ハーバード、バブソン、CCLの取材を通して見えた リーダーシップの新潮流

株式会社 日本能率協会マネジメントセンター 2017年10月24日 14時00分
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2017年9月、世界経済フォーラムは、健康で教養のある人材を育成して維持できるかを示す「人的資本指数」を発表しました。日本は昨年の4位から17位へ急落し、人材育成力低下が明らかとなりました。少子高齢化で生産年齢人口の減少が進む日本では、質の高い人材を生み出す人材育成が喫緊の課題です。

質の高い人材育成の鍵となるのが「インフォーマル・リーダーシップ」です。インフォーマル・リーダーシップとは、権限や役職の力に依存せず、課題解決をもたらす新たな取り組みを多様な他者と連携しながら推進していくことです。アメリカが“双子の赤字”に陥った80年代以降、カリスマ型の経営トップによるリーダーシップが着目されていましたが、最近では、その潮目が変わりつつあります。経営層や管理職に限らず全員がリーダーシップを発揮する環境づくりに、注目が集まっています。 

これまで、日本に限らずリーダーシップ研究といえば、経営トップ層や管理職が対象の中心でした。そこで、今回はインフォーマル・リーダーシップの潮流と、インフォーマル・リーダーシップが発揮される環境づくりを企業がどのように行えば良いか、株式会社日本能率協会マネジメントセンター(代表取締役社長:長谷川隆、東京都中央区、以下JMAM[ジェイマム])の研究員、堀尾志保がご紹介します。

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JMAMのリーダーシップ研究員が解説
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1.新しいリーダーシップのあり方
  海外の研究・教育機関へのインタビューから

2. インフォーマル・リーダーシップを発揮する人材とは?
  企業で活躍する人材へのインタビューから

3. インフォーマル・リーダーシップが溢れる環境づくり
  JMAMから6つの提言

総括:インフォーマル・リーダーシップの発揮に向けて

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​​​【JMAM リーダーシップ・プロジェクト 研究員 堀尾 志保】
2000年にMBA取得後、入社。米国リーダーシップ研究機関Center for Creative Leadershipなど海外研究機関との渉外業務に加え、管理職、リーダー育成の教育企画や調査研究に従事。現在はリーダーシップ・プロジェクトのリーダーとして、非役職者のリーダーシップ発揮を促進する活動に取り組む。著書に『コンピテンシー・ラーニング』(JMAM、共著)など。
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1.新しいリーダーシップのあり方
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まず、前提となるリーダーシップの新しい考え方についてご説明しましょう。リーダーシップの考え方は、従来のような経営層や管理職によるトップダウンのリーダーシップから、社員全員がリーダーシップを発揮できる環境づくりへシフトしています。 JMAMでは国際的な潮流を探るため、リーダーシップ教育機関として世界的に定評のある3つの機関、ハーバード大学ビジネススクール、リーダーシップを専門に扱う非営利研究・教育機関のCCL(Center for Creative Leadership)、起業家養成機関として著名なバブソン大学を訪ねました。これらの研究・教育機関とのインタビューを通じ、新しいリーダーシップのあり方として5つの共通するキーワードがあることがわかりました。

【表1】リーダーシップの新潮流
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上記のインタビューを通して、役職や権限の保有者に限定されないリーダーシップの可能性がうかがえます。では、一人ひとりがリーダーシップを発揮するためには、どのような環境や要素が必要とされるのでしょうか。

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2.インフォーマル・リーダーシップを発揮する人材とは?
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実際にインフォーマル・リーダーシップを発揮するためには、どうすれば良いのでしょうか。JMAMでは、以下の要件に当てはまる人材を対象として、10社11名のインフォーマル・リーダーシップの担い手たちへインタビューを行いました。

1)当時、役職にはついていない(いなかった)が
2)自らの発意で
3)自分以外の課題解決にもつながる新たな取り組みを
4)周囲を巻き込んで実現させた人材

インタビューは、取り組みに着手したきっかけ、物事の捉え方、考え方など広範な質問を行う形で進め、回答から対象者の共通項を探りました。取り組みの内容は、職場の身近な課題解決から社会に影響を与えるレベルまで様々でしたが、共通する4つのポイントがわかりました。

【表2】インフォーマル・リーダーシップの発揮に共通するポイント
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さらにインタビューでは、4つの共通項は、「リーダー的素養のある両親のもとで育った」などの家庭環境による影響はそれほど受けていないこともわかりました。対象者には、学生時代のサークルのイベント活動、アルバイトでの自主的な活動や、社会人になってからの仕事の段取り、リソースのやりくりなどを通して、「自らコトを起こすこと」「工夫により新しい何かを生み出すこと」「他者に働きかけること」が、肯定的な結果につながるという経験を共通して持っていました。インフォーマル・リーダーシップは特別な家庭環境や能力を持つ人材だけが発揮するものではなく、小さな取り組みの中に創意工夫や価値提案をする喜びを感じた経験が素地となり、開花していくのです。

インタビュー結果を受けて、リーダーシップ開発や人材育成に関わる研究を行う立教大学経営学部の舘野泰一助教は以下のようにコメントしています。

~ 企業は「人&組織づくり」の両輪が必要 ~
リーダーシップとは、公式に権限や役職があったり、トップダウンで他者を導いたりするイメージがありますが、本来は(1)権限や役職に限らず発揮できるものであり、(2)陰ながらチームをサポートする行動も含まれるものであり、(3)努力(訓練)次第で伸ばすことができる力です。これらは、今回の調査結果にも通ずる点があると思います。

近年、このような認識に立ったリーダーシップ教育が行われるようになってきました。私が関わる立教大学では「権限がなくても発揮できるリーダーシップの涵養(かんよう)」を目的とし、率先垂範、同僚支援・環境整備、目標設定・共有ができることを教育目標としています。近年では他大学や高校でもリーダーシップ教育を取り入れる動きが起きています。

このような状況は、リーダーシップのある学生を採用できる可能性が高まるため、企業にとって歓迎すべき状況です。一方、企業側の受け入れ体制を変化させる必要もあります。新たなリーダーシップ教育を受けた社員が増えても、受け入れ側が誤ったリーダーシップ観を持つ場合は、組織の発展に結び付きません。企業では今後、個人のリーダーシップ育成だけでなく「リーダーシップとは何か」という共通理解をつくり、新しいリーダーシップが推奨される組織文化づくりも行う必要があります。リーダーシップを持つ個人の育成と、リーダーシップが生きる組織づくりの両輪をまわせる体制づくりが企業で一層求められます。

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3.インフォーマル・リーダーシップが溢れる環境づくり
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では、インフォーマル・リーダーシップが発揮される企業風土を醸成するためには、どうすれば良いでしょうか。組織内でインフォーマル・リーダーシップを涵養する仕掛けづくりについて、6つの観点から提言を行いたいと思います。

【表3】インフォーマル・リーダーシップ発揮に向けた6つの提言
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以上のように、インフォーマル・リーダーシップが組織に根付き、存分に発揮される環境になるためには、6つのポイントを抑えることが重要です。

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総括 : インフォーマル・リーダーシップの発揮に向けて
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変化が激しい時代に社会課題解決と事業性の両輪で成功していくためには、これまでのような経営トップ層によるカリスマ型の強力なリーダーシップだけでは太刀打ちできなくなっています。そのような環境では、メンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮できる環境をつくるという面でのリーダーシップ発揮が求められるようになっています。またメンバー一人ひとりは、フォロワーシップの発揮に限らず、自らが権限によらないリーダーシップを発揮することが求められています。

どちらのリーダーシップのあり方も、あるべき像を一度学べばよいというものではなく、経験・体験を通じて学び続けていくことが重要です。そこで、JMAMでは至るところにリーダーシップが溢れる組織づくりをめざし、インフォーマル・リーダーシップの研修プログラムを導入しました。

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【表4】インフォーマル・リーダーシップ研修の特長
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【表5】インフォーマル・リーダーシップ研修の概要
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今後もJMAMでは一人ひとりが自身の能力を存分に発揮できる環境づくりに向けて、人材育成支援をサポートしてまいります。

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【報道関係者お問い合せ先】
(株)日本能率協会マネジメントセンター 広報担当
TEL:03-6362-4361

【本調査の内容に関する報道関係者様 お問い合せ先】
(株)日本能率協会マネジメントセンター カスタマーリレーション部
TEL:03-6362-4343

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