活かす方法が分からない
例) 高速、低遅延、多数同時接続といった利点が業務改善と結びつかない
<<製品/サービスの管理や運用における課題>>
・ID管理が不十分であり、現状を把握できていない
例) 従業員がIDを個人管理しており、企業全体のID総数も不明である
・トラブルが発生した時の原因切り分けができない
例) 処理遅延の原因がネットワークとアプリのどちらか判断できない
・ネットワーク越しにファイルを閲覧する処理が遅い
例) ファイルサーバに格納されたWord文書がなかなか開かない
・Webサイトやクラウドサービスの表示/動作が遅い
例) Microsoft 365でメール一覧を表示するのに時間がかかる
・社内に設置したVPNルータの機能/性能が不十分
例) 在宅勤務を増やしたいが、VPNルータの処理が追い付かない
・社内に設置したWebプロクシの機能/性能が不十分
例) Webプロクシでは不正なWebサイトへのアクセスを禁止できない
・社内に設置した認証サーバの機能/性能が不十分
例) 拠点間でActive Directoryサーバを連携させることが難しい
<<製品/サービスの機能や性能における課題>>
・自宅や拠点から社内の業務システムにアクセスできない*
例) SSL-VPNではクライアント/サーバ型システムに自宅から接続できない
・外出先や移動中に社内の業務システムを利用できない*
例) 公共のアクセスポイントは危険なので、業務システムにはアクセスしない
・PCなどの端末を社外で利用する際の安全確保が不十分*
例) PCを紛失した場合、格納されたデータを遠隔で削除することができない
・異なるサービスのモジュールがPC内で共存できない
例) A社のVPNクライアントとB社のマルウェア対策ツールは同居できない
・セキュリティなどの制約で無線通信の導入が難しい
例) 工場内で無線LANを利用したいが、データの漏洩/搾取が心配である
・クラウドサービスと社内環境を手軽に接続できない
例) クラウドサービスと社内システムでID管理の手段が別になってしまう
・キャリア5Gに対応したエリアや端末が少ない
例) 外出時のネットワーク品質を5Gで改善したいが、提供エリアが狭い
・モバイル環境で回線の遅延や切断が生じる
例) タクシーでの移動中にも業務を続けたいが、通信速度が遅い
・在宅勤務中に回線の遅延や切断が生じる
例) 在宅勤務中のWeb会議で画像や音声が頻繁に途切れてしまう
<<その他>>
・その他:
・今は判断できない(排他)
・課題は全くない(排他)
前頁に掲載したグラフは上記の中から※の項目を抜粋して年商別に集計した結果である。さらに、以下のグラフは*の結果を年商別に集計したものだ。「自宅や拠点から社内の業務システムにアクセスできない」および「PCなどの端末を社外で利用する際の安全確保が不十分」は中小企業層(年商5~50億円)で回答割合が相対的に高く、「外出先や移動中に社内の業務システムを利用できない」は中堅企業層(年商50~500億円)での値が相対的に高くなっている。 つまり、中小企業層では社用のPCを自宅などに持ち出した時のアクセス手段や安全確保が課題となっていることがわかる。中堅企業層では、それらに加えて移動中も含めたモバイル環境からの社外アクセスも課題となってくる。 このように年商規模の違いによって、抱える課題の傾向も異なる点に注意が必要だ。次頁では、中堅・中小企業がネットワーク製品/サービス導入に際して必須と考える機能や支援に関する分析結果を紹介している。


■SASEは中小層には「クラウド利用状況の管理」、中堅層には「アプリ毎の接続管理」で訴求
前頁に列挙した課題に加えて、本リリースの元となる調査レポートではネットワーク製品/サービス導入に際して中堅・中小企業が必須と考える機能や支援は何なのか?も分析している。(詳細は右記を参照ttps://www.norkresearch.co.jp/pdf/2023NW_user_rep.pdf )
<<製品/サービスの機能や特徴に関する項目>>
・アプリケーション単位で接続許可などを管理できる*
・クラウドサービスの利用状況を把握/制御できる*
・不正サイトへの接続による被害を防止できる*
・複数のネットワーク機器を遠隔で一括管理できる*
・ネットワーク機器を月額費用のみで利用できる
・端末側にモジュールを導入しなくても利用できる
・Wi-FiやLANケーブルの最新規格に対応している
・移動や高負荷に強い無線通信環境を実現できる
・多要素認証や二段階認証に対応している
・生体認証(顔、指紋など)に対応している
・トラブル発生時の原因特定を支援してくれる
・従業員のIDを集約して管理することができる
・特権IDや放置IDの管理を支援してくれる
・セキュリティが十分でない端末を隔離できる
・遠隔で端末内のデータをロック/消去できる
<<導入/運用における支援に関する項目>>
・「ゼロトラスト」の実現に向けた支援をしてくれる
・ネットワークの抜け穴がないかを検証してくれる
・標的型攻撃メールの訓練サービスを利用できる
・チャットやWeb会議で導入/運用を支援してくれる
・ツールで問題点を分析し、対処法を提案してくれる
・ローカル5G導入の支援やコンサルを行ってくれる
<<その他>>
・その他:
・今は判断できない(排他)
・必須と考える機能や支援は全くない(排他)
左記のグラフは上記から*の項目を抜粋して、中堅・中小企業全体で集計した結果だ。「不正サイトへの接続による被害を防止できる」の値が2割強に達していることから、中堅・中小企業のネットワーク環境においてもセキュリティ対策が重要度を増していることが確認できる。
また「クラウドサービスの利用状況を把握/制御できる」(※1)ならびに「アプリケーション単位で接続許可などを管理できる」(※2)の回答割合が「複数のネットワーク機器を遠隔で一括管理できる」(※3)と同程度であることも要注目だ。 機器台数が少なくても、管理/運用する人材が限られていれば(※3)のニーズは存在する。そこに加えるべき更なる差別化ポイントが(※1)(※2)といったアプリケーション層も含めた管理/運用を担う仕組みだ。(※1)(※2)はSASEが得意とする領域だが、関連リリース(リンク)で触れているように中堅・中小企業におけるSASEの導入済み/導入予定の割合はLANやVPNと比較しても低い。その背景にはSASEがゼロトラストと共にアピールされることが多く、抽象的な説明になりやすいという課題がある。 SASEを訴求する際には(※1)や(※2)といった具体的な適用場面を提示することが大切だ。さらに、両者を年商別に集計したものが右記のグラフである。(※1)は中小企業層と中堅企業層の双方で有効だが、(※2)についてはまずは中堅企業層を主な訴求対象とすることが堅実と考えられる。このように中堅・中小向けのネットワーク製品/サービスの拡販に際しては大企業向けとは異なる視点でのアピールが重要となってくる。 本リリースの元となる調査レポートでは、そうした観点での様々な分析/提言を述べている。


本リリースの元となる調査レポート

『2023年版 中堅・中小企業におけるネットワーク環境の実態と展望レポート』

今後はネットワーク環境(LAN、VPN、SASE、5G、IoT、FMCなど)とセキュリティ対策(IdP/IAM/IDaaS、NGAV、EDR/NDR、MDM、DLPなど)を同時に考慮したITインフラ整備が不可欠、それを実現するための提案ポイントを有効回答件数700社の調査データを元に徹底解説

【対象企業属性】(有効回答件数:700社)
年商: 5億円未満 / 5億円以上~50億円未満 / 50億円以上~100億円未満 /100億円以上~300億円未満 / 300億円以上~500億円未満
従業員数: 20人未満 / 20人以上~50人未満 / 50人以上~100人未満 / 100人以上~300人未満 / 300人以上~500人未満 /500人以上~1000人未満/ 1000人以上~3,000人未満 / 3,000人以上~5,000人未満 / 5,000人以上
業種: 組立製造業 / 加工製造業 / 建設業 / 卸売業 / 小売業 / 運輸業 / IT関連サービス業 / 一般サービス業
地域: 北海道地方 / 東北地方 / 関東地方 / 北陸地方 / 中部地方 / 近畿地方 / 中国地方 / 四国地方 / 九州・沖縄地方
その他の属性: 「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)
【分析サマリの章構成】
第1章. 導入済みのネットワーク製品/サービス
6分野、計35項目に渡るネットワーク製品/サービス種別を列挙し、年商規模別の導入状況を分析している。これによって、どのようなネットワーク製品/サービスが多く導入されているか?を把握することができる。
第2章. 導入予定のネットワーク製品/サービス
第1章と同様に6分野、計35項目に渡るネットワーク製品/サービス種別を列挙し、まだ導入してないが、今後導入する予定(有力な候補となっている、もしくは導入の準備を進めている)のあるものを尋ねた結果を分析している。これにより、今後の伸びが期待できるネットワーク製品/サービスは何か?を知ることができる。
第3章. ネットワーク製品/サービスの支出額実績と今後の市場規模予測
最も重要なネットワーク製品/サービスを導入する際に実際に拠出した初年度合計費用(ハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービス、コンサルティング、トレーニングを含めた初年度の支出合計額)を年商、業種、地域ならびに6分野の製品/サービス種別グループを軸として集計した結果を分析している。さらに、この実績値とネットワーク製品/サービスの導入予定のデータを元に今後の市場規模予測を年商、業種、地域ならびに6分野の製品/サービス種別グループの区分毎に算出している。
第4章. ユーザ企業における経常利益とIT支出の増減見通し
2022年と比べた場合の2023年の経常利益およびIT支出の増減見通しを尋ねた結果の概要を分析している。上記については姉妹編となる調査レポート「2023年版 中堅・中小企業のDXおよびITソリューション選定の実態レポート」で詳述している。本調査レポートでは第5章~第7章で中堅・中小企業における「ネットワーク製品/サービス導入における基本方針、課題、必須と考える機能や支援」と「経常利益およびIT支出の増減見通し」の関連性を分析している。第4章ではそのための準備として、経常利益およびIT支出の増減見通しの概要を解説している。
第5章. ネットワーク製品/サービスの導入における基本方針
中堅・中小企業がネットワーク製品/サービスを導入する際に、どのような基本方針で取り組んでいるか?を分析している。これにより、「中堅・中小企業はゼロトラストにどれだけ意欲的か?」、「コロナ禍で顕在化した課題を継続的に解消しようとしているのか?」などの
動向を知ることができる。
第6章. ネットワーク製品/サービスの導入における課題
中堅・中小企業がネットワーク製品/サービスを導入する際に抱えている課題は何か?を分析している。これにより、「ローカル5Gの普及が加速しない原因は何か?」、「クラウドサービスやVPNを利用する上で最も大きな課題は何か?」などを知ることができる。
第7章. ネットワーク製品/サービスの導入に際して必須と考える機能や支援
中堅・中小企業がネットワーク製品/サービスを導入する際に、どのような機能を必須と考えているのか?またIT企業に対してどのような支援を求めているか?を分析している。これにより、「ネットワーク環境の刷新を促すためにIT企業側はどんな支援を講じるべきか?」、「ID管理(生体認証、ITの集約、特権IDや放置IDの管理)の中で最もニーズが高いものはどれか?」、「価格、管理/運用の容易性、安全性(セキュリティ)、安定性のうち、どれが最も重視されているのか?」などを把握することができる。
【価格】 180,000円(税別) 【発刊日】 2023年8月10日
【調査レポート案内】 リンク

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株式会社ノークリサーチ 担当:岩上由高
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室
TEL03-5361-7880 FAX03-5361-7881
Mail: inform@norkresearch.co.jp
Web: www.norkresearch.co.jp

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