極秘プロジェクトもクラウドファイル共有のほうが安全!外国人にも納得してもらえる情報漏えい対策は? - マーケティング部門編
今回は非IT部門視点の物語であるが、実際にファイル共有システムを選定する「IT部門」側から見た課題もある。(IT部門担当者の物語はこちら)
やっとこの日が終わった。パリでのプレスイベントを無事に終了させ、オレは会場をあとにし、ひとり宿泊先のホテルに向かっていた。徹底したシークレット体制を敷いていたことが奏効し、予想を超える反響がきていると経営層は大喜びだ。オレもその喜びに浸りたいところだけど、この3カ月、本当に短くて長くてきつすぎて、今日はさすがにもう眠りたい -
あ、その前にあいつにメッセージを入れておくか。無事におわった、ありがとう、と。
今日も朝からコンプライアンスチームからのメール。「昨日は、会議室への印刷物の放置3件、プリンターでの放置5件でした。ノートPCの机の上への放置は6件。放置は重大な情報漏えいの原因になります。引き続き情報管理の徹底にご協力お願いします。」
コンプライアンスのことを考えると、印刷物の放置とか鍵をかけないでノートPCを机に置きっぱなしにすることは、良くないことはわかる。
個人情報などが入っている印刷物が机の上においてあることには確かに問題意識を感じる。
しかし、毎日数件の違反が常態化すると、徐々に問題意識が薄れていく気がする。
そういえば、先日広告代理店から、外部の業者から新プロジェクトの情報が外部に漏れたという事件があったと聞いたな。
一度制作会社で打合せしたとき、社員の机の上に、新製品のイメージ図みたいなものが無造作においてあったな。
あれ、わかる人がみれば、もしかして重要な情報だったのかも・・・。
もしかして、コンピューターウイルスとかで情報が抜かれてしまったとか?
今度、原因を詳しく聞いてみよう。
今回の極秘プロジェクト、海外を巻き込んでだから、どこから情報が漏れるかわからない。
機密保持契約書の取り交わしだけで大丈夫だろうか。
印刷物の放置や、ファイルの転送、スクリーンショット・・・当社ですら、こんな状況なんだから、なんか心配になってきた。
競合メーカー、俺たちが新製品を出したとき、やたら代理店に対するカウンターメッセージを素早く出してきてたな。
さらに、同じようなキャンペーンを間髪いれずに被せてきたし・・・。
とにかく動きがすばやいが、まさか、あれは、当社の情報を誰かがリークしているわけじゃないよな。
情報の管理といえば、大容量のファイル転送問題、あれ何とかしてもらわないと。
海外にUSBやDVDを郵送なんてことは、できないしな。
ファイルの管理だけでも一苦労だし。
ITのSに相談してみるか・・・。
今回のプロジェクトは競合に対する一大反抗作戦だ。
これによって、市場の流れを一気に変えるんだ。
オレは国内某自動車メーカーでマーケティング部門の課長をしている。
3カ月前、マーケ部長から呼び出しを受けた。「新しいキャンペーンの話かな」と気軽に会議室に行くと、そこには本部長と常務もいる。え、どういうこと!?
会議室を出たオレの顔はたぶん蒼白だったはずだ。フランスの老舗自動車メーカーのP社をウチが買収する、そのプレスイベントのプロジェクトを立ち上げるからチーム長として一切を仕切れという。デジタルエンゲージメントが得意なオレにプレスイベントのプロジェクトだって? マジかよ、まったく。会社の命運を左右するような大型買収にかかわれる嬉しさよりも不安のほうがはるかに大きかった。なぜならこのプロジェクトに関わるのは社内のマーケチームだけじゃないからだ。P社側の関係者はもちろん、国内外のPR会社やオーガナイザー、デザイナー、そしていちばんやっかいなのは社内の複数の部署にまたがる関係者だ。バックグラウンドがまったく異なる人間を横串でつなぐコラボレーション、それも3カ月間、徹底的に秘密裏に - そんなこと、できるのかよ…。
経営層の呼び出しから2、3日間、この案件にひとりで頭を悩ませていた。世界的なブランド力はあるが財政難に苦しむP社と、堅調な業績だけどグローバル展開に弱いウチの会社、その両者が合併するとなるとかなりのインパクトがあるのは間違いなかった。そしてオレに課されたミッションはそのインパクトを最大化すること - つまり絶対に外部にこのプロジェクトが漏れてはいけないのだ。まさに極秘プロジェクト。身震いした。
情報の漏洩は避けなければならないとはいえ、極秘プロジェクト、おいそれと社内の人間であっても詳細は話せない。Sなら細かいことは聞かずに俺の要求を理解するだろう。Sの内線番号をプッシュした。
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