オーティコンの先進補聴器、オーティコン オープンS、音を整理する脳の働きをサポートすることを初めて実証

新たな試験手法である脳波(EEG)を用いた研究により、弊社の先進補聴器「オーティコン オープンS(以下、オープンS)」が難聴者のより自然な聞こえの体験をサポートし、にぎやかな環境で複数の話者がいる状況においても、会話についていくためのより良い条件を作り出すことが実証されました。

110余年の歴史をもち、デンマークに本社を置く補聴器メーカー、オーティコン補聴器(本社:神奈川県川崎市、プレジデント:木下 聡、以下オーティコン)は、弊社の補聴器開発コンセプトである、脳から聞こえを考えるアプローチ、BrainHearing™(ブレインヒアリング)テクノロジーの有効性に関する、新たなエビデンスを発表しました。

新たな試験手法である脳波(EEG)を用いた研究により、弊社の先進補聴器「オーティコン オープンS(以下、オープンS)」はその搭載機能を以て、難聴者※1のより自然な聞こえの体験をサポートし、にぎやかな環境で複数の話者がいる状況においても、会話についていくためのより良い条件を作り出すことが実証されました。

私たちは一般的に、聞こえを耳と関連付けて考えていますが、聞くことに重要な役割を担うのは脳の働きです。難聴は、音の情報を整理して理解する脳の働きに影響を与えています。脳は周囲の環境をモニターし、自分にとって興味がある声や音を優先させて注意を切り替えますが、難聴はその「選択的注意」と呼ばれる本来脳が自然に持つその働きの低下を招きます。特ににぎやかな場所でこのことが顕著になります。今回、新たなEEG(脳波)試験手法(以下、EEG試験手法)を用い、脳がどのように音を整理しているのかを客観的に測定することが可能となりました。その結果、オープンSがこの「選択的注意」、つまり聞きたい音に注意を切り替えて聞く力を高めることが実証されました。

この試験手法はオーティコンの研究所であるエリクスホルム研究センター(デンマーク)を主要パートナーとする、EUが出資する大規模な研究プロジェクトの一部として開発され神経科学における学術誌「Frontiers in Neuroscience」に掲載されました。※2

新たなEEG試験手法では、被験者の頭部に電極を取り付け、声と騒音に対する脳の反応を測定しました。実生活での騒音下の会話を模し、被験者が焦点をあわせて聞くべき会話(第一話者)と、ともにもう一人の声(第二話者)さらに抑制すべき背景騒音(バブルノイズ)を設定しました。この設定において、オープンSに搭載されているオープンサウンドナビゲーターをオンにした場合とオフにした場合で被験者に装用し、比較試験を行いました。その結果、オープンサウンドナビゲーターがオンの場合では、焦点を合わせて聞くべき話者の声(第一話者)がより良く認識されるとともに、同じ大きさのもう一人の声(第二話者)も著しくよく認識されていることが分かりました。さらに背景騒音は脳で大きく抑制されていました。

この研究結果によって、さまざまな音があふれる環境条件の中で、オープンSはその人が重要だと認識する音や声を優先し、必要に応じて楽に注意を切り替えることができる脳の働き「選択的注意」を高めることが証明されました。

オーティコン デンマーク本社でオーディオロジー主幹を務めるトーマス・ベーレンスは次のように述べています。

「難聴を放置したままで生活することは、スムーズな音の理解のために脳が必要とする情報が十分に届かないことを意味し、生活の質(QOL)や健康そのものにマイナスの影響を与える可能性があります。難聴があると、特に騒がしい環境や複数の人が同時に話す場面で、会話を理解することはより多くの努力を強いられ、脳への大きな負担につながります。自分に必要な情報を優先させる『選択的注意』が欠如すると、コミュニケーションといった、人とのかかわりを保つための社会的活動に大きな疲労を伴います。従って聞こえに悩む多くの方々が、人との関りや社会的な集まりなどから距離をおきがちになることは驚くことではありません。このことは、難聴が認知症などとの関連を示唆する危険因子に挙げられる理由でもあります」

脳から聞こえを考えるオーティコンのBrainHearing™ (ブレインヒアリング) 技術のもと開発された、にぎやかな環境下でのこれまでの補聴器の聞こえの概念を変えた「オープンサウンドナビゲーター」機能、さらに補聴器のハウリングを予防するアプローチとして登場した「オープンサウンドオプティマイザー」がともに機能することによって、オープンSは360°の音へのアクセスを可能にしながら、高速かつ精緻な動作で効果的にノイズを抑制することで、ハウリングのリスクなく常に最適な音を保ちつつ※3、クリアな会話の聞き取りを可能にします。

オーティコン補聴器 プレジデント、木下 聡は次のように述べています。

「EEGを用いた新たな試験手法の開発によって、客観的に脳がどのように音を整理しているかを測ることができるようになりました。オープンSは会話の理解を高め、聞く努力を軽減し、覚える力を向上させる※4ことで、ユーザーが健聴者と同じように、騒がしい環境でもより楽に会話に参加できるようサポートします。難聴への適切な対処を行うことの健康全体へのプラスの影響を示す研究も増えてきています。実際に、医療保険のデータを用い米国で実施された最近の研究では、初めて補聴器を装用したユーザーでは、これに続く3年間、認知症のリスクを17%、うつ病を14%、そして転倒によるケガを13%減らすことにつながることが示唆されています※5。これは“聴覚ケアはヘルスケア”であることを示す一つの実際的な例といえるのではないでしょうか。オープンSの聞こえにより、これまで難しかったご家族の夕食、レストランでの会食、社交的なイベントを再び楽しんでいただくことができます。オーティコンは今後とも、補聴器技術の革新を重ねていくことで、聞こえに悩む人々の生活を改善していくことを目指しています」

※1.複雑ではない軽度の難聴を持つ補聴器ユーザー
※2.A Tutorial on Auditory Attention Identification Methods, Front. Neurosci., 19 March 2019
リンク
※3.フィッティング処理に基づく、最適な調整がなされた場合
※4. Juul Jensen 2019, Oticon Whitepaper
※5.Study links hearing aids to lower risk of dementia, depression & falls; only 1 in 8 older adults with hearing loss have one:リンク

本研究結果に関する詳細は、下記サイトをご覧ください。
リンク

■オーティコン補聴器について
補聴器業界におけるパイオニアであるオーティコン社(Oticon A/S)は、デンマークを本社とする世界的な企業で、15,000人以上の従業員を有するデマントグループの傘下にあります。 日本市場においては1973年より製品の製造・販売を行っています(リンク)。オーティコンの新しい企業理念「Life-changing technology(ライフチェンジング テクノロジー)」とは、「難聴による制限のない世界、補聴器が難聴者の生活に溶け込み、難聴により引き起こされる健康リスクを抑えながら、その人らしく充実した人生を送る手助けとなれるよう、常に最も革新的な補聴器開発をおこなっていくこと」です。オーティコンは先進のノンリニア補聴器、フルデジタル補聴器および人工知能補聴器を開発し、革新的な技術を開拓してきました。1977年には先進技術とオージオロジー(聴覚学)を研究するエリクスホルム研究センター(デンマーク)を設立、約13,000人以上のテストユーザーと世界中から参集した様々な分野の科学者と共に、軽度から高重度、子供用から大人用まで、あらゆる難聴に対応できるよう、常に最先端で革新的な補聴器の開発・製造を行っております。

■デマントグループについて
デマントは、115年前にデンマークのオデンセで補聴器の輸入商から始まり、のちに補聴器の製造や診断機器、人工内耳事業へと参入していきました。現在、聴覚ヘルスケアにおける全ての分野をカバーする世界唯一の企業として、世界130か国以上でビジネスを展開しています。ビジネス領域ごとの売り上げ比率では、補聴器事業が全体の87%を占めており、その他、人工内耳事業4%、診断機器事業が9%を占めています。中核となる補聴器事業ではオーティコン、フィリップス、バーナフォン、ソニックなど複数のブランドを展開しています。また、デマントはウィリアム・デマント財団が所有し、世界で唯一の慈善財団が所有する聴覚ヘルスケア企業です。全デマントグループ15,000人の従業員とともに、聴覚ヘルスケアや聞こえの改善の研究、製品開発を行っています。

▼本リリース掲載サイト リンク

▼オーティコン補聴器ホームページ
リンク

このプレスリリースの付帯情報

EEG(脳波)を用いて「脳による聞こえの選択」にOSNがもたらす影響を研究した

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