最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

【第2回】サーバスペックの向上を実現するために〜paperboy&co. 宮下 剛輔〜

エンジニアが楽で楽しめる環境こそがサービス向上の原動力

―――では3つ目のポイント「ペパボエンジニアが楽」について教えてください。

 「楽」は「楽しい」の楽でもあり、「楽ちん」の楽でもあります。

 「楽」を実現するための施策のひとつとして、新たなシステム管理ツールを導入しています。 その中でも特に肝となるのが、CobblerとPuppetの導入です。CobblerではOSのインストールからネットワーク設定までの自動化を、PuppetではCobblerで最低限のセットアップがされたOS上でのシステム構築を自動化しています。CobblerとPuppetを連携させることにより、サーバをラッキングしてから、電源を入れるだけで構築が完了するという仕組みを導入しています。

 また、ロリポップに関わるエンジニアは、サーバエンジニアとウェブエンジニアにわかれるのですが、両者のレイヤーをできる限りきれいに分離し、それぞれ得意の領域に注力できるような試みを行っています。その中心となるのが、JSON-RPCベースのAPIです。お申し込みページやコントロールパネルといったウェブサイトからは、サーバに直接アクセスすることなく、すべてAPIを経由してアクセスし、アカウント登録を行ったり、ディスク使用量などのシステム情報取得したり、といったことを実現しています。

株式会社paperboy&co.技術責任者 宮下剛輔氏

 このAPIによって、サーバの内部仕様を隠蔽し、抽象化された形でサーバに対する操作を行うことができます。つまりウェブエンジニアは、ユーザーが実際にどのサーバに収容されているのか、ホームディレクトリがどこなのか、設定ファイルはどこに置かれているのか、といったことを意識せずに、得意のウェブ開発に専念することができるのです。

 また、API内部もMVC的な設計を行ったり、テストスクリプトを充実させたり、Func(Fedora Unified Network Controller)を利用することにより、リモートサーバに対する処理を楽に開発できたりと、サーバエンジニアにとっても、システムプログラムが楽に開発できることを目指しています。

 このように「楽」ばかりフォーカスすると自社のエンジニアのことばかり考えているのか、と叱られそうですが、サービスを提供する上で私たち提供者自身が楽しむこと、作業効率を上げて楽をすることはとても重要で、そこからまたサービスの向上につなげられる原動力を生み出すことができると考えています。

   
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