ノークリサーチQuarterly Report 2011年夏版(Vol 015)

株式会社ノークリサーチでは、中堅・中小市場における第15回目のIT投資実態調査を行った。本リリースはその結果速報をまとめたものである。

震災直後からは徐々に回復、今冬の節電に関するユーザ企業への情報提供が大切
▼IT投資DIは依然マイナスながらも震災直後からは改善
▼年商/業種いずれの区分においても徐々に回復の動きへ
▼ユーザ企業毎の震災からの回復所要期間の把握が重要
▼今冬の電力供給の懸念をユーザ企業に伝達しておくべき

PRESS RELEASE(報道関係者各位)   2011年10月5日

ノークリサーチQuarterly Report
2011年夏版(Vol 015)

調査設計/分析/執筆: 岩上由高

2011年夏の中堅・中小企業のIT投資指標


株式会社ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1 東京芸術センター1705:代表伊嶋謙ニ03-5244-6691 URL:http//www.norkresearch.co.jp)では、中堅・中小市場における第15回目のIT投資実態調査を行った。本リリースはその結果速報をまとめたものである。
調査対象企業: 年商500億円未満の国内民間企業1000社の経営層および管理職
調査対象地域: 東日本大震災の被災地を含めた日本全国
調査対象業種: 組立製造業/加工製造業/建設業/流通業/卸売業/小売業/IT関連サービス業/一般サービス業/その他
調査実施時期: 2011年8月
※グラフは下記URLをご参照ください
リンク


震災直後からは徐々に回復、今冬の節電に関するユーザ企業への情報提供が大切
▼IT投資DIは依然マイナスながらも震災直後からは改善
▼年商/業種いずれの区分においても徐々に回復の動きへ
▼ユーザ企業毎の震災からの回復所要期間の把握が重要
▼今冬の電力供給の懸念をユーザ企業に伝達しておくべき


▼各種DI値の全体傾向→IT投資DIは依然マイナスながらも震災直後からは改善
以下のグラフはIT投資DIと経常利益DIの変化をプロットしたものである。震災から半年が経過し、2011年8月にはIT投資DI、経常利益DIいずれも大幅な落ち込みからは回復しつつあるが、2011年2月の水準にはまだ回復していない。円高などの外的要因、増税などの内的要因など震災以外の要因も絡んでくるため、引き続き状況を注視していく必要がある。
[IT投資DIの定義]
今四半期以降のIT投資予算額が前四半期と比べてどれだけ増減するかを尋ね、「増える」と「減る」の差によって算出した
「IT投資意欲指数」
[経常利益DIの定義]
前回調査時点と今回調査時点を比較した場合の経常利益変化を尋ね、「増えた」と「減った」の差によって算出した「経常利益増減指数」
以降のページでは年商別/業種別にIT投資DIの時系列変化や東日本大震災の影響が3ヶ月後と半年後でどう変わってきたかについて詳細を分析している。


▼年商別/業種別の傾向→年商/業種いずれの区分においても徐々に回復の動きへ
以下のグラフは2010年2月から2011年8月までのIT投資DIの変化を年商別および業種別にプロットしたものである。
年商別の傾向では2011年5月と比べ、2011年8月は全年商帯で改善が見られた。ただし、全体傾向と同様に東日本大震災発生前の2011年2月の水準には達しておらず、引き続きIT投資は抑制される傾向になる。年商5億円未満の小規模企業層については、震災を受けてのPCデータバックアップ需要の高まりなどによって過去の水準よりも高い値を示している。ただし、この傾向は一時的なものである可能性が高く、他の年商帯と同様に災害対策以外のソリューションを地道に検討していく必要がある。
業種別傾向ではサービス業を除き、2011年8月は2011年5月と比べて改善が見られた。2011年2月の水準よりも高い値を示している業種もあるが、その多くは予定されていたIT投資が震災によって先延ばしされていたものの反動であり、新規投資が回復しつつあるとはまだいえない状況である。サービス業については東日本震災を受けての人員減少(特に海外から来日しているアルバイト人員の帰国)をすぐに回復できない点と、増税への懸念も含めた消費抑制の影響による経常利益に対する厳しい見通しがIT投資抑制につながっている。ただし、サービス業は他業種と比べIT投資変化が時間的に遅れる傾向があり、この結果はサービス業自体が他業種と比べて特に厳しい状況にあるわけではない点に注意が必要である。


▼経済環境への影響変化→ユーザ企業毎の震災からの回復所要期間の把握が重要
以下のグラフは「自社のビジネスに対する東日本大震災による影響が今後どれだけ続くか?」を尋ねた結果を2011年5月時点と2011年8月時点とで比較したものである。
「既に震災前の状態まで回復している」の割合が26.9%から39.4%まで増加した一方で、「回復済み」「3ヶ月以内に回復」「6ヶ月以内に回復」の合計が全体の約半数であるという状況には大きな変化がない。このことから、2011年5月時点で6ヶ月以内の回復を見込んでいたユーザ企業は順調に立て直しが進んでいるものの、2011年5月時点で「回復まで6ヶ月を越える」と判断したユーザ企業は回復に要する期間を短縮できているわけではない状況といえる。
個々のユーザ企業がいずれの区分に該当するか?は地域性や業種などによって異なってくるため、ユーザ企業の状況に応じて適切なソリューションを使い分ける必要がある。
以下のグラフは「東日本大震災による経済環境の悪化が回復するために最も重要な事柄」を尋ねた結果を2011年5月時点と2011年8月時点とで比較したものである。
「被災地における部品や原材料の生産回復」「電力不足の解消または節電対策の安定化」といった震災によって生じた生産設備や社会インフラへのダメージに起因する項目が減少し、「復興が本格化することによる新たな需要」が増加している。このことから、ユーザ企業としては「復旧」から「復興」へとシフトしていくことが経済環境の改善にとって重要と考えている状況がうかがえる。
一方、「原発事故の収束」についてはほとんど変化がなく、放射能による風評被害など消費者心理に影響を与える要因については今後も経済環境を悪化させる要因として懸念が強いことが分かる。
また、「電慮不足の解消または節電対策の安定化」についても本調査の実施時点では今夏の電力不足を何とか乗り切れる見込みがついていたことに注意が必要である。今冬は再び電力不足が生じる可能性もあり、引き続き状況の変化を注視する必要がある。


▼IT投資への影響変化→今冬の電力供給の懸念をユーザ企業に伝達しておくべき
以下のグラフは「東日本大震災が今後のIT投資に影響を与えるかどうか」を尋ねた結果を2011年5月時点と2011年8月時点とで比較したものである。
2011年5月時点においても「影響はあるものの、震災前のIT投資をそのまま継続する」「影響はほとんどなく、震災前のIT投資をそのまま継続する」が過半数を占めており、「現段階では判断できない」も現状維持とほぼ同等と考えると、過半数が「様子見」の状態であったといえる。以下のグラフからもわかるように、この状況は2011年8月時点においてもほとんど変化はない。冒頭にも述べたように2011年8月時点でのIT投資DIの値は回復に向かっており、震災直後の停滞からの若干の反動が見られるが、通年レベルでのIT投資増減という観点では2011年5月時点の見込みからの大きな変化はないと考えてよい。(2011年5月発表の年単位でのIT投資規模推移については右記URLを参照リンク)
以下のグラフは上記の設問にて「影響はあるものの、震災前のIT投資をそのまま継続する」と回答したユーザ企業に対し、「震災の影響はあるが、震災前のIT投資をそのまま継続する理由」を尋ねた結果を2011年5月時点と2011年8月時点とで比較したものである。
今夏の電力制限を乗り切ったこともあり、「計画停電や節電対策の必要性を踏まえてから判断したい」が大幅に減少している。だが、この結果を受けて「節電関連のITソリューションは見込みがない」と判断するのは早計といえる。夏場の場合は家庭での電力需要のピークはエアコンを多用する昼間であった。これを受けて鉄道などの大口需要は昼間に節電ダイヤを組むなどして対処をしていた。だが、冬場における家庭のピーク時間帯は気温が下がり、日も落ちる夕方以降となる。この時間帯は鉄道における帰宅ラッシュとも重なり、夏場と比べるとオフピークの調整が難しくなるという課題がある。
こうした課題は実際に冬場に入ってから顕在化する可能性も十分あり、中堅・中小企業が再び急場での節電対策に迫られる恐れがある。この点を踏まえた事前のソリューション提案はなかなか難しい。しかし、再び節電対策が必要となる可能性を伝えておくなど、商材販売にすぐに繋がらない段階においてもユーザ企業に必要な情報を提供しておくべきである。こうした地道な取り組みが厳しい経済環境下での信頼関係の醸成のためには重要なポイントとなってくる。


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「カスタムリサーチ」はクライアント企業様個別に設計・実施される調査とコンサルティングです。
1.調査企画提案書の提示:
初回ヒアリングに基づき、調査実施要綱(調査対象とスケジュール、費用など)をご提案させていただく
2.調査設計:
調査企画提案に基づき、具体的な調査方法の選定、調査票の設計/作成やインタビュー取材計画立案を行う
多彩な調査方法が活用できます。
定量調査(アンケート調査)
ユーザ企業の実態とニーズを数値的に把握したい
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3.実施と集計:
設計された調査を実施し、その結果を集計する
4.分析:
集計結果を分析し、分析レポートを作成する
5.提言:
分析結果を基にした提言事項を作成し、報告する

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