2018年中堅・中小企業における自動化およびRPA関連ソリューションへの投資動向

ノークリサーチは中堅・中小企業における「データ処理の自動化」および「RPA(Robotic ProcessAutomation)」に関連するITソリューションの投資動向を調査し、その結果を発表した。

<「隙間として残っていた非効率な手作業の自動化」は中堅・中小においても有望な潜在市場>
■「PC操作内容の記録による自動化」の導入予定率は従業員数100~1000人で26.0~36.7%
■「RPA」関連用語の増大は望ましくないが、「Traditional」と「Cognitive」の違いは意識すべき
■「チャットによる検索」ではクラウド形態の導入予定が4割、「RPA」では慎重な検討が必要
■「導入予定割合」と「初年度合計費用」の観点では「Cognitive RPA」が今後注目すべき領域

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2018年4月16日

2018年 中堅・中小企業における自動化およびRPA関連ソリューションへの投資動向

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は中堅・中小企業における「データ処理の自動化」および「RPA(Robotic ProcessAutomation)」に関連するITソリューションの投資動向を調査し、その結果を発表した。本リリースは「2018年版 DX時代に向けた中堅・中小ITソリューション投資動向レポート」のサンプル/ダイジェストである。


<「隙間として残っていた非効率な手作業の自動化」は中堅・中小においても有望な潜在市場>
■「PC操作内容の記録による自動化」の導入予定率は従業員数100~1000人で26.0~36.7%
■「RPA」関連用語の増大は望ましくないが、「Traditional」と「Cognitive」の違いは意識すべき
■「チャットによる検索」ではクラウド形態の導入予定が4割、「RPA」では慎重な検討が必要
■「導入予定割合」と「初年度合計費用」の観点では「Cognitive RPA」が今後注目すべき領域


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業700社(日本全国、全業種)(有効回答件数)
対象職責: 企業の経営に関わるまたはITの導入/選定/運用作業を担う職責
※調査対象の詳しい情報については右記URLを参照 リンク


■「PC操作内容の記録による自動化」の導入予定率は従業員数100~1000人で26.0~36.7%
昨今では大企業のみならず、中堅・中小企業においても「人手不足」の問題が深刻化しつつある。また、長時間労働の抑制やワークライフバランスの意識も高まってきている。そのため、中堅・中小企業においては「限られた人数で最大限の成果を挙げる」ための取り組みが求められてくる。会計、販売、メール、グループウェアなどの基本的な業務アプリケーションは既に多くのユーザ企業が利用している。だが、「Webサイトや営業担当から収集した顧客データを手作業でリスト化している」など非効率でミスの発生しやすい業務場面は意外と多く残っている。こうした隙間を埋めるための取り組みとして、「自動化」への関心が高まってきている。以下のグラフは「RPA(Robotic Process Automation)」と呼ばれる自動化ソリューションのうち、「PCの操作を記録することによる自動化」の導入予定割合を従業員数を軸として集計した結果である。従業員数100人未満での導入予定割合は2割未満に留まるが、従業員数が100~1000人の企業層における導入予定割合は26.0~36.7%と高い値を示している。業務システムの開発/運用を担うベンダや販社/SIerにとって 「隙間として残っていた非効率な業務場面に対する自動化ソリューションの訴求」は新たな有望市場の1つといえる。本リリースの元となる調査レポートでは、RPAを含む自動化ソリューションの中から有望なものを選定し、それらの活用意向などに関する詳しい集計と分析を行っている。次頁以降ではその一部をサンプル/ダイジェストとして紹介している。

■「RPA」関連用語の増大は望ましくないが、「Traditional」と「Cognitive」の違いは意識すべき
本リリースの元となる調査レポートでは40項目に渡るIT活用場面(ITソリューション)に対する中堅・中小企業の活用意向を尋ね、詳しい集計/分析を行っている。以下の一覧はその中の「データ処理の自動化」に関する項目を列挙したものだ。
(その他のITソリューション項目については右記を参照 リンク
「B3-1.PC操作内容の記録による自動化」←主にPC単体で動作する「Traditional RPA」(RDAと呼ばれることもある)
従業員が行ったPC操作内容を記録し、それを再生することによって処理を自動的に実行する
例) NTTデータ「WinActor」
「B3-2.業務フローの定義と連携による自動化」←主にクライアント/サーバ形態で動作する「Traditional RPA」
複数の業務システムに跨る複雑な作業の流れを定義/連携し、処理を自動的に実行する
例) RPAテクノロジーズ「BizRobo!」
「B3-3.AIによる高度な内容判断を伴う自動化」←「Cognitive RPA」
メールや文書の中身を認識し、顧客返答や承認判断などの高度な処理を自動的に実行する
例) ネットスマイル「AI-RPAロボ」
「B3-4.チャットの内容を理解した情報検索」
チャットで尋ねた内容を理解し、社内外の様々な情報源を検索して最適な結果を返答する
例) NTTコミュニケーションズ「COTOHA Chat&FAQ」
「B3-5.音声分析による議事録の自動作成」
会議の音声を分析することで、ヒトの作業を介さずに議事録のテキストを自動的に生成する
例) NEC「VoiceGraphy」 「B3-1」「B3-2」「B3-3」が「RPA(Rototic Process Automation)」に該当するITソリューションであり、昨今高い注目を集めている。
「B3-1」や「B3-2」は決められたルールに従って実行される従来型の業務プロセス(Rule-based Task)を自動化するという意味で「Traditional RPA」(ルールに基づく自動化)と呼ばれる。一方、「B3-3」はメール文面の中身に応じて対応を決めるといったように、ヒトによる判断が必要な業務(Judgemental Task)を自動化するという意味で、「Cognitive RPA」(認識/推論を伴う自動化)と呼ばれる。また「B3-1」は単体のデスクトップ環境で実行されることが多いため、 「RDA(Robotic Desktop Automation)」 )
として細分化する定義もあるが、本リリースの元となる調査レポートでは「RDA」は「RPA」における実装形態の1つと位置付けて、「RPA」と「RDA」をまとめて「RPA」と表記している。「RPA」関連用語が増えすぎる状況は避けるべきだが、後述する今後の展開を踏まえると、 「Traditional RPA」 と「 Cognitive RPA 」の違いについては意識しておくことが重要と考えられる。以下はノークリサーチにおけるRPA関連の定義を整理した図表である。


■「チャットによる検索」ではクラウド形態の導入予定が4割、「RPA」では慎重な検討が必要
「B3-4.チャットの内容を理解した情報検索」における望ましいシステム形態を尋ねた結果では「導入予定(クラウド形態)」(43.1%)が「導入予定(オンプレミス形態)」(25.3%)を大きく上回っている。チャットを用いた情報検索ではインターネット上の様々な情報も参照する必要がある。したがって、クラウド形態による導入が適合しやすいものと考えられる。
一方で、 「B3-4.チャットの内容を理解した情報検索」におけるスマートデバイス利用の有無を尋ねた結果では「導入予定(スマートデバイス利用有)」(37.8%)の方が「導入予定(スマートデバイス利用無)」(30.7%)よりも高い回答割合を示しているものの、その差は10ポイント未満に留まっている。チャットを用いた情報検索では、「端末から複雑な画面操作を行うことは少ないため、端末環境ではスマートデバイスの割合が高くなるのではないか?」といった仮説も考えられる。しかし上記の結果が示すように、実際は「PC上で従来通り業務をこなしながら、必要な情報をチャットで検索する」といった活用シーンを想定しているユーザ企業も少なくないと考えられる。
ここでは「B3-4.チャットの内容を理解した情報検索」に関するシステム形態とスマートデバイス利用有無について述べたが、本リリースの元となる調査レポートでは、前頁列挙した「Traditional RPA」や「Cognitive RPA」に該当するITソリューションにおけるシステム形態やスマートデバイス利用有無の傾向についても集計と分析を行っている。
「RPA」では社内に設置された既存システムとのデータ連携が必要となる場面も多い一方、自動実行の仕組みがOS/ミドルウェアのアップデートに影響されるなどの管理/運用における負担も課題となっている。そのため、「RPA」におけるシステム形態をクラウドとオンプレミスのどちらにすべきか?は難しい選択でもある。調査レポートではシステム形態に関するデータを踏まえながら、この点についても分析と提言を行っている。


■「導入予定割合」と「初年度合計費用」の観点では「Cognitive RPA」が今後注目すべき領域
「データ処理の自動化」に関して、今後有望なITソリューションはどれか?を見極めるためには「導入予定の割合」だけでなく、「ITソリューション導入に要する初年度の合計費用(万円)」も加味する必要がある。以下のグラフは「データ処理の自動化」に関連するITソリューションの「導入予定割合」(横軸)と許容できる「初年度合計費用」(縦軸)をプロットしたものだ。 (ここでは各項目の位置のみを示しているが、本リリースの元となる調査レポートでは具体的な数値も含めてグラフ化されている) またここでの「初年度の合計費用」とは、該当するITソリューションの実現に際して初年度に必要となるハードウェア、ソフトウェア、システムインテグレーションなどの全ての費用合計を指す。 「導入予定割合」と「初年度合計費用」の双方において高い値を示している項目(グラフで右上に位置する項目)が最も有望なITソリューションということになるが、上記の場合には「B3-3A. AIによる高度な内容判断を伴う自動化」がそれに該当する。
したがって、今後は既に導入が進みつつある「Traditional RPA」( 「B3-1」や「B3-2」)に続いて、「B3-3」の「Cognitive RPA」が有望なITソリューションになっていくと予想される。 さらに、本リリースの元となる調査レポートでは、以下に列挙した項目で「IT活用において今後重要度が高くなると考えられる事柄」(ITソリューションを提供する側が留意すべきポイント)についても尋ねている。
社内の人材や体制に関する項目:
・IT活用の計画立案/提案/推進を担える社内人材の育成
・人材不足を回避するための人材派遣サービス活用
・人材不足を回避するための業務アウトソーシング
・外国籍の従業員を対象とした教育や研修の整備
・働き方改革に沿ったテレワーク/在宅勤務の推進
・業務の効率化に向けたモバイルワークの推進 コンサルティング活用に関する項目:
・ウェアラブル端末のビジネス活用に向けたコンサル活用
・スマートスピーカのビジネス活用に向けたコンサル活用
・対話型ロボットのビジネス活用に向けたコンサル活用
・ドローンのビジネス活用に向けたコンサル活用
・IoTのビジネス活用に向けたコンサル活用
・AIのビジネス活用に向けたコンサル活用 システムに関する項目:
・クラウドとオンプレミスを逐次切り替えられるシステム
・災害対策の備えとしての遠隔地システムバックアップ
・普段は使わないが保存が必要なデータの保管サービス
・売上などと連動した成果報酬型のITサービス料金の採用 例えば、「Cognitive RPA」を訴求する際、もし多くのユーザ企業が「AIのビジネス活用に向けたコンサル活用」を望んでいるとすれば、ベンダや販社/SIerとしてはシステム導入よりも前の段階であるコンサルフェーズにも注力する必要が生じてくる。
また、「スマートスピーカのビジネス活用に向けたコンサル活用」を望むユーザ企業が多いという場合には、自動化における入力手段として音声も考慮に入れる必要が出てくる。この点に関する分析結果の詳細はここでは割愛するが、「データ処理の自動化」を訴求する際には「各ITソリューションに関連して、ユーザ企業が何を求めているか?」を把握しておくことが非常に重要となってくる。


本リリースの元となる調査レポート

『2018年版 DX時代に向けた中堅・中小ITソリューション投資動向レポート』 中堅・中小市場の攻略に不可欠となる40項目に渡る新たなIT活用場面(ITソリューション)の活用意向を網羅
【サンプル/ダイジェスト】
「2018年 MA/チャットボット/スマートスピーカ/ロボットなどによる顧客対応改善への投資意向」
リンク
「2018年 「働き方改革」とは異なる堅実な「人材の活性化」を実現するITソリューション投資動向」
リンク
「2018年 中堅・中小企業における自動化およびRPA関連ソリューションへの投資動向」 (本リリース)
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【レポート案内(サンプル属性、設問項目、試読版など)】 リンク
【価格】180,000円(税別)


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当調査データに関するお問い合わせ
株式会社 ノークリサーチ 担当:岩上 由高
〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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