9月2日に開催された「CNET Japan Conference 2015」。リモートワークやモバイルワークについて、考え方やそれを実現する手法などさまざまなものが紹介された。その中で、モバイルデバイス活用のセキュリティという面から講演を行なったのが、レコモット 代表取締役CEOの東郷剛氏だ。
東郷氏の講演は「MAM?EMM?そのモバイルデバイスをより安全に、もっと活用するために必要なこと教えます。」と題したもので、BYOD時代の企業が取り組むべきモバイルセキュリティの考え方を紹介した上で、自社で展開するMAM製品「moconavi」の有用性を紹介した。
スマートフォン、タブレット、PCがいつでもネットワークに接続できるようになり、企業ではそれらを活用してどう働いて行くかということが課題になっている。モバイルデバイスを業務活用する上でセキュリティは必ず議題となるが、何を守るかを考えることがまず重要だという。
「我々はBtoBのマーケットで業務アプリケーションをどうやって安全に使うのかということを主軸においてビジネスを展開している」という東郷氏は「そこで仕事をするということは電話や業務システムを使う。そうした企業の情報資産を守ることが重要だと考えている。一方でデバイスは、会社支給とBYODがあるが、会社支給の場合は会社の資産として管理されるべきもの」と、持ち主が「企業」になるものを企業は守るべきだと指摘した。
モバイルワーク導入時に当然のように導入されるのが「MDM」だ。レコモットのユーザーを見渡すと、会社支給のデバイスの場合、MDMは100%の企業が導入しているという。一方でBYODの場合は、MDMの導入は進んでいない、もしくは適用できないケースがほとんどという。
しかしMDMの基本的な機能であるリモートワイプの成功率はかなり低いようだ。「資料によって差はあるが、下は4%くらいから最大で12%程度しか成功していないとされている。つまり、データを端末に残すタイプのものだとセキュリティは担保できないということになる。悪意がある人がデータを抜き取っているということだけではなく、端末を紛失した時に即日報告がこない例が多い。1.5~2日、長い時は1週間後に届け出があるため、電池が切れてしまったりして成功率が低くなる」と現場の実情を東郷氏は語った。
MDMから発展したEMMも多くある。コンテンツやアプリを保護対象とするが、あくまでもMDMがベースになるため、MAMやMCMの単独導入はできない。しかしBYODで個人の所有する端末を業務利用しようとした場合、繰り返しになるがMDMの導入が困難なケースもある。そこで、いかにアプリケーションを保護するかという時に採用されるのが「moconavi」だ。
「我々は、MDMは何でもよい。企業の端末ならMDMが入っているけれど、個人端末なら入っていないという状態に入れてもらう。これによってメールもスケジュールもアドレス帳も、セキュアブラウザもできる。当然ドキュメントビュワーも持っている。MCMと呼ばれていた部分もMAMに入れ込んだ」と東郷氏は「moconavi」の特徴を語った。
講演の中では「moconavi」のデモンストレーションも行なわれた。iPhone上でスムーズにデータの参照や電話を受けることができる様子を紹介。さらに現在開発中だというWindows端末向けの「moconavi」の初デモンストレーションも行なわれた。
「Windowsになると、ドキュメントの編集をしたいと言われる。対応するためにWindows上に仮想空間を作り、その中でExcel等を動かし、編集できるようにする」とユーザーニーズに応える開発が行なわれている様子が紹介された。
「本当の目的はワークスタイルを変えることだが、それを実現するためにモバイルデバイスを使う目的はビジネスアプリを使うこと」と語った東郷氏は、大きな目的を達成するためのツールとして「moconavi」が最適であり、多くの企業で採用されていることなどを語った。
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