では、お名前.comのVPSの特徴である独自ISOマウント機能を使って、ローカル環境のデータをISOイメージにして、VPSにアップロードする手順を紹介してみたい。
まず、サーバ管理で最初に必要になるのは、SSHを安全に使って接続するための設定だ。一般的には、OpenSSLなどを使って、公開鍵(public key)と秘密鍵(private key)を作成する必要があるが、お名前.comのVPSでは、あらかじめSSHで利用する秘密鍵が作成されており、ダウンロードするだけで済むようになっている。
SSHの秘密鍵は、左側のメニューの下部からダウンロード可能だ。
秘密鍵を取得したら、ローカル側でSFTPで接続できるように設定する。Windows環境ならば鍵をputty形式などに変換するなどしてから、WinSCPやFileZillaなどのSFTPに対応したクライアントソフトを利用すればいいだろう。LinuxやMacなどの場合は、秘密鍵を登録して、SCPコマンドやクライアントソフトなどがそのまま利用できる。SFTPのアクセス先は、コントロールパネルの下部に表示されている。(画面をパネルに変更)
ISOファイルの作成は、Windows環境の場合は専用のツールが必要になるが、Macの場合は、ディスクユーティリティー、Linuxの場合はgenisoimage(mkisofs)コマンド、ddコマンドなどで作成可能だ。
ここでは社内にある既存のLAMP環境のWebサーバという想定なので、genisoimageコマンドを使って作成する。Apache2のHTMLデータ(/var/www/html以下など)、MySQLのデータ(/var/lib/mysql以下など)を指定して、以下のように、ISOファイルを作成する。
例)#genisoimage -o output.iso /var/www/html/ /var/lib/mysql
作成したISOファイルは、アクセス先の/imagesディレクトリ以下にアップロードすると、コントロールパネルのプルダウンメニューで選択できるようになる。
ブルダウンメニューの右にある「挿入ボタン」を押すとマウントできるようになるので、OS上でマウントしてデータを配置すればいい。具体的には、以下のように、マウントポイントを作成し、マウントする。
例)#mkdir /media/CDROM
例)#mount -t iso9660 /dev/sr0 /media/CDROM
/media/CDROM配下にoutput.isoの中身が展開されるので、所定の位置にコピーすればいい。
このように、ISOイメージをマウントする機能を持つお名前.comのVPSは、既存システムからのデータ移行が容易にできることがおわかりいただけるだろう。もちろん、VPSから自社内のサーバに接続し、nfsやcifsでデータ領域をマウントしたり、rsyncコマンドで同期をとったりする方法でもデータ移行が可能だ。
そもそもお名前.comのVPSでは、「カタスムOS」としてさまざまなOSが用意されており、そのほかのOSについても、ISOイメージをアップロードすることで利用が可能だ。つまり、既存の社内環境と同じVPSを構築することで、オンプレミスからVPSへの移行が簡単にできてしまうということだ。
このような「移行のしやすさ」というメリットのほかにも、VPSにはさまざまな魅力がある。まずは、冒頭で述べたように、自由度が高く、使い勝手がよいという点だ。
IT部門にとっては、運用管理面でのメリットも大きいだろう。コントロールパネル上では複数のVPSをまとめて管理することができる。ユーザーやVPSの数が増えた場合でも1つのコントロールパネルから一元的に管理することが可能だ。
例えば、複数のVPSを利用してサイトを冗長化したり、データやアプリケーションのバックアップサイトを構築して可用性を高めたりといった使い方が考えられる。また、画像や映像を配信する専用のサーバとして利用し、配信のパフォーマンスを高めることもできるだろう。ユーザーの工夫次第で、使い方、メリットは、大きく広がっていくということだ。
また、クラウドと比べて、コスト面でも優位な点が少なくない。転送量や利用量に応じて課金されるクラウドは、アクセス数の急増などで予想外にコストがかかることがあるが、VPSは月額での課金であるため、料金プランを超えるコストは発生しない。クラウドと同じような使い方をしながら、運用コストを抑えることが可能なのだ。
クラウドへの関心が高まるとともに、にわかに注目度を増し始めたVPSサービス。使い勝手のよさ、コストパフォーマンスの高さ、多くの独自機能を持つお名前.comのVPSは、その中でも特に注目できるサービスだ。クラウドへの移行を検討しているIT部門にとって大きなメリットとなるはずだ。
幸い、お名前.comのVPSでは15日間のお試し期間が用意されている。コストパフォーマンスの高いVPSでどんな活用ができるのか体感してみてはいかがだろうか。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)