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2016年中堅・中小企業のIT活用における注目ポイントと展望(新規IT活用領域編)

ノークリサーチは新規のIT活用領域に関する2016年の中堅・中小企業におけるIT活用の注目ポイント と展望を発表した。

<新規IT活用提案では業種や地域の特性や各種の規制緩和など、総合的な観点が必要>
■IoTはグローバル企業や国家レベルだけでなく、中堅・中小企業も関心を持つ重要分野
■IoT関連ビジネスでは「分業体制」が有効だが、強固で信頼できるシステム基盤が不可欠
■「民泊⇒体験民宿」や「ライドシェア⇒貨客混載」といった関連項目への視点展開が重要

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2016年1月6日

2016年中堅・中小企業のIT活用における注目ポイントと展望(新規IT活用領域編)

調査設計/分析/執筆
株式会社ノークリサーチ
シニアアナリスト 岩上由高


株式会社ノークリサーチ(〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニ TEL:03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)は新規のIT活用領域に関する2016年の中堅・中小企業におけるIT活用の注目ポイント と展望を発表した。本リリースは2015年の調査結果を振り返り、そこから読み取れる2016年の年頭所感をまとめたものである。


<新規IT活用提案では業種や地域の特性や各種の規制緩和など、総合的な観点が必要>
■IoTはグローバル企業や国家レベルだけでなく、中堅・中小企業も関心を持つ重要分野
■IoT関連ビジネスでは「分業体制」が有効だが、強固で信頼できるシステム基盤が不可欠
■「民泊⇒体験民宿」や「ライドシェア⇒貨客混載」といった関連項目への視点展開が重要


■IoTはグローバル企業や国家レベルだけでなく、中堅・中小企業も関心を持つ重要分野
2015年はビッグデータなどに代表される新たなIT活用領域での取り組み事例も数多く見られ、大企業のみならず 中堅・中小企業においても活用の兆しが見え始めた年でもあった。こうした取り組みは多岐に渡るが、その中でも比較的広い年商規模における普及が期待されるのが「IoT」(Internet of Things)である。
以下のグラフは年商500億円未満の中堅・中小企業全体に対し、「今後3年以内に投資の可能性がある新たなIT活用 領域」を尋ねた結果から一部を抜粋し、IoTとソーシャルに関する投資意向を年商別に比較したものだ。
「IoT」では米GEが主導する「Industrial Internet」やドイツが国家レベルで推進する「Industrie4.0」といった 大掛かりな取り組みが話題となることが少なくない。だが、上記のグラフが示すように年商規模の小さな企業層に おける「IoT」への今後の取り組み意向は「ソーシャル」(SNSを活用した認知向上や顧客接点拡大など)と比較 しても高くなっていることがわかる。
次頁以降では新規のIT活用領域に関する2016年の年頭所感として「IoT」と中堅・中小企業との関わりや「シェア リングエコノミー」や「ドローン」といった更に新しい分野における可能性について言及している。


■IoT関連ビジネスでは「分業体制」が有効だが、強固で信頼できるシステム基盤が不可欠
一般家庭に目を向けてみると、テレビ/冷蔵庫/洗濯機といった大手メーカが製造/販売する家電製品だけでなく、暖房器具 (ストーブ/こたつなど)や給湯器(ポットなど)といった様々な「モノ」が存在する。今後、高齢化が進むと共に労働力人口が 減少していくことを踏まえると、こうした「モノ」からネットワークを介して情報を収集し、保守/メンテナンスや消費者の見守り サービスなどを実現していくことが重要となってくる。これは「IoT」の代表的な取り組み例の一つといえる。
だが、何らかの器具を製造/販売する中堅・中小企業が上記のような仕組みを単独で構築することは難しい。こうした現状を 踏まえて、昨今ではIT企業ではない一般の製造業などが他社と協力しながらIoTに向けた基盤構築に取り組む例も出てきて きている。暖房機器を開発/販売するHEATEC社が中心となって推進する「OMOIKANetプロジェクト」はその代表例の一つだ。
同社が製造/販売する暖房器具や各種の様々なセンサから得たデータを有効活用するためにはそれらを伝達/集積/分析する 仕組みが必要となる。それらをオープンなプラットフォームとして提供し、規模を問わず様々な企業や個人が新たなビジネスを 創造できる環境を実現することが同プロジェクトの理念である。(システム基盤としては日本IBMが提供する「Bluemix」を活用している)このように「IoT」に取り組むためのシステム基盤が整うことにより、「IT企業から見た時のユーザ企業が自らがIoTを実現するための環境を提供する側になる」といった取り組み例が今後も出てくると予想される。
このように一般消費者にとって身近な「モノ」に目を向ければ、中堅・中小企業や新興のベンチャー企業がIoT関連市場で注目 を集める存在となることも不可能ではない。「スマートロック」はそうした具体例の一つである。従来のドアに通信機能を持った施錠器具を付加することで、特別な工事をせずにスマートフォンをカギ代わりに利用できるようにするものだ。一時的にカギを発行することも可能なため、不動産業における内覧時のカギ受け渡しが不要になるなどといったメリットがある。フォトシンス社の「Akerun」、ライナフ社の「NinjaLock」、ソニーが出資するQrio社の「Qrio Smart Lock」といったように、主要なプレイヤーにはベンチャー企業が目立つ。センサ、デバイス、ネットワーク、データストア、コンピューティングリソースなどの必要な構成要素を組み合わせることにより、アイデア次第では中堅・中小企業や新興のベンチャー企業もIoTを基盤とした新たなビジネスを展開できる可能性があるといえるだろう。
だが、中堅・中小企業がこうした「分業体制」を敷く場合には注意すべき点もある。具体例として挙げられるのは米Aether社の 事例だ。同社はWiFi対応のオーディオプレイヤー「Cone」を製造/販売するベンチャー企業であり、数多くの楽曲を取り揃えた 音楽ストリーミングサービスを利用できることが同製品の強みでもあった。だが、音楽ストリーミングサービス部分は他のベンチャー企業であるRdio社のサービスを利用しており、Rdio社がサービスを停止したことによって「Cone」は販売停止を余儀なく された。つまり、自社の製品/サービスにおける重要な構成要素を特定の他社に大きく依存してしまったことでビジネスの継続が困難になった事例といえる。「分業体制」自体は有効な取り組みだが、特にベンチャー企業同士の分業においてはビジネスの継続性を互いに十分確認しておくことが重要となる。
以下のグラフは顧客管理/Webサイト/ECサイトにおいてクラウドを活用している中堅・中小企業に対して実際に直面した懸念 事項などを尋ねた結果のうち、他社のシステム基盤を利用することに関する項目をプロットしたものだ。全般的に回答割合が低いものの、従来多く聞かれた「他社と基盤を共有するのが不安」(マルチテナントであることに対する不安)と比べ、「クラウド事業者による障害が心配である」が多く挙げられていることがわかる。したがって、中堅・中小企業が「分業体制」を活用して 様々なIoT関連ビジネスに取り組んでいくためには強固で信頼できるシステム基盤の提供が非常に重要と考えられる。


■「民泊⇒体験民宿」や「ライドシェア⇒貨客混載」といった関連項目への視点展開が重要
IT活用との関連で今後注目される動きの一つが「シェアリングエコノミー」である。「シェアリングエコノミー」とは個人が所有する モノやスキルを何らかの仲介サービスを通じて他の個人と共有または提供することによって成立する経済活動のことを指す。
「シェアリングエコノミー」は非常に広い概念であるため、関係するビジネスの規模や業種も多岐に渡る。そのため、中堅・中小企業にとっても新たなビジネスに取り組む契機となる可能性がある。
以下のグラフは「2015年10月以降に前四半期と比べてIT投資額を増やす」と回答した年商500億円未満の中堅・中小企業に 対してIT投資増加の理由を尋ねた結果のうち、新規のIT投資に関連する代表的な項目をプロットしたものだ。「製品/サービス の開発」や「販路の創出や拡大」と並んで「業態の拡大や転換」が挙げられていることがわかる。そのため業態の拡大や転換につながる可能性のある「シェアリングエコノミー」の動向はITソリューションを提供する側にとっても重要なトピックといえる。
以下では今後注目すべき「シェアリングエコノミー」の一つの例として、「民泊」と「ライドシェア」について述べる
民泊:
「Airbnb」に代表されるように、一般個人が自身の住まいを観光客などに宿泊先として提供することを支援するサービスが 注目を集めている。ただし、日本では個人が反復的にこうした行為を行うことは旅館業法によって禁じられており、大阪府 や東京都大田区といった一部の地域で条例として認められたばかりだ。とはいえ、これらの条例は「広さが25平方メートル 以上かつ7日以上の利用」を条件としており、遊休物件を抱える業者による短期の部屋貸しを認めるといった側面が強い。
また、こうした取り組みの背景として外国人観光客向けの宿泊施設不足が良く挙げられるが、それだけでは需要が一部の 観光地に偏ってしまい、国内需要の喚起や地方の活性化につながりにくい。そこで注目すべきなのが「体験民宿」である。
農林漁業従事者は農林漁業体験を伴う宿泊施設の提供(「農家民宿」)が認められている。農林漁業従事者以外が同様の 体験型宿泊施設を提供するのが「体験民宿」である。だが、従来は客室延床面積が33平方メートル以上という制約条件が あった。しかし、2015年6月末の閣議決定において同条件の除外が決まり、規制緩和が進みつつある。つまり、IターンやU ターンで地方に移った若者などが体験型宿泊施設を開業しやすくなり、若者が持つ新たな発想を活かした需要喚起も期待 できる。また、それらをサポートするWebサイトや予約サービスといったIT基盤提供はITソリューションを提供する側としても 検討に値する取り組みといえるだろう。
ライドシェア:
ライドシェアとは自家用車を所有する個人と旅客としての利用を望む個人をマッチングさせるビジネスまたはそれを実現する サービスを指す。(「カーシェアリング」とは異なる点に注意)ただし、道路運送法に抵触するため、日本国内では現在こうした サービスは提供されていない。(現段階で米Uber社が日本で展開しているのはタクシー会社と提携した配車サービスであり、 海外で同社が展開しているライドシェアとは異なる) 民泊と同様にライドシェアも東京オリンピックに向けた需要増への対応 が取り組み理由として挙げられることがあるが、東京を含む大都市圏ではタクシーが既に余剰気味である。むしろ、必要なの は過疎地における移動手段や物流手段の確保だ。人口の減少により、旅客業も運輸業も現状のビジネスだけでは収益性の 確保が難しくなりつつある。こうした課題への対策として国土交通省の有識者会議などで検討されているのが「貨客混載」だ。 現状では貨物と旅客の運送はそれぞれ別の法律で定められているが、「タクシーが郵便物や宅配便を運ぶ」、あるいは逆に 「運送業者が配送ルートを回る際に旅客を載せる」といった混在を認めるというものである。これが実現されれば、過疎地に おける移動や物流が改善され、ビジネス領域が広がることで全国各地の中小運輸業におけるIT活用も進む可能性がある。
このように「シェアリングエコノミー」による業態の拡大/転換とそれに伴うIT投資の活性化を考える上では業種や地域の特性、 各種の規制緩和といった総合的な視点を持つことが重要となってくる。


■建設業における現場撮影のように「区域を限定したドローン活用」の動向にも注目すべき
2015年に多くの注目を集めた新たなツールの一つが「ドローン」である。とはいえ、落下事故やプライバシー侵害を懸念する 声もあり、企業におけるIT投資との関連性については他の項目と比べると実感しづらいかも知れない。だが、ドローン活用は 企業のビジネスシーンに少しずつ影響を与えつつある。
2015年12月には改正航空法が施行され、ドローン活用における様々なルールが整備された。この種の法整備としては非常 に迅速な取り組みといえる。 さらに国家戦略特区諮問会議は千葉県千葉市をドローンによる宅配サービスの実施を認める 「ドローン特区」として指定した。(改正航空法では人口集中地域内でのドローン運用には許可が必要となる) 今後、通販に おける宅配サービスなどの実証実験が行われることになっている。
こうした日常生活に密着したドローン活用は様々な可能性を秘めているが、地理的な広さや取り扱う物流量の多さなどから 運用の主体は資本力のある大企業に限られると予想される。一方で、「区域を限定したドローン活用」に目を向けると、中堅・ 中小企業におけるIT活用との関連性が見えてくる。建設現場における進捗記録を目的としたドローンによる写真撮影はその代表例だ。
建設現場では作業進捗を写真によって残しておく必要がある。地上からだけではなく、全体を俯瞰した視点からの写真が 必要となることもあり、従来は「付近の建物の屋上から写真を撮る」という手間や「空撮が行える業者に依頼する」などの 費用負担が生じることもあった。ドローンを活用すれば、こうした手間や負担を大幅に軽減することが可能となる。当面は 人口集中地域ではない建設現場での利用となるが、建設現場における業務効率改善に寄与するものとして期待される。
実際、建設現場をドローンを用いて空撮し、そこから3次元データを生成するサービスを提供する米SkyCatch社にコマツが 出資を行うなど、関連する大手企業による動きも活発となってきている。
こうしたドローン活用の動きが中堅・中小の建設業にも波及する可能は十分ある。以下のグラフは年商500億円未満の中堅・ 中小の建設業および小売業に対して、「導入済みまたは導入を予定/検討しているスマートデバイス端末の活用法」を尋ねた 結果のうち、回答割合が特に高かった項目をそれぞれプロットしたものだ。小売業における「タブレットをPOSレジ端末の代替 として利用する」という活用法は広く知られており、導入事例も数多く存在する。だが、建設業における「スマートフォンで現場 の写真/位置情報/報告事項などをまとめて事務所へ送信する」という活用法を望む割合はさらに高い値を示している。つまり 中堅・中小の建設業では建設現場の業務効率改善を実現する新しいツールの活用意欲が高いと考えられる。導入コストが それほどかからない一方で高い効果が期待できるという点ではスマートフォンとドローンは共通している。したがって、上記に 述べたドローン活用が中堅・中小の建設業にも波及する可能性は十分あると考えられる。さらに、ドローン活用によって収集できるデータが増えれば、それを管理/活用する業務システムにも新たなニーズが生じてくる。このように、ITソリューションを 提供する側としては特定業種における「区域を限定したドローン活用」のアイデアがどこまで広がっていくか?についても注視しておくことが重要と考えられる。


本リリースで参照した市場データを含む調査レポート一覧


本リリースは2015年に発刊された以下の調査レポートを元に、2016年の注目ポイントと展望に関する考察を行った 結果をまとめたものである。

「2015年版 中堅・中小企業におけるIT投資の実態と展望レポート」
クラウドやスマートデバイスといった新たな潮流を受けて、中堅・中小企業のIT投資はどのように変わっていくのか?
レポート案内: リンク
ダイジェスト(サンプル): ビッグデータ /ウェアラブル等の投資動向 リンク
基幹系システムの投資動向 リンク
情報系・顧客管理系システムの投資動向 リンク
運用管理系システムの投資動向 リンク
スマートデバイス関連の投資動向 リンク
PC関連の投資動向 リンク
ネットワーク関連の投資動向 リンク
価格:180,000円(税別)

「2015年版 中堅・中小企業におけるクラウド活用の実態と展望レポート」
クラウド形態で提供すべき業務システム、提供すべきでない業務システムは何か?その際に留意すべき事項は何か?
レポート案内: リンク
ダイジェスト(サンプル): クラウドへの移行状況と障壁および解決策 リンク
クラウドサービスのユーザ企業による評価 リンク
クラウドが販社/SIerの選択に与える影響 リンク
価格:180,000円(税別)

「2015年版 中堅・中小企業におけるPC/スマートデバイス活用の実態と展望レポート」
スマートフォンやタブレットはPC市場を侵食していくのか?既存のPC販売とスマートデバイスへの転換は両立できるのか?
レポート案内:
ダイジェスト(サンプル): Windows 10の中堅・中小企業への影響 リンク
PCとスマートデバイスの選択比率と方針 リンク
スマートデバイス端末の形状やOSの選択 リンク
スマートデバイス提案に有効な活用シーン リンク
価格:180,000円(税別)


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