Synology 2019 Tokyoでは複数のプレゼンターが登壇し、新製品のお披露目や導入事例などを紹介した。
たとえば、「Synologyとソニーが実現するAV / ITソリューション」と題したセッションでは、ソニーで家電以外のテレビ事業を手がけるソニービジュアルプロダクツ TV事業部 B2B事業推進室 統括課長の伊藤貴史氏が、自社でSynology製品を採用する理由について興味深いスピーチを行った。
ソニーには、コンシューマー向けテレビ「ブラビア」の映像処理エンジンを活かしつつ、チューナを搭載しない業務用ディスプレイのブラビアがある。
HTML5 Web App Runtime、Background Server Container、IP Control Functionといった、さまざまなシステムインテグレーション、アプリケーションを稼働させられるプラットフォームを搭載しており、PCやSTB(セットトップボックス)などの映像出力のシステムを別途用いなくても、AV / ITソリューションが組める機能を有している。
同社ではもともとPCをデジタルサイネージ用のサーバとして使用し、ブラビアと組み合わせてソリューション提案していたが、PCの仕様やブランドが指定されなかったため、トラブルが相次いで発生していたという。
「トラブルが起きにくい高い信頼性に加え、できるだけ導入の容易なソリューションはないかと模索し、Synologyの提供する環境が理想的であるという結論にたどり着いた」と、伊藤氏は述べる。伊藤氏がSynologyを評価したポイントは大きく3つある。
1つめは「シンプルで一貫性のあるオペレーティングシステム」。これにより、最低限の学習でシステムが構築・運用できる。SynologyのOSはセキュリティにも注意深くサポートしており、高い信頼性はソニーにとっても安定感のあるビジネスにつながっている。
2つめは「先進的なネットワーク機能」だ。安定したネットワークインフラストラクチャにより、日々現場で発生していた多くの問題が解決した。最後の3つめは「ネットワークアプリケーションストレージ」だ。Synologyのパッケージセンターを通じて、リモートでデータを操作できるQuickConnectなど、利便性の高いサーバソフトウェア群を活用できる。
たとえば同社が発表予定のサイネージソリューション「BRAVIA Signage」は、デジタルサイネージコンテンツの配信・管理に利用可能なアプリケーションで、オフィス、店舗、ホテルなどの利用を想定し提供を予定している。このソリューションでは、Synologyのパッケージセンターを活用することで、ネットワーク経由でPCもSTBも使わずに、OSのメンテナンスやストレージRAIDシステムの構築・保守などが行え、従来煩雑になっていたビジネスを非常にシンプルな形にできたという。
「SynologyのNASを単なるストレージ製品とは考えていない」と語る、伊藤氏の言葉が印象的だった。
年末年始に国内で発売される主な新製品も見てみよう。
「DiskStation DS2419+」は大学や研究機関など、ラックが置けない環境向けの12ベイを装備するNASだ。DX1215を1台接続でき、最大24個のハードディスクまで拡張可能。CPUにはIntel Atom C3538クアッドコアプロセッサを採用する。4GバイトDDR4メモリを搭載し、最大32Gバイトまで拡張できるほか、10GbE対応NICが搭載可能だ。
仮想環境のコンピュータノードに適した1UサイズラックマウントNAS「RackStation RS1619Xs+」も紹介した。ラックマウントNASは、今後、同社が国内市場で力を入れていくジャンルの1つになるという。CPUはIntel Xeon D-1527クワッドコアプロセッサ。2基のM.2NVMe/SATA SSDスロットを搭載し、メモリは8GバイトDDR4Lで、最大64Gバイトまでの拡張に対応する。RX1217を1台接続でき、最大16個のハードディスクまで利用できる。
無停止でのiSCSIサービス提供を訴求する、Synologyでは初となるiSCSI専用ストレージ「UC300」も披露した。8GバイトDDR4 ECC SO-DIMMメモリ搭載で、64Gバイトまでの拡張に対応する。1GbEポートを2基と10GbEポートを1基備え、10GbE NICを追加可能だ。
ストレージだけでなく、Synologyが初投入するメッシュネットワーク対応無線LANルータ「MR2200ac」も展示した。IEEE802.11a/b/g/n/acに対応し、最大867Mbpsの5GHz帯×2、最大400Mbpsの2.4GHz帯×1のトライバンドが利用可能だ。複数台を組み合わせて導入することで屋内の電波の死角をなくし、どこにいても安定した高速通信を実現する。OSは「Synology Router Manager 1.2(SRM 1.2)」となり、DNS/IPのブラックリストと連携して危険なサイトを自動的にフィルタリングする「Safe Access」機能を実装したほか、次世代のセキュリティ機能「WPA3」に対応する。国内では11月下旬の発売予定で、価格はオープン。予想実売価格は2万円前後とのこと。
Synology 2019 Tokyoの展示スペースでは、これらの新製品の展示やアプリケーションのデモが行われた。普段疑問に思っていることや気が付いたことなど、Synologyのエンジニア達とテクニカルな意見交換ができる貴重な場ということもあり、どの展示にも熱心なユーザーで人だかりができていた。パートナー企業も展示に参加して、自社製品のSynology製品との互換性の高さなどを積極的にアピールしていた。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
企業や自治体、教育機関で再び注目を集める
身近なメタバース活用を実現する
OMO戦略や小売DXの実現へ
顧客満足度を高めるデータ活用5つの打ち手
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
パナソニックのV2H蓄電システムで創る
エコなのに快適な未来の住宅環境