アストラゼネカの呼吸器領域生物学的製剤ファセンラ 好酸球増加症候群に対する第II相試験の良好な結果を発表 ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載

アストラゼネカ株式会社 2019年04月10日 11時00分
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本資料はアストラゼネカ英国本社が2019年4月4 日に発信したプレスリリースを日本語に翻訳し、みなさまのご参考に提供するものです。本資料の正式言語は英語であり、その内容・解釈については英語が優先します。

アストラゼネカ(本社:英国ケンブリッジ、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ[Pascal Soriot]、以下、アストラゼネカ)は2019年4月4日、呼吸器領域の生物学的製剤ファセンラ(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え)、以下ファセンラ)の好酸球増加症候群(HES)を対象とした第II相臨床試験において、好酸球のほぼ完全な除去を達成し、臨床アウトカムを改善する可能性が示されたことを発表しました。本結果は医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載されています。

20例を対象とする本臨床試験の無作為化期間では、12週時点で血中好酸球絶対数を50%以上減少した症例の割合を主要有効性評価項目としました1。その結果、ファセンラ投与群患者さんの90%が達成したのに対し、プラセボ投与群では30%の達成で、ファセンラ投与群が統計学的な有意差を示しました。


本試験の非無作為化期間では、74%の患者さんが48週時点まで好酸球数低値を維持し、症状の改善が続きました。この患者さんのうち64%が、使用中の好酸球増加症候群治療薬を減量することができました1。組織生検(消化管および皮膚)を採取した患者さんにおいては、ファセンラによる治療後、好酸球はほぼ完全に除去されました。

バイオ医薬品研究開発部門エグゼクティブバイスプレジデント兼プレジデントのMene Pangalosは次のように述べています。「今回のファセンラの好酸球増加症候群に対する治療薬としての試験結果に勇気づけられました。消耗性が高いこの疾患の治療選択肢が限られていることからも、本データは重要な可能性をもつデータです」。

好酸球増加症候群は、血中および組織中の好酸球数が高値を示す、潜在的に致死性のある希少疾患群で、体内のあらゆる臓器に進行性かつ致死性の高い障害を引き起こす可能性があります2,3。本第II相試験開始時、被験者は1,000cells/μlから21,580cells/μlという血中好酸球数の有意な高値を示していました1。

48週の治療期間中、最も多く報告されたファセンラに起因する3つの有害事象は頭痛、乳酸脱水素酵素(LDH)濃度上昇、および悪寒でした1。LDHの上昇はファセンラの初回投与後に発現が確認されましたが48時間以内に消失しました。本試験はアストラゼネカと米国国立衛生研究所付属、米国国立アレルギー感染病研究所(NIAID)が共同で実施しました。

ファセンラは、現在、重症喘息の追加維持療法として米国、EU、日本およびその他の国において承認されています。2019年2月、米国食品医薬品局(FDA)はファセンラに対し、好酸球増加症候群の治療薬としての希少疾病用医薬品指定を付与しました。

なお、現時点で、ファセンラが好酸球増加症候群に対する治療薬として承認されている国はありません。
以上

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好酸球増加症候群(HES)について
好酸球増加症候群は、白血球の一種である好酸球が血中および組織中で高値(1,500cells/μl以上)を示す希少疾患群で、長期的には進行性の臓器障害を引き起こし、未治療のままだと死に至る可能性があります2,3。好酸球増加症候群では多くの場合、皮膚、心臓、肺、消化管および中枢神経系に症状が認められます3。好酸球増加症候群により、咳、発熱、疲労、喘息、呼吸困難、喘鳴、上気道感染の再発、腹痛、嘔吐、下痢、皮膚の発疹、関節炎、筋肉痛および関節痛などの症状が起こる可能性があります3。
好酸球増加症候群の治療では、血中および組織中の好酸球を除去し、臓器損傷を防ぎ、病勢進行を遅らせることを目標としています2。好酸球増加症候群患者さんの中には、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)に関連する遺伝子異常を有し、チロシンキナーゼ阻害剤が有効である患者さんもいますが4、PDGFR変異を持たない患者さんの治療選択肢は限られ、有効性にばらつきがあり副作用を伴います1。

本第II相試験について
本試験は、米国国立アレルギー感染病研究所(NIAID)とアストラゼネカが連携して実施した、ベンラリズマブ(30mgを4週毎に皮下投与)の無作為化二重盲検プラセボ対照試験です。対象患者さん20例は、血小板由来増殖因子受容体A(PDGFRA)陰性の好酸球増加症候群(非白血病)と診断され、安定した好酸球増加症候群治療下において好酸球数が1,000cells/μl以上を示す患者さんです1。非無作為化期間へ移行後は、好酸球増加症候群治療薬を忍容される範囲で減量しました。
無作為化期間の主要有効性評価項目は、12週時点で血中好酸球絶対数が50%以上減少した症例の割合でした1。副次的評価項目は、12週時点の好酸球数の減少、有害事象の頻度と重症度、骨髄中および組織中好酸球増加の変動、および48週時点の好酸球増加症候群治療の減量が含まれました。探索的評価項目には、奏功に関する臨床および非臨床予知因子の評価が含まれました。

ファセンラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:ベンラリズマブ(遺伝子組換え))について
ファセンラは、ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性により、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)が、血中、気道の好酸球を直接的かつ速やかに除去するモノクローナル抗体です5,6。
ファセンラは、アストラゼネカの呼吸器疾患領域における最初の生物学的製剤で、現在、米国、EU、日本、その他の国において、重症喘息治療の追加療法として承認されており、数カ国で承認申請中です。ファセンラは、固定用量があらかじめ充填されたプレフィルドシリンジの注射剤で、初回、4週後、8週後に皮下に注射し、以降、8週間隔で皮下に注射します。ファセンラは現在、重症の鼻ポリープ症に対する治療薬として検証中です。好酸球増加症候群に対するファセンラの第III相試験は開始されておらず、また、現時点でファセンラが好酸球増加症候群に対する治療薬として承認されている国はありません。
ファセンラは、日本の協和発酵キリン株式会社の完全出資子会社であるBioWa社から導入され、アストラゼネカが開発しました。

アストラゼネカにおける呼吸器疾患について
呼吸器疾患はアストラゼネカの主要疾患領域のひとつで、2018年には世界中の1,800万人以上の患者さんに維持療法として当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびにAerosphere Delivery Technologyなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、現在重症喘息治療薬として承認され、重症鼻ポリープ症の治療薬として開発中のファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、および重症喘息の第III相試験を実施中で、米国食品医薬品局から画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy designation)を受けている tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究に注力しています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・腎・代謝疾患、および呼吸器の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細についてはリンク または、ツイッター@AstraZeneca(英語のみ)をフォローしてご覧ください。

References

1. Kuang FL, Legrand F, Makiya MA, et al. Benralizumab Treatment for PDGFRA-negative Hypereosinophilic Syndrome. N Engl J Med.

2. American Partnership for Eosinophilic Disorders. Hypereosinophilic Syndromes. Accessed 2 February 2019. apfed.org/about-ead/hypereosinophilic-syndrome/.

3. American Partnership for Eosinophilic Disorders. APFED Hypereosinophilic Syndromes Brochure. December 2017. Accessed 2 February 2019. apfed.org/wp-content/uploads/2017/12/APFED_HES_bro_final.pdf.

4. National Center for Biotechnology Information Resources. PDGFRA platelet derived growth factor receptor alpha [Homo sapiens (human)]. Accessed 13 March 2019. ncbi.nlm.nih.gov/gene/5156

5. Kolbeck R, Kozhich A, Koike M, et al. MEDI-563, a humanized anti–IL-5 receptor a mAb with enhanced antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity function. J Allergy Clin Immunol. 2010 Jun;125(6):1344-1353.e2.

6. Pham TH, Damera G, Newbold P, Ranade K. Reductions in eosinophil biomarkers by benralizumab in patients with asthma. Respir Med. 2016; 111:21-29.

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