スマートフォンといえば「Windowsケータイ」というような状況になっていた中、彗星のように現れたのが「iPhone 3G」だ。人気のメディアプレイヤー「iPod」の流れを組んだスマートな外観と、指先での直感的な操作。しかも、端末価格が安いとあって、2008年初夏には非常に話題になった。発売日前後にはテレビ番組でも取り上げられ、徹夜する人々の姿も報道された。
「iPhone 3G」には、さまざまな制約がある。理解した上で利用するには楽しく、良い端末なのだ。しかし、実は販売現場で売りづらいという声がある。従来の携帯電話とあまりにも違うため販売員の知識も追いつかず、こんなことができますという売り方ではなく、これとこれはできませんがよろしいですか、という売り方になっているというのだ。また、あまりにも事前の期待が大きすぎた反動か、思ったほど売れていない、使いづらいというような報道も目につく。
スマートフォンというものに興味のない人々の目を、電話やメールだけではなくいろいろなことができる端末がある、ということで振り向かせたのは「iPhone 3G」だ。一方で、スマートフォンはタッチパネルで操作する特殊なもの、というイメージを持たせてしまったのは否めない。
今後、スマートフォン市場は順調に成長するという予測がされている。年平均78.6%程度で成長を続け、2010年までには約600万台、全携帯電話市場の13%程度を占めるようになるという予測もある。アメリカではビジネスマン必携となっている「Black Berry」も発売されるなど、端末的にもますます充実するはずだ。
これまで、携帯電話は比較的簡単に機種変更されてきた。年に3度新機種が大量に発売され、型遅れになればタダ同然で手に入るのが携帯電話だった。しかし、販売形態が変更されて購入費用がそれほど安価ではすまなくなると同時に、2年程度での割賦購入が一般化してきた。つまり、2年以上機種変更をしないユーザーが増えると予想される。1台をじっくり使うようになり、キャリアのビジネスは端末の販売よりもサービスの充実に向かうだろうとも考えられる。これは、スマートフォンにぴったりの時代が来たといえるのではないだろうか。
端末は高性能化し、ネットワークも高速で低価格なものが広がってきている。特別な機械だったコンピュータが誰でも使えるパソコンとして普及したように、スマートフォンも今後さらなる普及が見込まれる。そして、ユーザーが増えれば、ますますキャリアは端末に合わせたサービスを提供し、端末側でも既存の様々なサービスに対応するようになるはずだ。急速に敷居が低くなっているスマートフォンは、数年後には持っていることが珍しくなくなっているのかもしれない。
(出展:Roa Group)
次回は、このにぎやかなスマートフォン市場で、どう端末を選ぶのか、携帯電話からの乗り換えのポイントなどを紹介しよう。