最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

持続可能な社会へNTTドコモのこだわり―グローバルに広げる環境活動

ICTサービスと通信設備における取り組み

 注目すべき点の3つ目が、ICT(※1)サービスを通じた環境に対する取り組みだ。ドコモは移動通信事業におけるさまざまな活動の中で電力を消費し、CO2を排出している事業者である一方で、ICTサービスの利用を通して人や物の移動や生産が効率化し、結果的にCO2の排出量を削減できるという可能性も強く意識している。

 そのため、自社で排出するCO2量の削減をさらに進めるとともに、ICTサービスの効率化を含めた環境中長期目標を定めている。具体的には、2010年度のCO2排出量を自然体ベースのままなら137万トンとなるところを15%削減し、117万トン以下にする。また、ICTサービスによる、2010年度の環境貢献量(※2)を530万トン、環境貢献度(※3)は2.9を目指すという。これは、火力発電所1基あたりの年間CO2排出量換算で2.12基分に相当する。

(注釈)
※1 ICT 情報通信技術 (Information and Communication Technology)
※2 環境貢献量 ICTサービスにより削減されるCO2量−ICTサービスの提供にともない排出されるCO2の量
※3 環境貢献度 ICTサービスにより削減されるCO2量 ÷ ICTサービスの提供にともない排出されるCO2の量

 しかし一方で、2007年度にはFOMA契約者数が前年度比23.6%増と急増したため、温室効果ガス排出量の約88%を占める通信設備電力については、通話品質維持向上に伴う基地局の増設や設備増加・拡充により年々増加傾向にあるという。

 そのため、通信設備を中心に省エネを徹底し、光ファイバを使用して基地局を延長する光張出し局の導入による消費電力の低減や、高効率整流装置の導入による電力の変換ロスの抑制、直流給電設備のテスト運用などにも取り組んでいる。さらに、通信設備や建設廃材のリユース・リサイクルを建物グリーン設計ガイドラインに沿って進め、NTTグループ全体の目標である2010年以降での産廃最終処分量を1990年レベルの85%以上削減するという値をクリアすることを目指すという。建設廃材で再利用できないものはリサイクル事業者に分別回収されることで、現在も特定資材のリサイクル率は99%を達成している。

通信設備廃材のリサイクル率は99%に達する
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 加えて、太陽電池パネルによるソーラーシステムを中心とした基地局の省電力化に取り組んでいる。具体的には、2008年4月時点のソーラーシステムによる発電量の469kWを、2012年には累計目標で1376kWを目指す。これを達成した場合、約153ヘクタール(野球場約118個分)規模の森林が吸収するCO2に匹敵する、年間547トン相当のCO2の削減につながるという。

環境ガイドラインを独自の詳細版に改善して活用

 1998年からドコモグループ各社は順次ISO14001の認証を取得し、独自の環境マネジメントシステムを構築するとともに、2007年7月からはグループ全体で環境マネジメントシステムを統合し、翌年1月にISO14001の統合認証を取得するなど、グループ全体で統一の環境目標を設定している。

 また、NTTグループ制度のガイドラインをもとに、環境に配慮した製品や資材の調達に関する「グリーン調達ガイドライン」や、サービス・システム・製品の研究開発における環境負荷の低減を実践する「グリーンR&Dガイドライン」、建物の建設・運用に関してエネルギー消費と廃棄物の抑制等を目的とする「建物グリーン設計ガイドライン」といった独自詳細版を作成して活動の指針としている。

 さらに、グループ全体で環境負荷の削減を進めるために、ネットワーク設備事業領域の環境課題に対する取り組みを推進する「ECOネットワーク設備専門委員会」、ユーザーの環境課題に対する取り組みを推進する「ECOお客さまチャネル専門委員会」、オフィス事業領域や新たな環境課題解決に対する取り組み・情報発信を推進する「ECOマネジメント専門委員会」といった3つの専門委員会で環境目標を設定し管理している。

 その他、環境保全の取り組みに要したコストとその効果を定量的に把握するための環境会計の導入や、ISO14001が適切に運用されているかを監査する内部統制監査の重視なども環境マネジメントの一環で実施されている。

ドコモの3つの環境ガイドライン

 今回、前後編にわたって、ドコモのネットワークへの取り組みと環境への取り組みをレポートした。環境対策はもはや企業活動上不可分のものとなったが、今後は事業活動における環境への負荷を正しく評価しつつ、将来にわたってどのように環境負荷低減に取り組み、社会全体を豊かにしていくのかといった企業姿勢が問われる。

 今回紹介したドコモのように、うわべだけではない、地に足の着いた活動に取り組む企業の製品を選択することも、地球市民たる我々の責任ではないだろうか。

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