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特許力からみた業界分析 --精密機器業界 【特許力指数ランキング、トップはHOYA】

工藤一郎国際特許事務所 2009年01月16日 13時00分
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工藤一郎国際特許事務所では、特許の経済的価値を客観的に評価する手法としてYKS手法を用いたサービスを提供している。YKS手法により算出される特許力指数(YK値)は、いわば特許がお金を稼ぐ力を指数化したものであり、各企業の特許による競争力を指数で示したものだ。

東証一部上場企業の精密機器業界における特許力指数ランキングベスト5は次のようになった。

【精密機器業界の特許力指数ランキング】
     企業名        YK値    業界内YK偏差値
1位 HOYA          6806.92      88.26
2位 オリンパス       3158.21      64.74
3位 ニコン          3155.98      64.73
4位 島津製作所      1582.18      54.59
5位 テルモ         1257.00      52.49
(算出基準日:2008年12月1日)


精密機器業界の特許力指数ランキングではHOYAがトップに立った。HOYAは2位以下に2倍以上の差をつけており、その技術力の高さが表れたランキングとなった。また、2位以下には業界最大手のオリンパス、業界2位のニコンなどが名を連ねており、大手企業の技術力の高さが浮き彫りとなった。



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個別特許ランキング
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次に、先程紹介した精密機器業界の上位5社が保有する特許のうちで最も価値の高い特許ベスト3は次のようになった。

【特許別の特許力指数ランキング】
   発明の名称            【企業名】
1位 眼鏡レンズの供給システム  【HOYA】
2位 眼鏡レンズの供給システム  【HOYA】
3位 ウェハ研磨装置         【ニコン】

本ランキング1位はHOYAの特許であった。この特許は、発注側(眼鏡店)が眼鏡レンズの3次元枠データとその周長などの情報を把握し、加工側(工場)と互いに情報交換しながら加工側へ当該データを与える供給システムに関する発明である。工場から出荷された眼鏡フレームは、種々の流通経路を経て形状変形を受けてしまうことがあり、その形状変形を受けた眼鏡フレームの正確な形状データの把握と、そのデータの送受信が望まれていた。この特許は、そのような要望を満たす発明であるといえる。

次いで2位の特許もHOYAのもので、1位の特許と同様の発明である。こちらは、眼鏡フレームを測定し、計算処理して得た3次元的眼鏡枠形状情報や、眼鏡枠の材質情報などを含んだ眼鏡フレーム情報を入力するステップを有することを特徴としている。
1位2位にこのような同様の特許が並んだことは、この眼鏡レンズの供給システムに関する発明が世の中に非常に大きな影響力を与えることを表している。

そして3位は、ニコンの特許である。この特許は、半導体素子が形成されたウェハの層間絶縁層や金属電極膜を研磨する際に、研磨量または研磨終了点を精度よく簡便に検知することができるウェハ研磨装置を提供することを目的としたものである。



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各社の特許戦略
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今度は視点を変えて、各社の特許戦略の効率性を見比べてみることにする。
以下のランキングは、精密機器業界各企業のYK値を各々の保有特許数で割ったものである。

   企業名       YK値/保有特許数
1位 HOYA           4.71
2位 テルモ           1.46
3位 ニコン           1.17
4位 島津製作所       0.62
5位 オリンパス        0.45


このランキングは、少ない特許保有数で高いYK値を獲得した企業のランキングで、この値の高い企業は無駄な特許が少ない効率的な特許戦略を行っている企業といえる。
ランキングトップはまたもHOYAで、少ない特許保有数で最も効率的にYK値を獲得した企業である。HOYAは、特許力指数トップの高いYK値を保有しながらも、非常に効率的な特許戦略を行っていることがわかる。
特許の申請や維持には多額の資金が必要となるため、効率的な特許戦略を行うことは企業にとって非常に重要であり、このような観点から企業を分析するのもまた有力な手段のひとつであるといえるだろう。



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YK値との相関
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ここで、精密機器業界におけるYK値と他の経済指標との相関を見ていただきたい。

        YK値との相関係数
時価総額      0.8120
売上高        0.7048
営業利益      0.8290
経常利益    0.8680
(相関係数とは二つの現象の間の相関的関係の程度を表す係数で、1に近いほど関係性が強いと言える。)

これをみると、YK値と各経済指標の間には強い相関関係があるといえる。これは、特許力の高い企業ほど高い業績を残しているということであり、精密機器業界における特許の重要性が窺い知れる。



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精密機器業界におけるYK値と利益率との関係
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ここではまず、精密機器業界のYK値上位企業と東証一部上場23社のROE(株主資本利益率)を見比べてみた。

                 連結ROE
YK値上位5社平均      16.10
YK値上位10社平均      12.29
東証一部上場23社平均    9.82

YK値上位5社、YK値上位10社共に、精密機器業界東証一部上場企業23社の平均ROE
を大きく上回っていることがわかる。

ROEとは、どれだけ株主資本を効率的に利用して利益を稼ぎ出しているかを見る経済指標で、投資などの際に最重要視される指標の一つである。


次に、付加価値といった点に着目して、社員1人当たり経常利益、売上高経常利益率を見てみよう。
            
           社員1人当たり経常利益(単位:万円)
YK値上位5社平均        3765.2
YK値上位10社平均       3098.4
東証一部上場23社平均     2116.5

               売上高経常利益率
YK値上位5社平均       14.16
YK値上位10社平均      11.05
東証一部上場23社平均    7.84

ここでも、特許力上位企業の利益率の良さが際立った。なぜここまで特許力が高い企業の利益率がいいのかというと、製品に付加価値をつけるためには技術力が大きく関わってくるからである。当然ながら、より付加価値の高い製品を作れる企業のほうが利益率が高くなる。近年重視される利益率という点では、技術力が大きなカギを握っているのである。

日本の精密機器企業は世界トップクラスの技術力を持っており、製品の付加価値を高めるそれらの技術力は非常に重要な経営資源である。さらに、飽和する国内や欧米需要に対応するため、高付加価値製品の重要性は今後さらに増していくと思われる。そのような状況においては、高い特許力・技術力を持った企業がより優位に事業を進められるのは間違いない。企業が競争力を高め、企業価値を向上させるためには、優れた特許戦略を行っていかなければならないのである。


以上の分析により、精密機器業界における特許力の重要性がお分かり頂けたかと思う。今回の分析は現時点での精密機器業界各社の知的資産の現状を比較した点で、また、精密機器業界における特許力の重要性を明らかにしたという点で、非常に重要な分析であるといえるだろう。精密機器業界においては特許戦略が各社の成長のカギを握っているといえ、今後もその動向に注目していきたい。


【YKS手法とは】
YKS手法とは、特許の独占排他力を評価することに主眼をおいた特許価値評価手法であり、工藤一郎国際特許事務所において独自に開発された手法である。独占排他力の大きな特許とは競争相手から見れば自身に事業障害をもたらす原因であり、この障害を検知し、排除しようとする行動が必然となる。そこで、特許に対して起こされる競争相手のアクションを評価することで特許の独占排他力を評価する。


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