最終更新時刻:2010年12月18日(土) 8時00分

SNS「GREE」のリニューアルを成功させた3人のエンジニアに聞く!元SIerのインフラ/UI担当者が語る開発の舞台裏

日本のSNSのパイオニア的存在「GREE」。その全面リニューアルが2009年10月に行われた。連載第2回となる今回は、このリニューアルを成功させた3人のエンジニアに話しを伺った。新生「GREE」の技術面での特徴や、前職のSIerでの経験などを紹介しよう。

リニューアルの目的は「便利・楽しい」の最大化

――先日、SNS「GREE」のPC版がリニューアル公開されました。今回のリニューアルプロジェクトは、どのような経緯で始まったものだったのでしょうか。

画像説明 メディア開発部 プロデューサー
荒木英士氏

荒木 SNS「GREE」は、会員数3000万人の国内ナンバーワンコミュニティサービスになることを中期目標に掲げています。今回のリニューアルは、この一環に位置づけられるものとして、今年(2009年)の4月にスタートしました。モバイルからの利用が増えているとはいえ、インターネット利用者層のうちまだ多くの部分はPCを中心に使っているユーザーになりますので、PC版の再強化の必要性を感じていたわけです。

――リニューアル内容や方向性について、どのように議論していったのでしょうか。

荒木 コミュニティサイトの「便利さ・楽しさ」を最大化していくことを目標に、リニューアルでは3つのコンセプトを軸にしました。第1は「ライブ」、第2に「シンプル」、第3が「エンタメ」です。

 SNSはそもそも友人や知人とのコミュニケーションのためのものです。このコミュニケーションのライブ感、リアルタイム性をより強く感じられるような機能・デザインにしていくことが目標でした。一方、機能も複雑化していましたので、誰でも簡単に使えることを目指したのが第2の「シンプル」です。3つめの「エンタメ」では、SNSはコミュニケーションツールの集合体であり、コミュニケーションのきっかけは別途必要との考えに基づいて、ニュースやゲーム(時期検討中)、アバターなどのコンテンツを整備しました。

「5年後、この機能はどう使われるのか」を考える

――現場として他社のサービスを意識して差別化した部分はありますか。

荒木 他社サービスをそのまま真似たり、特定の機能で差別化したりといった、「現在視点」では考えていません。5年後にユーザーが求める機能は何かという視点で議論をしてきました。常に仮説を立て、「5年後、ユーザーはこの機能をどのように使っているだろうか」を意識したサービス開発。これがグリーの開発の基本思想になるものだと思います。

山家 私も他社を意識することはありません。ユーザーが求めることは何で、そのためにはどのような仕組みが適切かということにフォーカスしていました。

平山 私は以前、SNSが好きではありませんでした(笑) 日記を書いても、すぐに反応はないため、この時間の断絶が肌に合わなかったのだと思います。SNS「GREE」でリアルタイム性の強いサービスを強化していくことは、時流にも合っていたと思います。

画像

エンジニア、デザイナーのリニューアルにかける想い

――今回のプロジェクトにかかった規模や流れを教えて下さい。

荒木 この3人が中心メンバーとなり、その他にエンジニアが5人、デザイナー2名の10名体制で取り組みました。まず、立ち上げ時期の4〜5月ではコンセプトを徹底的に議論。イメージを紙に描くなどして方向性を模索しました。6〜7月からプロトタイプの制作に着手。このあたりの設計を平山が中心になって進めつつ、システム側でもリアルタイム更新に耐えられる設計を山家が検討しはじめていました。

 秋に近づいて完成形が見えてきましたが、全要素が揃ったのはリリースの2週間くらい前でしたね(笑) 2004年にGREEが開始されてからの5年分の資産を棚卸ししたようなものなので、作業ボリュームはやはり膨大でしたね。

次ページでは「GREE」の規模だからこそ直面したインフラ面での課題と、その解決を担当エンジニアの山家氏が紹介します。»
グリーのエンジニア連載特集
【第2回】SNS「GREE」のリニューアルを成功させた3人のエンジニアに聞く!

グリー株式会社
メディア開発部 プロデューサー
荒木 英士氏
メディア開発部 エンジニア
山家 匠氏
メディア開発部 エンジニア
平山 宗介氏

【第3回】SNSの常識を変えたソーシャルアプリ『釣り★スタ』成功の真相

グリー株式会社
メディア開発部 プロデューサー
吉田 大成氏
メディア開発部
エンジニア/プロダクト責任者
岸田 崇志氏

【第4回】グリー田中社長が語る「優れたエンジニア」

グリー株式会社
代表取締役社長
田中 良和氏

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