オラクルと博報堂の協業が生み出すマーケティング支援サービス マーケティング・オートメーション2.0とは?
ソーシャルなどを活用したデジタル・マーケティング技術の進化は、CRMやSFAなどの既存のマーケティング・ツールの枠を拡大し、包括的な「マーケティング・オートメーション」への統合を促している。こうした中、博報堂は日本オラクルと協業して、マーケティング・オートメーションの導入・運用支援に乗り出した。本稿では、博報堂が提唱する「マーケティング・オートメーション2.0」の概要とその実現プロセスを紹介しよう。
導入自体が目的化したマーケティング・オートメーションからの脱却
日本オラクルが2015年4月に開催した「Oracle CloudWorld Tokyo 2015」で行われた博報堂の横山 陽史氏と吉田 敬氏による講演、「マーケティング・オートメーション2.0 ~ツールの試用から、ツール活用によるマーケティングプラットフォーム定着へ~」では、従来型マーケティングの限界を突破する新たなマーケティング・オートメーションのあり方が示された。
株式会社博報堂
生活者データマーケティング推進局
マーケティングプラットフォームソリューション部
ストラテジックプラニングディレクター
横山 陽史氏
講演で登壇した横山氏は、従来型マーケティングの課題として、次の3点を指摘する。 「1つ目の課題は『分析の限界』。マーケティング戦略の策定ではアンケートなどで得られたリサーチデータを用いることが多いが、このデータでは実行動の把握ができないため分析精度が低いという問題がある。一方、購買履歴などのアクチュアルデータは、背景にある意識が読めないため、戦略策定に使いにくい。2つ目は『戦略とアクションの乖離』。これは戦略上のターゲットを"美容高感度の高い女性"などと絞り込めても、実際のアクションに落とし込む段階で、F1層などのデモグラフィックな切り口になってしまうという問題である。3つ目は『マネジメントサイクルの機能不全』。これは実行フェーズの小さなPDCAは回せても、それが戦略レベルのPDCAにつながらない、という問題だ」
博報堂が全国の顧客からマーケティンング・ツールに関する課題をヒアリングしたところ、データ活用を指示されたマーケティング企画立案者には、「そもそも何をすればよいのかわからない」「保有するデータだけでは限界がある」といった悩みがあるという。また、プロモーション担当者からは「ツールは導入されたが戦略が示されていない」「ツールを活用できる人材がいない」といった声が寄せられたそうだ。
「これらの問題は、マーケティング・システムの導入自体が目的化していることから生じている。生活者=エンド・ユーザー不在の企業目線での施策にとどまっているのが現状だ」(横山氏)
横山氏は、これらの問題を解決するには、従来のマーケティングにデータ活用力を掛け合わせて、マーケティングのレベルをアップグレードする必要があると説明する。データ活用力を持ち込むことで、「アクチュアルデータとリサーチデータを組み合わせて分析精度を高める」、「戦略とアクションのターゲットを同一化する」、「小さなPDCAのフィードバックを大きなPDCAへと展開させる」といったことが可能になるという。
これを実現するために、博報堂は日本オラクルと協業、オラクルのクラウドプラットフォーム「Oracle Marketing Cloud」を基盤とし、博報堂のマーケティング・ナレッジと博報堂DYグループのデータおよびメディア・リソースを掛けあわせ、さらに全国のSIerとパートナーシップを組んでマーケティング・オートメーションの導入・運営支援サービスを提供していくという。
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