最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

持続可能な社会へNTTドコモのこだわり―グローバルに広げる環境活動

企業の社会的責任が重要視される中、消費者が最も関心を示すのがCO2削減に象徴されるような地球環境問題への取り組みだろう。特に携帯電話のような身近なツールの場合、自分が利用する製品やサービスを提供する企業がその事業活動においていかに環境負荷を低減していくか、あるいは環境に配慮した製品やサービスをどのように開発しているのかといった点に厳しい眼が注がれている。

携帯電話のリサイクルを進めるドコモならではの取り組み

 前回はNTTドコモ(以下、ドコモ)のネットワークへの取り組みをレポートした。ドコモの積極的な取り組みは環境に対しても同様であり、注目すべき点が大きく3つある。その1つ目が、携帯電話のリサイクルだ。ドコモの携帯電話リサイクルの歴史は長い。同社がNTT移動通信網という社名だった1993年頃から、携帯電話の電池パックを回収するリサイクルに取り組んできたのである。

専用工具で携帯電話を目の前で破砕し個人情報保護に配慮する

 その後、1998年より携帯電話本体を含むドコモ商品全体に回収対象を拡大し、ドコモショップでの本格的な回収活動を開始。さらに2001年には、携帯電話・PHS事業者および携帯電話メーカー各社による自主活動組織「モバイル・リサイクル・ネットワーク」に参加し、事業者やメーカーを問わず機器の回収とリサイクルに取り組んでいる。

 また、回収した携帯電話を本体や電池等に分別し、焼却・粉砕処理の後、金・銀・銅・パラジウムなどの希少金属と、コンクリートの材料になるスラグ(残りカス)などに再生し、100%リサイクルしている。 そして、従来のドコモショップによる通常の回収に加え、イベントなどでの回収活動や、2007年からはセキュリティ対策を施した回収BOXでの回収も行っている。回収拠点を拡大した結果、2007年度は約340万台、累計6534万台(1998〜2007年度)を回収できたという。

 また、回収に協力してもらいやすいよう、個人情報保護に配慮していることのアピールをしたり、大事な電話帳データや画像データをドコモ側のサーバに安全に保管できるよう、「電話帳お預かりサービス」(月額使用料105円)などのデータ移行ツールを充実させている。この電話帳お預かりサービスは、データをサーバにアップすることで、今まで携帯電話に残してきた電話帳などの情報を以前使っていた携帯電話に残す必要がなくなる。そのため、リサイクルの一助となっている。

携帯電話の回収とリサイクルの流れ

国内外での環境保全活動

 注目すべき点の2つ目は、国内外での自然環境保全活動だ。ドコモは、1999年から自然環境保全活動の一環として、森林整備活動の「ドコモの森」づくりを推進している。林野庁および国土緑化推進機構の制度を活用して実施されている「ドコモの森」は、ドコモのグループ社員自らが参加する社会貢献活動であり2009年2月末現在で全国43ヵ所、総面積約183ヘクタールにまで拡大。今後2012年までに47都道府県の全てに「ドコモの森」を設置する予定だという。

「ドコモの森」にはこのような看板が立てられている

 それだけではない。国内の「ドコモの森」づくりで培ったノウハウや前述した携帯電話リサイクルを、グローバルな植林支援活動にもつなげている。出資先であるフィリピンの通信事業者PLDT社および移動体通信事業者のSMART コミュニケーションズ社と協働で進める植林活動では、CO2の削減、生物多様性の維持など現地の環境保全活動に大きく貢献している。この植林活動では、ドコモショップなどで回収した、お客さまが利用しなくなった携帯電話のリサイクルによる売却代金の一部が充てられており、我々も間接的に地球環境保全の一役を担うことができる。


「ドコモの森」づくりの様子

それぞれの画像をクリックすると拡大します。

 さらに、森林伐採や農業地への転換により急速な森林破壊が進むインドネシアのスマトラ島においては、2004年から2007年9月末まで、国際環境NGOのコンサベーションインターナショナルを通じてアグロフォレストリー(多種多様な樹木を植栽し、そこに家畜の飼育や農作物を栽培する農林複合経営)事業の支援を実施した。

 ここで注目すべきことは、現地の人々が森林伐採に頼ることのないよう、コーヒーの栽培技術や収穫物管理技術の指導、および販路開発などを支援することで、林業と農業に道を開き、地元コミュニティと協働で持続可能な仕組みづくりを行ったという点にある。地球市民としてのドコモの思いが、このような活動に現れているのである。

 では、我々が今すぐ参加できる環境保全の取り組みは何だろうか。それは前章で紹介した携帯電話のリサイクルではないだろうか。読者も、家に眠らせている携帯電話をドコモショップに持っていくことから始めてみてはいかがだろう。

 次章ではICTサービスの活用や環境経営に関してはどのような取り組みを行っているのか見てみたい。

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