2010年中堅・中小企業のCRM利用シェアと評価調査報告

ノークリサーチは2010年の国内中堅・中小市場におけるCRMの利用シェアと評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。

<新規CRM導入よりも、まず独自開発システムからの移行を狙うべき>
■Salesforce CRMが全体シェア四位に入るが、全体としてはまだパッケージ利用が主流
■独自開発システムが依然多い中、パッケージとASP/SaaS双方の提供も検討価値あり
■導入/サポート費用評価ではユーザ企業がASP/SaaS形態に過剰な期待を抱きやすい
■「操作習得の容易性」と「他システム連携性」が今後のシェア獲得における重要ポイント

PRESS RELEASE(報道関係者各位) 2010年11月4日

2010年中堅・中小企業のCRM利用シェアと評価調査報告

調査設計/分析/執筆: 岩上由高


ノークリサーチ(本社〒120-0034 東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705:代表:伊嶋謙ニTEL:03-5244-6691URL:http//www.norkresearch.co.jp)は2010年の国内中堅・中小市場におけるCRMの利用シェアと評価に関する調査を実施し、その分析結果を発表した。本リリースは「2010年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」のCRMカテゴリに関する速報である。
※グラフにつきましては下記URLをご覧ください
リンク

<新規CRM導入よりも、まず独自開発システムからの移行を狙うべき>
■Salesforce CRMが全体シェア四位に入るが、全体としてはまだパッケージ利用が主流
■独自開発システムが依然多い中、パッケージとASP/SaaS双方の提供も検討価値あり
■導入/サポート費用評価ではユーザ企業がASP/SaaS形態に過剰な期待を抱きやすい
■「操作習得の容易性」と「他システム連携性」が今後のシェア獲得における重要ポイント


対象企業: 年商500億円未満の中堅・中小企業
対象地域: 日本全国
有効サンプル数: 1400件
調査実施時期: 2010年8月


■Salesforce CRMが全体シェア四位に入るが、全体としてはまだパッケージ利用が主流

以下のグラフは年商500億円未満の国内中堅・中小企業全体における導入済のCRM製品/サービスの導入社数シェアを示したものである。調査対象となった1400件のうちでCRMを導入していると回答した企業が132件であるため、中堅・中小企業においてはCRMの導入率自体がまだ低い状態といえる。他の業務アプリケーションと比べてサンプル数がやや少ない点に注意が必要だが、以下のシェアデータはCRM市場における今後の展開を見据える上でも参考となる。パッケージが多くを占める中で、Salesforce CRMが全体シェアで四位になっている。ただし、ASP/SaaS形態でシェア上位に入っているものは他にないため、ASP/SaaS形態全体の伸びというよりはSalesforce CRM個別の伸びが大きかったものと捉えるべきである。


■独自開発システムが依然多い中、パッケージとASP/SaaS双方の提供も検討価値あり

以下のグラフは導入済のCRM製品/サービスの利用形態について尋ねた結果である。ASP/SaaS形態が7.6%に達しているが、この大半はSalesforce CRMが占めている。むしろ注目すべきなのは独自開発システムが35.8%に達している点である。Salesforce CRMが高い知名度を得ていることもあり、CRMにおいてはASP/SaaS形態に対するユーザ企業の抵抗感が少ない。そのため、通常の業務アプリケーションではまず独自開発システムからパッケージへとシフトし、さらにその先にASP/SaaS形態の活用を検討するというステップを踏むが、CRMの場合には独自開発システムからASP/SaaS形態へと一気にシフトするケースも今後増えてくる可能性がある。
以下のグラフは導入済のCRM製品/サービスを今後も利用するかどうか?を尋ねた結果である。40.1%のユーザ企業が何らかの形で製品/サービスの変更を予定しており、パッケージとASP/SaaS形態の双方を合わせたシェアの変動は今後も起きるものと予想される。
以下のグラフは今後新たにCRM製品/サービスを導入する際にどういった形態を採用するか?を尋ねた結果である。サンプル件数が少ない点に注意が必要だが、現状の利用形態グラフと比較すると独自開発システムからパッケージへのシフトは今後も続くものと予想される。ASP/SaaS形態については現状の利用形態からの大きな変化はなく、ASP/SaaS形態へのシフトが急激に起きる可能性はそれほど高くないと推測される。「その他」が6.7%とASP/SaaS形態と同程度存在しているが、この中身は「形態を決めていない」が多くを占める。そのため、CRMソリューションを提供する側としてはパッケージとASP/SaaS形態の双方に対応できる状態にするという点も数少ないユーザ企業を獲得するためには検討すべき施策の一つと考えられる。


■導入/サポート費用評価ではユーザ企業がASP/SaaS形態に過剰な期待を抱きやすい

本調査では
「導入/サポートの価格は妥当か」
「機能が足りているか」
「動作が軽快かどうか」
「自社の要件に合致しているか」
「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」
「慣れたユーザにとって操作が煩わしくないか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「不具合や誤動作はないか」
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」
といった数多くの項目について五段階評価で製品/サービス別にユーザ企業による評価を行っている。
以下のグラフはそのうちの「導入/サポートの価格は妥当か」についての主要なCRM製品/サービスの評価結果である。一般的に言われる傾向としては独自開発、パッケージ、ASP/SaaS形態の順にユーザ企業の費用負担が軽減されることになるが、ユーザ企業の実際の評価は必ずしもそうなっていない。ASP/SaaS形態についてはユーザ企業側が独自開発システムやパッケージと比べた場合、コスト削減効果を過剰に期待する傾向もある。そうした期待が高い分、ASP/SaaS形態における費用面での評価は厳しくなりやすいものと考えられる。また、ASP/SaaS形態は運用開始までの期間が短いケースが多く、自社が本当に必要な機能を十分に把握しないまま導入してしまうこともある。自社にとって最適なサービスメニューの取捨選択も費用対効果の面では留意すべきポイントである。


■「操作習得の容易性」と「他システム連携性」が今後のシェア獲得における重要ポイント

以下のグラフは主要なCRM製品/サービスにおける「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」と「他システムとの連携手段が整っているか」の二点に関する評価結果を示したものである。CRM活用の成否は「継続的に社員が利用する状態を作り出せるか」が非常に大きな要因となる。そのためにはCRMに不慣れな社員も容易に習得できることが必要となる。「初心者習得容易性」については、いずれの製品/サービスも力を注いでおり、独自開発システムと比べても高い評価となっている。もう一つ重要な要素が「他システム連携性」である。販売管理や帳票といった他の業務システムとの連携はもちろん、昨今ではTwitterなどのソーシャルツールを商談獲得や顧客応対などに活用するソリューションも登場してきている。そのため、他システムと柔軟かつ手軽に連携できるかどうか?が今後の製品/サービス評価における重要なポイントになると予想される。


- レポート発刊のご案内-

『2010年版中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート』
「全17カテゴリに及ぶITアプリケーションのシェアと評価を網羅した必携の一冊」

価格: ¥95,000円(税別) CD-ROM版(17カテゴリの全てのITアプリケーションを含んだ価格)
発刊日: 2010年11月15日(購入予約受付中)

【対象となるITアプリケーションカテゴリ(17カテゴリ)】
「ERP」「生産管理システム」「会計管理システム」「販売管理システム」「仕入・在庫管理システム」
「給与管理システム」「人事管理システム」「ワークフロー」「グループウェア」「メール」「運用管理/資産管理」
「クライアントPCセキュリティ」「CRM」「CTI」「DWH/BI」「文書管理/ファイル管理」「帳票」

【集計/分析の対象となる項目】
年商別、業種別、所在地別、職責別の集計データを網羅
[ITアプリケーションの導入社数シェア]
・導入済のITアプリケーション導入社数シェア(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
・既存から変更する場合のITアプリケーション導入社数シェア(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
・全く新規に導入する場合のITアプリケーション導入社数シェア(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
[ITアプリケーションの導入年と導入費用]
・既存ITアプリケーションの導入年(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
・既存ITアプリケーションの導入費用(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
(ハードウェア費用/導入作業費用/カスタマイズ費用を除いたITアプリケーションに関する初期費用)
[ITアプリケーションの利用形態]
(「パッケージ」/「独自開発」/「サービス利用」の区分および、「社内運用」/「運用アウトソース」の区分)
・導入済、既存変更時、新規導入時のITアプリケーションの利用形態(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
[ITアプリケーションの評価]
以下の各項目に関する五段階評価(17カテゴリそれぞれについて分析/集計)
「導入/サポートの価格は妥当か」
「機能が足りているか」
「動作が軽快かどうか」
「自社の要件に合致しているか」
「初めてのユーザもすぐに操作を習得できるか」
「慣れたユーザにとって操作が煩わしくないか」
「他システムとの連携手段が整っているか」
「不具合や誤動作はないか」
「プログラミングによる機能の追加/変更(カスタマイズ)がしやすいか」
「設定変更などプログラミングを伴わない形での機能の追加/変更がしやすいか」


当調査データに関するお問い合わせ

株式会社ノークリサーチ担当:岩上由高
東京都足立区千住1-4-1東京芸術センター1705
TEL 03-5244-6691 FAX 03-5244-6692
inform@norkresearch.co.jp
www.norkresearch.co.jp

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お問い合わせにつきましては発表元企業までお願いいたします。

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