フロスト&サリバン:2019年グローバルヘルスケア業界の8大トップトレンド -2019年以降IT・小売とヘルスケア業界の垣根はなくなり、GAFAの個別ケア参入も期待

フロスト&サリバンは、2019年のグローバルヘルスケア市場のトップトレンド予測を発表しました。2019年のヘルスケア業界では、「価値に基づいた医療(バリューベース・ヘルスケア)」への移行が世界的に開始するほか、AI(人工知能)及びブロックチェーンのヘルスケア領域における導入の現実性が判断される年になる見込みです。2019年以降、ヘルスケア業界とIT、小売業界の垣根はますます曖昧となり、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)等の大手テクノロジー企業が病院外で行う個別ケア市場へ参入することも予想されます。

弊社の予測では、2019年のグローバルヘルスケア市場は前年比5.1%で成長し、同市場規模は1兆9,693億米ドルに到達する予測です。本市場規模には「製薬・バイオテクノロジー」、「メディカルテクノロジー」、「メディカルイメージング機器」、「体外診断用医薬品(IVD)」、「ヘルスケアIT」の5つの領域が含まれます。中でもヘルスケアIT市場は2019年に前年比11.0%増の1,480億米ドルに到達する予測となり、最も大きく成長する見込みです。



フロスト&サリバンが予測する2019年のグローバルヘルスケア業界の8大トレンドは、以下になります。

1. 「バリューベース・ヘルスケア」への移行が世界的に開始

2019年以降、コスト効率ではなく患者の治療効果に焦点を置いた「価値に基づいた医療(バリューベース・ヘルスケア)」への移行が世界的に進む見通しです。特に医療支出の割合がGDP(国内総生産)の10%程度を占める日本や米国、スウェーデン等の国々において、この動きがより顕著となるでしょう。2019年に、バリューベース・ヘルスケア関連の支出は世界全体のヘルスケア支出の約15%を占める見込みです。

2. ヘルスケアITにおけるAI活用がさらに拡大

2019年には、AI(人工知能)を用いた臨床及び非臨床の事例におけるヘルスケアの有効性が実証され、ヘルスケアITにおけるAI活用がさらに進む見通しです。ヘルスケアIT領域のAI市場は2019年にグローバルで17億米ドルに到達する見込みとなり、特に医用画像診断、創薬やリスクアナリティクスといった領域での活用拡大が見られるでしょう。

3. デジタルヘルスは個人の健康管理ツールへと進化

慢性疾患の医療費の増加や高齢化社会の進行に伴い、2019年からデジタルヘルスは従来の範囲を超え、個人が自身の健康管理を行う手段へ進化して行く見込みです。個別ケア領域のデジタルヘルス市場は、2019年にグローバルで前年比30%増の250億米ドルに到達する見通しとなり、特にテレヘルス(遠隔医療)、mヘルス(モバイルヘルス)、RPM(遠隔患者モニタリング)、PERS(個人用緊急応答システム)の導入が拡大する見込みです。

4. アジアの新興市場が医薬品開発の世界的イノベーションハブへ成長

世界でも最も速いペースで成長を遂げているアジアのヘルスケア市場は、世界的にその存在感を増しつつあり、アジア地域のニーズに合わせた製品開発が進んでいます。2019年にグローバル医薬品・医療機器メーカーが行う研究開発(R&D)投資のうち、最大で10%程度がアジアの新興市場におけるイノベーション開発促進が対象となることが予測されます。この傾向に伴い、2019年以降にアジアが製薬・医療機器開発の世界的イノベーションハブに成長することが期待されます。

5. 医療提供者間でのアナリティクス活用が拡大

ヘルスケア業界でビッグデータを通じたデータ管理の浸透に伴い、2019年以降に医薬品の利用状況や治療経過の確認、医療費請求額の誤りの発見といった領域を中心に、医療機関でアナリティクスの活用が進む見通しです。また、2019年末までに、グローバルでヘルスケア企業の50%程度が自社内での利用を目的に、リアルワールドデータへのアクセスや共有・分析を実施するための専門のスタッフやITインフラを整える様になる見込みです。

6. ヘルスケア用途の音声認識ソリューションが主要市場に

2019年には、Nuance CommunicationsやOrbita等の企業がリードする音声認識ソリューション市場において、ヘルスケア用途の音声認識が主要な市場となることが予測されます。2019年内には、HIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)に準拠した医療目的の音声認識やチャットボットが登場し、将来的には高齢者ケアや慢性疾患の症状管理、医師の業務支援機能としての臨床での活用が進むことが見込まれます。

7. ヘルスケア領域のブロックチェーンの商用化が開始

2019年にはブロックチェーンのヘルスケア領域における早期段階の実用化が開始し、主にB2B領域での利用における費用対効果の優位性が実証される見通しです。スタートアップによるブロックチェーンの商用化が進み、2019年末までにはB2B領域でのヘルスケア用途のブロックチェーンの5%~10%が、試験段階から限定的な商業利用へ移行する見込みです。

8. データドリブン型の医療保険が保険業界を革新

従来の医療保険が個別のニーズに十分に対応出来ていないケースがある中で、医療保険会社はサービスの個別化を目的にデータ駆動(データドリブン)型の医療保険サービスの提供を既に開始しています。2019年末までには、グローバルの主要生命保険会社が提供する生命医療保険プランのうち5%~10%程度が、ライフスタイルや医療データドリブン型のインタラクティブな保険プランとなることが見込まれます。

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広報担当:辻 安奈
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