生成AIを活用したサービスの開発が急速に進む現在、生成AIを活用して業務の効率化を図ることが、ビジネスを加速させる重要課題だ。
生成AIの活用の場はさまざまあるが、もっとも効率化したい作業の1つが、会議の議事録を作成だ。会議中に参加者の発言をパソコンでメモを取り、それをまとめる作業は、地味ながらかなりの時間を割かれる。
そうしたなかで、会議の自動文字起こしを永年無料で利用でき、さらに要約まで自動生成するUSBドッキングステーション「HiDock H1」が登場した。パソコンやスマートフォンで利用でき、ZoomやGoogle Meet、TeamsなどWeb会議サービスに関係なく使え、さらにリアル会議でも活用できる代物だ。そんなHiDock H1を実際に使ってみた。
まず概要から。「HiDock H1」は、前述のとおりベースはUSBドッキングステーションだ。USB端子やHDMI端子、2.5Gbpsの有線LAN端子、メモリーカードリーダーなど、11-in-1の機能を備えている。パソコンとUSB-Cケーブルで接続すれば(USB-C to Aケーブル利用も可能)、特にドライバーもいらず各種インターフェースを活用できる。
そしてこの製品の売りが、会議を録音する機能の搭載だ。ノイズキャンセリング付きのマイクとスピーカーも搭載。ノイズキャンセリングの効き方を調整するスライダーや、ボリューム、録音の開始/停止、ミュートのオン/オフボタンなどを備える。さらに、BluetoothやUSB経由でスマートフォンと接続した際に使う着信時の受話ボタンも備えている。
丸いボタンが「ボリューム」で、HiDockのロゴマークが「録音のオン/オフ」ボタン。「受話と電話終了」ボタンに、「ミュートのオン/オフ」ボタンもある。赤いスライダーを操作してノイズキャンセリングの効きを調整できる。さらに、録音データを保存する32GBのストレージも搭載する。
電源を接続することで、100W+18W出力のPD急速給電にも対応し、ノートPCの充電ポートを塞ぐこともない。また、パソコンに接続しなくても単体で会議を録音できるため、オフィスの会議室に設置して録音することも可能だ。
文字起こしは「HiNotes」というWebアプリを利用する。HiDock H1をパソコンとUSB接続すると自動的にHiNotesが起動するため、インストールや設定は不要だ。文字起こしや要約は57言語に対応。海外とのWeb会議でも議事録を残せる。
また、HiNotesアプリで設定することで、主要Web会議アプリと連携して自動的に録音を開始できるため、「録音し忘れ」も防げる。HiNotesを開けば録音した音声が一覧表示され、文字起こしから要約までを一気通貫で実行できる。
HiDock H1の特徴はこれだけではない。AIエンジンで文字起こしや要約を行おうとすると、通常利用料がかかる。ところが、HiDock H1は製品を購入すれば、永久に利用料が無料なのだ。単に文字起こしをするだけならこれで十分だろう。
要約は「ChatGPT 4o」と「Claude 3.5 Sonnet」の2種類のAIエンジンから選択でき、用意されたテンプレートに従って出力できる。テンプレートは4種類を用意しており、好みに応じた使い分けが可能だ。
なお、有料版の「Pro Membership」に登録すると、文字起こしでの「話者の識別」や「要約のカスタマイズ」までこなせる。
このうち「要約のカスタマイズ」機能は、業種や仕事内容にあわせて「どのように要約するか」を指示できる機能だ。プロンプトを自分で組んで、要約方法をカスタマイズできるため、ミーティング内容に合わせて最適な要約が得られる。要約の精度は作業効率に影響を与えるため、Pro Membershipに加入するのがオススメだ。
Pro Membershipの料金は、文字起こしの時間が1200分のQuota(クォータ)で12.99ドル、1万2000分のQuotaで119.99ドルだ。Quota制はサブスクリプション制とは異なり、文字起こしする録音時間分だけQuotaが減っていくので、同じ録音なら何度要約しても残り利用時間は減らない。加えて、無制限にPro機能を利用できる年間プランも用意している。
実際に使ってみた。パソコンに接続するとWebアプリ「HiNotes」が立ち上がり、ユーザー登録すればすぐに利用できる。Web会議の場合は、それぞれのアプリでマイクとスピーカーの設定を「HiDock H1」にするだけだ。会議スタート時に録音ボタンをクリックし、終了時はもう一度クリックすると録音される。
Web会議の開始で自動的に録音がスタートし、終了でストップする連携機能も利用できるので、録り逃しも防げる。
また、ボイスマーク機能も搭載。途中で議題が変わったり、重要な発言があったポイントでボタンを押すとタイムスタンプが押され、文字に起こした後に記録したポイントへすぐ飛べるので、探しやすくなる。
マイクとスピーカーに関しては、かなり性能がいい。ノイズキャンセリング機能は、自分の音声だけでなく、相手の音声にも効果がある。スライダーで効果を調整できる。文字起こしをAIに頼る際、音声の質は重要で、聞き取りやすいと正確性が増す。これがノートパソコンのマイクだと音質に不安な面があるため、HiDock H1のマイクを利用するだけでもかなり効果があるだろう。
スピーカーは7W出力のドライバーと5W出力のツイーターを備え、さらにパッシブラジエターで低音域もカバーするという、Web会議用のスピーカーとしてはかなりこだわっている。そのため相手の声も聞き取りやすかった。
録音データは自動的にHiNotesに渡され、文字起こしを実行できる。発言者別にはならないものの、会議の内容を把握し記録するのであれば、これでも問題ないだろう。Pro Membershipであれば、発言者が区別されて出力され、それぞれ名前を指定すれば誰の発言だかわかる。
文字起こしのレベルはかなり高く、コンピューター用語や一部固有名詞もしっかり表記される部分もあり、ほぼ音声データを確認しなくても理解できるレベルだった。単語を登録することでAIを鍛えられることもでき、細かなチューニングを重ねればかなり精度が上がるだろう。
一方、要約機能はテンプレートとAIエンジンを選択して実行できる。Pro Membershipならクライアントへの提案会議やインタビューなど21種類のテンプレートの中から選択できるので、望みの要約が期待できる。
もし特殊なパターン、例えばウェブメディアなら取材先のリスト化や週次のPVによるバズりランキングなどの要約が必要なら、カスタマイズ機能を利用するといい。プロンプトを自分で記述するため、ある程度の知識は必要だが、何度も試せるので、最適なテンプレートを作成すれば作業効率がかなりアップするはずだ。
Web会議に限らず、会議室にHiDock H1を1台置いておけば、会議を録音できる。わざわざ空のWeb会議アプリを立ち上げる必要もなく、ボタン操作だけで実行できるので非常に効率的だ。
また、付属のワイヤレスイヤホンは片耳に掛けるタイプで、例えば自宅でリモートワークする際、宅配便による荷物の受け取りで席を離れても、会議の内容を把握できる。音声のミュートのオン/オフもできるので、ビデオをオフにしておけば離席もバレない。
ほかにも、スマホと接続して通話内容を記録することも可能。Web会議アプリを使わず電話だけで簡単なミーティングをする際には便利だ。実はHiDock H1を介さなくても、スマホ用アプリがあるので、直接HiNotesに記録できる。
企業での利用で気になるのは、文字起こしや要約する際のセキュリティだろう。基本的に、録音したデータは暗号化通信で渡され文字起こしや要約を実行する。録音データはOpenAIやAnthropicのポリシーに基づき、AIの学習に使用されることはなく、安心して利用できる。
このように使ってみたが、ボリュームや録音ボタンが物理的にあるため直感的に操作でき、非常に便利だと感じた。会議によってWeb会議アプリが違うことが多く、どこに何の機能があるのか迷うことが多い。それが、統一された操作で行なえるメリットは大きい。
また、オフィスの会議室にWeb会議用としてマイクとスピーカーを用意している企業が多いと思うが、それをこのHiDock H1にするだけで文字起こしや要約もしてくれる便利アイテムとなる。USBドッキングステーションとしても機能が充実しており、ノートパソコンを持ち歩いて利用するユーザーには働き方の切り替えがしやすいところもポイントだ。
価格は4万9800円で、11-in-1のドッキングステーション機能に、スピーカーフォン、レコーダー、文字起こしと要約が生涯利用できることを考えると、かなりお買い得だと言える。8-in-1のドッキングステーションに83WのPD急速充電に対応した「HiDock H1E」も用意されており、こちらは3万9880円。ドッキングステーションの機能を絞ってもいいのであれば、こちらを選択するのもありだ。
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とにかく、議事録を作る作業がいかに無駄な時間かを痛感させられた。一度使ったらこの快適さから離れられなくなり、作業効率化の要となることを実感した。こうして浮いた時間は、アイデアの推敲や別の作業に割り当てられる。生成AIを活用したDX推進を図るなら、まずHiDock H1の導入を検討すべきだろう。
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