2022年 中堅・中小企業がRPA活用で抱える課題とIT企業が講じるべき支援策

ノークリサーチは中堅・中小企業がRPA活用で抱えている課題やそれらを解消するためにIT企業が講じるべき支援策に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<中堅・中小企業向けのRPA活用は導入時だけでなく、導入後の課題/ニーズも考慮すべき段階へ>
■「自動化した処理の中にヒトの判断を挟める仕組み」の実装や拡充を検討する必要がある
■今後は中小企業層でも自動化処理のセキュリティ対策(アクセス権限管理など)も要検討
■データ量や処理数に基づく課金機能を備えたテンプレートの提供も視野に入れておくべき

PRESSRELEASE(報道関係者各位) 2022年12月15日

2022年 中堅・中小企業がRPA活用で抱える課題とIT企業が講じるべき支援策

調査設計/分析/執筆:岩上由高


ノークリサーチ(本社〒160-0022 東京都新宿区新宿2-13-10 武蔵野ビル5階23号室 代表:伊嶋謙ニTEL:03-5361-7880 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業がRPA活用で抱えている課題やそれらを解消するためにIT企業が講じるべき支援策に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2022年版中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」のサンプル/ダイジェストである。

<中堅・中小企業向けのRPA活用は導入時だけでなく、導入後の課題/ニーズも考慮すべき段階へ>
■「自動化した処理の中にヒトの判断を挟める仕組み」の実装や拡充を検討する必要がある
■今後は中小企業層でも自動化処理のセキュリティ対策(アクセス権限管理など)も要検討
■データ量や処理数に基づく課金機能を備えたテンプレートの提供も視野に入れておくべき

対象企業:年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責:情報システムの導入や運用/管理または製品/サービスの選定/決済の権限を有する職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■「自動化した処理の中にヒトの判断を挟める仕組み」の実装や拡充を検討する必要がある
本リリースの元となる調査レポート「2022年版中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート」では中堅・中小企業がRPA活用において抱える様々な課題を尋ねた結果を分析し、RPA導入を提案するIT企業が何をすべきか?を提言している。
以下のグラフは計23項目に渡る「RPA活用における課題」を尋ねた設問から4つの選択肢を抜粋し、RPAの導入状況別(導入済み/導入予定)に集計した結果である。( 「RPA活用における課題」を尋ねた設問の全ての選択肢は次頁を参照)
「自動化できる業務内容がどれか判断できない」の値は「導入済み」(青帯)で20.8%に達するが、「導入予定」(橙帯)では25.8%と増加しており、今後は更に重要な課題となることが予想される。自動化すべき業務を判断できないことで、「自動化できる業務内容がごく一部に限られる」という課題も20%超の高い値が継続し、結果として「RPAのみではヒトによる手作業が残ってしまう」という課題も増加していくといった状況が読み取れる。一方で、「自動処理中にヒトの判断を挟むことができない」は「導入済み」と比べて「導入予定」の値が低くなっている。だが、これはRPAを導入する予定のユーザ企業が「自動化が不完全でヒトの判断を挟まなければならない」という状況を想定できていないためと考えられる。
「自動化できる業務内容がどれか判断できない」という課題に対し、IT企業がどう取り組むべきか?については次頁以降で詳述するが、短期間で完全に解消することは難しいと予想される。そのため、RPA製品/サービスを開発するベンダとしては「自動化した処理の中にヒトの判断を挟める仕組み」を実装/拡充することも検討する必要があると考えられる。

■今後は中小企業層でも自動化処理のセキュリティ対策(アクセス権限管理など)も要検討
本リリースの元となる調査レポートで計23項目に渡る以下の選択肢を列挙して、中堅・中小企業のユーザ企業がRPA活用で抱えている課題は何か?を集計/分析している。
<<業務内容に関連した項目>>
・自動処理中にヒトの判断を挟むことができない(※)
・データ連携はできるが、業務の連携ができない
・自動化できる業務内容がどれか判断できない(※)
・自動化できる業務内容がごく一部に限られる (※)
・RPAのみではヒトによる手作業が残ってしまう (※)
・デジタル化した紙面データを十分活用できない
・業務内容の変更を手軽/迅速に反映できない
・操作画面の言語を切り替えることができない
<<RPAシステムの選定/導入に関連する項目>>
・安価/無償なので導入したが、機能が不十分
・RPAの利用をやめたいが、代替手段がない
・他社のRPAに変更したいが、移行が難しい
・自社に最も適したRPAシステムを選定できない(*)
・RPA活用の投資対効果を事前に試算できない
・自動化処理の作成/管理のライセンスが高額
・ライセンスが高額のため、適用範囲が限られる
<<RPAシステムの管理/運用に関連する項目>>
・IE11サポート終了でWeb操作が自動化できない(*)
・RPAの管理/運用を担当できる人材がいない
・類似した自動化処理が散在して管理できない
・自動化処理の結果や稼動状況を確認できない
・自動化処理が不正に実行される可能性がある(*)
・OSなどの更新時に自動化処理が動かなくなる
・既存の業務システムや周辺機器と連携できない
・処理件数やデータ量の増加に対応できない
<<その他>>
・その他:
前頁のグラフは上記の中から(※)の項目を抜粋し、年商500億円未満の中堅・中小企業全体で「導入済み」と「導入予定」に分けて集計したものだ。さらに、「今後はどのような課題が顕在化するか?」をユーザ企業の年商規模別に把握しておくことも大切だ。そこで、(*)の項目を抜粋し、「導入予定」における回答割合を年商規模別に集計したものが以下のグラフである。
IE11は2022年6月にサポートを終了しているため、IE11を自動的に操作している場合は他のブラウザに切り替える必要がある。
だが、多くのRPA製品/サービスはIE11以外のブラウザにも対応しているため「IE11サポート終了でWeb操作が自動化できない」という課題は自動化の対象となる業務システムがIE11以外のブラウザに移行できるか?の課題となり、その割合は年商規模が大きくなるにつれて高くなる傾向にある。一方、「自社に最も適したRPAシステムを選定できない」や「自動化処理が不正に実行される可能性がある」は中小企業層における値が最も高い。特に後者は大企業のRPA活用において指摘されてきた課題だが、RPAが徐々に普及してきたことで、今後は中小企業層でも自動化処理のセキュリティ対策(アクセス権限管理など)に注意を払う必要があると考えられる。次頁では中堅・中小企業のRPA活用に際して、IT企業が講じるべき支援策について述べる。


■データ量や処理数に基づく課金機能を備えたテンプレートの提供も視野に入れておくべき
さらに、本リリースの元となる調査レポートで計21項目に渡る以下の選択肢を列挙して、中堅・中小企業のユーザ企業がRPA活用に際してIT企業に求める支援策は何か?についても集計/分析している。
<<RPAの導入に関する項目>>
・複数業務の連携を見据えたRPA導入提案
・PC操作に基づくRPA適用業務の自動診断
・自動化すべき業務を例示したテンプレート(※)
・複数のRPAシステムを比較提案するサービス
・RPA導入の投資対効果を試算するサービス
<<RPAの機能や費用に関する項目>>
・自動処理中にヒトの判断を挟むことができる
・物理的なロボットと連携した自動化ができる
・紙面データの内容を正確に理解する仕組み
・自動実行されたデータ量に応じた従量課金(※)
・同時に実行される処理数に基づく課金体系(※)
・繁忙期など、月単位で利用できる課金体系
・ライセンスを複数PCで共用できる課金体系
<<RPAの管理/運用に関する項目>>
・ブラウザを変更/更新しても自動対応できる仕組み
・一般ユーザ向けの操作画面を作成できる仕組み
・社外からも自動化処理を遠隔管理できる仕組み
・自動化処理をクラウド上で実行できる仕組み
・複数の自動化処理を統合管理できる仕組み
<<RPA活用を推進する人材に関する項目>>
・RPAを選定/導入する作業の代行サービス(※)
・RPAを管理/運用する作業の代行サービス
・RPA活用を推進する社内人材の育成サービス
・RPA活用を支援する社外人材の派遣サービス
<<その他>>
・その他:
・必須となる支援や仕組みはない(排他)

以下のグラフは上記の中から(※)の項目を抜粋し、年商500億円未満の中堅・中小企業全体で「導入済み」と「導入予定」に分けて集計したものだ。 冒頭で触れたように「自動化できる業務内容がどれか判断できない」は中堅・中小企業のRPA活用において最も大きな課題の1つとなっている。それに符合するように、IT企業に求める支援策では「自動化すべき業務を例示したテンプレート」が高い値を示している。IT企業にとっては、RPAを適用する業務例を豊富に揃えたテンプレートを充実させることが重要な取り組みとなる。 また、RPAツールの費用体系はPC台数に基づくノードロックライセンスが主流であり、一部で同時実行数に基づくフローティングライセンスが併用されている。だが、中堅・中小企業ではデータ量や処理数に基づく課金ニーズが増加する可能性があることを上記のグラフは示している。大企業と比べて自動化処理の規模が小さい中堅・中小企業にとってはフローティングライセンスよりも更に細かくデータ量や処理数で測る課金体系の方が費用負担の軽減につながるという期待があると推測される。こうした従量課金を実現する仕組み作りは容易ではないが、テンプレートを選択するRPA導入スタイルが普及していけば、データ量や処理数に基づく課金機能も備えたマイクロサービスとしてテンプレートを進化させることも現実味を帯びる。RPAベンダとしては、こうした課金体系も視野に入れながらテンプレートの充実を図ることが重要と考えられる。ここでは一部の項目に関する分析結果を抜粋したが、調査レポートでは様々な課題や支援策に関する分析を元に、RPA提案のポイントについて提言している。


本リリースの元となる調査レポート

『2022年版中堅・中小企業におけるRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用実態レポート』
「RPAは機能重視と価格重視のどちらの方向に進むのか?」、「ノーコード/ローコードが適したシステム開発の用途は?」など、IT企業が直面する様々な疑問に1300社のユーザ企業を対象とした調査データに基づく分析で答えを示した一冊

【本調査レポートの背景】
中堅・中小企業においても基幹系、情報系、運用管理系、顧客管理系、分析など既に多種多様な業務アプリケーションが導入されており、その運用形態もパッケージの社内設置からSaaSに至るまで多岐に渡っている。だが、その一方で、
・紙面からの転記やシステム間のデータ加工/統合など、ヒトによる手作業が残っている
・プロジェクト単位の情報管理など、既存システムでカバーできない隙間の業務がある
・レガシー化した資産や過去に構築した業務システムを素早く刷新/再構築できない
といった課題を抱えるユーザ企業も少なくない。こうした課題を解決する手段として、中堅・中小企業においても注目を集めているのが、RPAとノーコード/ローコード開発ツールである。そこで、本調査レポートではこれら2つに関する導入状況、課題とニーズ、導入済み/導入予定の製品/サービスを尋ねた調査結果を元に、IT企業がRPAおよびノーコード/ローコード開発ツールの活用提案を成功させるためのポイントを分析/解説している。
【対象企業属性】(有効回答件数:1300社)
年商:5億円未満/5億円以上~10億円未満/10億円以上~20億円未満/20億円以上~50億円未満/50億円以上~100億円未満/100億円以上~300億円未満/300億円以上~500億円未満
従業員数:10人未満/10人以上~20人未満/20人以上~50人未満/50人以上~100人未満/100人以上~300人未満/300人以上~500人未満/500人以上~1,000人未満/1,000人以上~3,000人未満/3,000人以上~5,000人未満/5,000人以上
業種:組立製造業/加工製造業/建設業/卸売業/小売業/流通業(運輸業)/IT関連サービス業/一般サービス業/その他(公共/自治体など)
地域:北海道地方/東北地方/関東地方/北陸地方/中部地方/近畿地方/中国地方/四国地方/九州・沖縄地方
その他の属性:「IT管理/運用の人員規模」(12区分)、「ビジネス拠点の状況」(5区分)

【分析サマリ(調査結果の重要ポイントを述べたPDFドキュメント)の章構成】
第1章.RPAの導入割合と用途
RPAの導入状況を経年変化で確認した上で、14項目に渡るRPAの用途から今後有望なものはどれなのか?を提言
第2章.RPAの課題とニーズ
23項目に渡るRPAの「課題」、19項目に渡るRPA活用の「基本方針」、21項目に渡る「必須となる支援や仕組み」を分析
第3章.RPA製品/サービスのシェア
国内ベンダ、外資系ベンダ、各種の自動化ソリューションなど、42項目に渡る製品/サービスの社数シェアを集計/分析
第4章.ノーコード/ローコード開発ツールの導入割合と用途
ノーコード/ローコード開発ツールの導入状況を確認した上で、10項目に渡る用途から今後有望なものはどれか?を提言
第5章.ノーコード/ローコード開発ツールの利点と課題
ノーコード/ローコード開発ツールの活用における利点(16項目)および課題(13項目)を分析し、提案時のポイントを解説
第6章.ノーコード/ローコード開発ツールのシェア
ノーコード/ノーコード開発ツールを6分野に整理した上で、計33項目に渡る製品/サービスの社数シェアを集計/分析
第7章.ノーコード/ローコード開発ツールの分野別動向
ノーコード/ローコード開発ツールの6つの分野によって、用途/利点/課題の傾向がどのように異なるか?について分析
【レポート案内(設問項目、試読版など)】リンク
【発刊日】2022年12月22日
【価格】180,000円(税別)RPAのみ、またはノーコード/ローコード開発ツールのみの個別販売は行っておりません

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当調査データに関するお問い合わせ

株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
〒160-0022東京都新宿区新宿2-13-10武蔵野ビル5階23号室
TEL03-5361-7880FAX03-5361-7881
Mail:inform@norkresearch.co.jp
Web:www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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