Google の広告と DoubleClick を一緒に使う意味とは
「 DoubleClick for Advertisers 」( DFA )
これらの中で広告主にとって最も重要なツールが DFA だ。主な機能は、キャンペーンの一元管理と高度なターゲティング、第三者配信ならではの高度なレポーティングの3つ。
キャンペーンの一元管理とは、アドネットワークも純広告も1つの管理画面で扱えるということだ。すべてのデータを統一されたロジックで管理することで、アドネットワークと純広告で重複して獲得したリードなども把握できるようになる。
ターゲティングにおいても、通常はメディア側のサービスに依存するが、DFA では独自に実施できる。これによりオーディエンスのデータを広告主側で蓄積できるようになり、広告効果の向上に貢献するリマーケティングなどの施策を迅速に打てるようになる。
またクリエイティブの自動最適化も可能になっている。1つの広告枠で複数のクリエイティブを出し、CTR に差が出たら、より効果が高かったクリエイティブの露出を自動的に増やすことができる。
レポーティングでは今後、Google アナリティクス との連携を予定している。アトリビューション分析や来訪者の行動分析にも力をいれていく方向だという。
「DoubleClick for Publishers 」 ( DFP )
これは DoubleClick が10年以上にわたって開発してきた主力製品で、Google が引き継いでからも進化を続けている。
アドサーバーとしては、レポート機能と配信容量に強みがある。メディアは掲載した広告に対して正確なレポートを提出するのが最も大事だが、 DFP はその部分を重点的に開発している。「アドサーバーに DFP を使っている」と言うと広告主からの信頼が高まるというほど、レポートの正確性には定評がある。
配信容量は Google のクラウドのメリットを活かし、最大1Mバイトまで配信可能となっている。一般的なアドサーバーは平均100Kバイトであるため、 DFP は10倍の容量のクリエイティブを配信できることになる。大きな広告枠に Flash などを用いるなど、自由な広告メニューの設定が可能になる。
DFP にはこれらのアドサーバー機能のほかに、広告メニューの開発を支援する機能「アドメニューデベロップメント」、 AdSense と AdExchange などのような別々の広告ソリューションを連携させ、広告枠の中身を相互に入れ替える機能「ダイナミックアロケーション」、請求書管理システムや SalesForce のような外部ソリューションと組み合わせる「 WebAPI を使ったカスタマイズ」という3つの特徴がある。
一緒に使えば作業量が減り、収益が上がる
これらの Google のディスプレイ広告プラットフォーム製品は、それぞれ個別に利用できるが、一緒に導入することでよりその価値が増す。作業を効率化し、収益の断片化を避けることができる。
「統合したディスプレイ広告プラットフォームは、広告主とメディアにより良い ROI を、エンドユーザーには最も適した広告を提供する」とスピテリ氏は話す。ある旅行会社の事例では、 DoubleClick Ad Exchange ネットワークで第三者データを使ってターゲティングした結果、はっきりとしたコスト減と収益増が確認できたという。
旅行会社にとっての最終コンバージョンとは、旅行の予約のことを指す。ある旅行会社の事例で DoubleClick Ad Exchange ネットワークで第三者ターゲティングを実施したところ、通常と比較して予約獲得1件ごとのコストが64%減少し、さらに平均購入価格が65%向上したという。
Google と DoubleClick の連携はグローバル市場ではすでに成果が出ている。では、日本展開はどうだろうか。日本では2010年3月に Google が DoubleClick 事業を受け継いだ。1年間の準備期間を経て、2011年からは新生 DoubleClick として再び日本の広告市場で本格的なビジネスを開始する。もともと DoubleClick 製品は DART という名称で親しまれており、日本にも多くの顧客を抱えていた。Google と一体となることで新たな戦略を持って日本市場に取り組む考えだ。次回は日本の広告事業について紹介する。
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アジア太平洋地域担当 Director of Platforms
同社の収益の向上やコスト削減など、オンラインビジネスのパフォーマンスを最大限に引き出すことに貢献した。
また 米国24/7メディア、香港チャイナドットコム(NASDAQ: CHINA) の合弁会社24/7メディアアジアのCOO歴任のほか、アジアパシフィックの多国籍企業におけるエグゼクティブで構成されるThe Economist Group のリーダーも務めた経歴を持つ。
メルボルン大学 ビジネス学士号、南京師範大学 中国語准学士号 取得。
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