SNSの常識を変えたソーシャルアプリ『釣り★スタ』成功の真相 グリーのエンジニアだからこそ実現できたサービス開発とは
連載第3回目となる今回は、爆発的人気を誇る『釣り★スタ』をはじめとする「ソーシャルアプリ」の誕生秘話を、生みの親であるエンジニアたちに伺う。時代の最先端を走るグリーのエンジニアが、ソーシャルアプリの開発へとたどり着いた背景はどのようなものだったのだろうか。
「ソーシャルアプリ」の本質はユーザー視点でのサービス提供
――「ソーシャルアプリ」は、SNSとゲームが融合したものというイメージが強いかと思われますが、グリーではどのように生み出されたのでしょうか。
吉田大成氏
吉田 まず、グリーでは常に3年後、5年後を見据えて考えており、モバイルが主役の時代が必ず来ると確信していました。2006年当時、PCからモバイルへとシフトしたSNS「GREE」に+α(プラスアルファ)の価値を与えるものとして注目していたのが、ゲームやデコメ、占い、Q&Aサービスといったエンタメ系コンテンツです。こうしたサービスによって、SNSをもっと楽しんでいただきたいと思っていたのです。
しかし、SNSで友達が増えるとか、日記を書くとか、コミュニティに参加するといったことは、日常的にPCでWebを使っている人は慣れているものの、モバイルを中心に使っているユーザーにはとっつきにくく、SNSの敷居をもっと下げる方法はないか、ということを検討していました。
敷居を下げ、ユーザー同士の交流をどうやって活性化したらよいか。そのためには「SNS+α」の強化が必須だと思うに至ったのです。この「+α」によってユーザー参加の障壁を壊し、「集客力アップ」につなげたいと考えました。同時に、ユーザーに“コミュニティ”という枠を意識させずに、交流を活性化する方法を模索していました。これが当時私たちが取り組んでいたテーマで、現在提供している「ソーシャルアプリ」の源流です。
――その「+α」として、ゲームの展開を強化していったのですね。
吉田 当時「グリゲー」というFlashゲームのサービスを担当していましたが、多くのユーザーに利用して頂く中で、最もユーザーからのニーズが高く集客が期待できる「+α」とは、“無料で遊べるゲーム”に尽きると確信していました。
性別や年代を超えて使われるサービスを目指す
――『釣り★スタ』が誕生した経緯を伺いたいと思います。そもそも、なぜ「釣り」だったのでしょうか。
吉田 当時のケータイゲームは月額課金によるRPGやシューティングゲームといったゲーマーが好むような本格的アプリゲームが中心でした。ただし、私たちがゲームを選んだ理由はより多くのユーザーにSNSを利用してもらうことが目的であり、決して本格的なゲームを作りたかったわけではないんです。そこで私たちは、新たなソーシャルアプリを開発するにあたって、そのテーマを慎重に選びました。その時の基準は1つだけ。「誰もがルールを知っていること」です。
日本人の趣味の傾向やスポーツ人口を調べた結果、非常に大きいシェアを占めていたのが「釣り」だと、すぐに気付きました。実際、釣りを楽しんだ経験は多くの人がもっていると思います。釣りならば、既存の「ケータイゲーム」を敬遠していたユーザー層にも遊んでもらえるのではないかと思いました。多くのユーザーを取り込んでいく上で、釣りは性別や年代を限定しない万人に受け入れられる共通の趣味だと考えたからです。実際、リリースからこれまでユーザー数は順調に成長してきました。
『釣り★スタ』の開発は私を含めて3人で行い、2007年5月に公開されました。同時期に海外ではFacebookがAPIを公開しソーシャルアプリ市場が徐々に話題になりつつありましたし、アプリケーションがソーシャルになっていく動きに、ゲームという方向性から日本で最初に乗り込んでいったがグリーだったのだと思います。『釣り★スタ』の機能拡張は今も日々進んでおり、現在、メインで企画・開発を担当しているのが岸田です。
岸田 私がグリーに入社した2009年5月当時、『釣り★スタ』はTV-CMなどのプロモーション効果もありユーザー数が増え続けていました。さらにもう一段上のサービスへと成長させるには、どのような施策が必要かを模索していた時期でもあります。
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求めているのはSIerのエンジニア!最もホットなインターネットサービス、グリーの魅力と技術力とは
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【第2回】SNS「GREE」のリニューアルを成功させた3人のエンジニアに聞く!
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平山 宗介氏
【第3回】SNSの常識を変えたソーシャルアプリ『釣り★スタ』成功の真相
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(投票受付期間:2009年10月30日 〜 2009年12月25日)
新しいソーシャルゲームの拡充(29.2%)
PC版の新たな展開
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オープン化戦略
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