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ノーク伊嶋のSMB短観08年秋版

株式会社ノークリサーチでは、第5回目のSMB市場に対する市場展望を行った。

今回の「SMB短観」は、08年度秋季の「業種別および投資項目別のIT投資意欲」「IT関連購入先選定に対する意識の変化」についてのアンケートを実施し、800社の回答結果の速報をまとめた(08年11月実施)。今後も、SMB市場に関する様々な定点観測や専門的な分析を継続的に行い四半期毎に発表する(毎年2月、5月、8月、11月に発行予定)。

【08年11月SMB短観のポイント】

金融危機の影響で08年度前半と比較してIT投資意欲は大幅に低下

▼IT投資意欲指数は軒並みマイナス数値、中堅Lクラスのみがプラスを維持

▼業績とIT投資意欲の間には相関があり、業績改善とコスト削減の手段として期待

▼投資対象項目ではコンプライアンスとセキュリティが堅調

▼IT関連購入先選択ではワンストップサービスと自社内運用を志向する兆候あり



【SMBアンケート調査概要】

▼調査対象;5億~500億円企業企業

▼調査方法;Webアンケート

▼有効回答数;800社

▼調査日程;11月下旬

ノークリサーチでは中堅・中小企業向け市場(SMB=Small&Medium Business)を『年商5億円以上500億円未満の民間企業』と定義している。

さらに年商クラスによってセグメントを行い「中堅Hクラス(年商300億円以上~500億円未満)」、「中堅Mクラス(年商100億円以上~300億円未満)」、「中堅Lクラス(年商50億円以上~100億円未満)」、「中小企業クラス(年商5億円以上~50億円未満)」の4つのカテゴリに分類している。



Data1. SMB-IT天気予報08年度前半と比較してIT投資意欲は大幅に低下



以下は2008年末から2009年にかけてのIT投資予算額を2008年前半と比較した場合の増減について尋ねた結果を天気図として表したものである。「増える」「同じ程度」「減る」の3段階の質問を行い、「増える」と「減る」の差異で「IT投資意欲指数(IT投資DI)」を算出し、5段階のIT天気予報として指標化している。

米国の金融危機に端を発した景気後退の影響を受け、IT投資意欲は2008年8月の30.7から-2.7と急激に低下した。年商別と業種別に見た場合でも軒並みマイナスとなっている。年商別では大企業と同様の傾向を示しやすい中堅Hクラスで下落が目立つ。業種別では大企業の生産調整による受注減に苦しむ製造業や為替の影響を受けやすい流通業や卸売業が低迷している。



Data2. 業績とIT投資意欲の関係



企業の業績とIT投資意欲との間には相関が見られる不況下においても業績改善とコスト削減の手段として期待



以下のグラフは2008年度前半(4月~9月)と2008年度後半(10月以降)を比較した場合の業績(経常利益)の変化を示した業績DI(経常利益が「増加した」という回答割合から「減少した」という回答割合を引いて算出した指数)と前項で示したIT投資DIを年商別と業種別でプロットしたものである。これを見ると業績DIとIT投資DIには一定の相関が見られ、業績の減退が比較的軽微な企業はIT投資についても減額が少ないことがわかる。一つだけやや特異な傾向を示しているのが中堅Lクラスである。この年商帯はERPを始めとする業務アプリケーションにおいても激戦区であり、これまで部署単位で推進されてきたIT導入が全社的な視点で見直されることの多い企業区分でもある。この区分の企業では社内のIT整備が進行中であり、不況下の状況であってもそれを推し進める必要があるものと推測される。



業績と連動して増減するIT投資であるが、中堅・中小企業のIT投資に対する姿勢そのものは積極的であることがわかる。

左グラフは業務改善/向上とIT投資の関連について尋ねたものである。業務改善/向上を実現する手段としてITは必要なものであると考え、ある程度長期的な視点で投資対効果を考えている状況が伺える。

「効果が得られないために投資を縮小する」「活用方法がわからない」「今後も活用する予定はない」といった回答はいずれも1割以下となっている。しかし、不況が長引けば効果が得られる前に投資を縮小するといった決断を下す企業が増える可能性もあり、ベンダ各社は長期的な視野での業務改善/向上を実現しつつも目に見える効果のある施策提案が求められる。



左グラフはコスト削減とIT投資の関連について尋ねたものである。業務改善/向上の場合とほぼ同様の傾向を示している。

このことから、中堅・中小企業はITに対して業務改善/向上とコスト削減の両効果を同じ程度に期待しており、ベンダとしては双方を同時に実現する施策を打ち出していくことが今後求められていくと考えられる。



Data3. 投資対象項目別の傾向



ハードウェア/ソフトウェア/人的投資いずれも厳しいがコンプライアンスとセキュリティは不況下でも堅調



下のグラフはIT投資DIを投資対象項目別に見たものである。多くの項目が投資減少となっている中で、コンプライアンスやセキュリティの二点については投資増加の傾向を示している。これら二点はおろそかな対応をすれば企業の信頼を失いかねない。ノークリサーチが昨年同時期に実施した中小企業向け調査においても「信頼できる会社であること」は経営課題がトップに挙げられており、こうした「企業の信頼」に関わる項目に関しては不況下においても投資を継続する意向が強いことがあらためて確認できる。



また、「資産関連運用管理費用」「人的運用費用」といった情報システムの管理・運用に関する二項目において削減の意向が強くなっている。2008年末から2009年にかけては、ソフトウェアパッケージのサポート費用やアウトソーシング費用の見直しを行う中堅・中小企業が少なくないと予想される。ベンダは現行の製品やサービスの価格が妥当であることを既存ユーザに理解させる努力と合わせて、予算に応じて取捨選択できるメニューの細分化といった工夫が求められてくる。

こうした状況下においても「基幹系S/W」と「IT関連社員教育」は比較的投資削減の意向が低くなっている。基幹系ソフトウェアは企業継続に不可欠なものであり、この分野への投資は不可欠であると中堅・中小企業が認識している状況が確認できる。昨今では「全てをベンダ任せにしていたのでは自社に最適なIT活用は実現できない」と考える二代目、三代目の中堅・中小企業経営者も徐々に増えつつある。「IT関連社員教育」の投資削減意向が比較的低い値に留まる要因として、そうした背景も影響していると推測される。



Data4. IT関連購入先選択の傾向



コスト削減を優先し、ワンストップサービスと自社内運用を志向する兆候が見られる



以下の三つのグラフは2008年末から2009年にかけて、IT関連の購入先を選択する際の意識の変化について尋ねたものである。不況下においてはユーザの投資形態が変化し、ベンダ変更が起きやすくなる。実際にどういった意識の変化が起こりつつあるか?について「金額を優先して購入先を変えるかどうか?」「購入先を分散させるか、集中させるか?」「直販購入&自社運用と販社・SIer経由購入&外部委託のどちらを選ぶか?」といった三つの観点で尋ねてみた。



「金額を優先して購入先を変えるかどうか?」を尋ねた結果が左グラフである。中堅・中小企業全体の72.2%が何らかの方法で金額を減少させることを検討していることがわかる。購入先を変更しての金額減少を検討する割合も31.1%に上っており、価格競争の過程でベンダ変更が起きる可能性があることを示している。ベンダには既存顧客へのアプローチを絶やさず、価格に対するユーザの反応に迅速かつ適切に対処する姿勢が求められてくる。



「購入先を分散させるか、集中させるか?」を訪ねた結果が右グラフである。購入先を調整して金額を抑える場合は購入先を集約してクロスセル効果を見込む方法と、購入先を分散して各製品・サービスの最安値を組み合わせる方法の二つが考えられる。購入先の分散や集約を意識しないという回答が35.6%に上っているが、同時に集約するという回答も38.9%あることに留意すべきである。中堅・中小企業は情報システム部門を持たないケースも多いため、購入先を集約してワンストップのサービスを受けることで対コスト効率を最大化させようとする兆候が読み取れる。前頁のグラフにあるように「IT関連担当人員」についても投資削減意向がやや強い。自社内でのIT関連担当者増員は見込めないことから、ワンストップサービスへの需要は今後徐々に高まっていくと予想される。



左グラフは「直販購入&自社運用と販社・SIer経由購入&外部委託のどちらを選ぶか?」を尋ねた結果である。購入先の種別を意識したことがないとする回答が約半数を占める状況であるが、「直接購入を増やし、自社にてIT資産を管理・運用する」といった回答が32%に達している点に注意する必要がある。これは前頁で「資産関連運用管理費用」「人的運用費用」の投資削減意向が強いことと符号している。



上グラフのワンストップサービスを求める傾向とは一見すると矛盾するように見える。しかし、購入先を絞ってベンダを統一すれば、管理・運用に必要なツール類も統一され、管理・運用ノウハウの敷居が下がる。そうして自社で管理・運用を賄うことでコストを削減するわけである。こうした動きはサーバハードウェアの「ブレード」で既に見られるものである。今回の不況がH/WからS/W、サービスに至る全レイヤにおけるベンダ統合を加速する一因になる可能性を

示した結果であるといえる。



SMB Question? 中堅・中小企業にも波及する金融危機の影響



米国に端を発した金融危機は日本の中堅・中小企業にどれくらいの影響を及ぼしているのだろうか?金融危機の業績への影響を尋ねた結果が以下のグラフである。元受けである大企業が影響を受け、その下請けである中堅・中小企業への発注が減少するといった形で影響を及ぼしている状況がよくわかる。大企業が影響を受けた後、ある程度時間が経過してから中堅・中小企業へ波及するケースもあるが、今回は遅延がなく影響がリアルタイムに波及している状況が読み取れる。



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・2008年版中堅・中小企業サーバソリューション白書

※2008年12月予定

・2009年版SaaS市場の実態と中期予測

※2008年12月予定



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編集:岩上由高〈イワカミユタカ〉

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