VDI構築のHow toから落とし穴、次世代のテクノロジを語るエンジニア座談会

CNET Japan Ad Special2013年10月17日 15時00分
 調査会社の報告によれば、2012年の法人向けクライアント端末の仮想化導入率は20%を超え、今後、企業におけるVDI(Virtual Desktop Infrastructure:仮想デスクトップ)の大規模導入や追加導入はさらに進んでいくと予想されている。その背景には、2013年に法人向けPCの買い替えサイクルがピークに達すること、2014年にWindows XPのサポートが終了すること、そして、スマートデバイスの普及が挙げられる。しかし、最適なVDIシステムを実現するにあたり、さまざまな課題も浮上し始めている。本稿では、デルのエンジニア4名にVDIの現状と、導入にあたって留意しなければならないポイント、そして今後の展望について語ってもらった。
参加者/聞き手

大企業から中堅企業へ
VDIの本格導入・検討が浸透

布谷 :VDI市場動向について昨年と比べて変化したと感じられる点について、聞かせていただけますか。

新井野 :私はこれまで大企業を中心にVDIの導入に携わってきましたが、現在では、Dellが強みとする中堅、中小企業の案件に取り組んでいます。今年に入って、そうした企業においてもVDI導入の兆候が見え始めています。

岳野 :私も同様に感じています。仮想化ベンダーのVDI製品もだいぶ成熟し、この1年間で中堅・中小企業にも導入のすそ野が広がっていますね。

成田 :そうした中で、昨年のVDIに関する話題は、セキュリティに加え、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスでの活用が中心でした。しかし、今年のVDI導入に関するキーワードは、Microsoft Windows XPのサポート終了ですね。それをきっかけとして、今後のクライアント端末やOS管理のあり方を再考する企業が増えており、従来のセキュリティやモバイル対応の話題と相まって、VDI市場が活性化しています。

新井野 :VDIのマルチデバイス対応へのニーズはよく話題に上がりますね。「PCだけではなくタブレットでもVDIを使いたい」、という要望は一般的になっています。

成田 :加えて、シンクライアントに対するニーズも増えています。それも一般的なOA用途だけでなく、工場などの生産現場で使われている監視・制御用PCのリモート管理を実現したいという要望です。以前、「埃や粉塵でPCが壊れる」「現場に行ってPCのメンテナンスを行うのが面倒」といった課題に対して、シンクライアントの提案をしていました。最近では、こちらから提案をする前に、お客様側からそのようなお話をいただくようになりました。

古山 :私はVDIに関連して、パフォーマンスやリソース監視等のモニタリング・ソリューションを担当しているのですが、既にVDIを導入している企業が「さらに規模を拡大したい」と考えた時に、「システムを新たに追加するのか、それとも現状のシステムリソースを効率化すればよいのか」悩まれているケースが増えています。つまり、現状のシステムの利用状況を可視化することで、適正な投資につなげていきたい、というわけですね。

運用後に分かる意外な盲点
VDI構築の落とし穴とは?

布谷 :VDIの構築を手掛けてきた経験から、導入や設計時の見落としがちなポイントについてお聞かせください。

岳野 :監視やバックアップなど幾つかありますが、特に見落としがちなのはウイルス対策ソフトですね。「既存のクライアントPCで利用しているソフトウェア、ライセンスをそのまま使いたい」と考えていたところ、VDI対応製品がない、あるいは、既存製品とVDI対応製品を併用した場合、ライセンス契約が煩雑になったり、コストが高額になったりしてしまうことがあります。結果、VDIの導入に“割高感”を感じてしまうようになると。

成田 :多くの企業では、ウイルス対策ソフトについてコーポレート版ライセンス等を利用しています。しかし、コーポレート版ライセンスの契約では、ある程度無制限で使えていたのに、VDI対応版は価格体系が異なるため、ボリュームライセンスが効かない場合もあります。そうしたライセンス体系の整備については、今後、期待したいところです。

岳野 :実際にVDIの導入を終えて、いざウイルス対策ソフトを稼働させると、当初期待していたパフォーマンスが得られなくなってしまった、といったこともあります。こうした性能に関する問題が起きないようにするには、運用を考慮した事前のアセスメントは不可欠ですね。

布谷 :VDIシステムを支える基盤となるハードウェアについても、設計、構築のポイントはありますでしょうか。

成田 :近年、サーバのCPU性能が大幅に向上し、ネットワークも高速化しているので、ハードウェア面における不安は払しょくされつつあると思います。

新井野 :その中でも、最近では「VDIはストレージに高負荷をかける」という認識が、浸透しつつあるようですね。

古山 :ストレージのパフォーマンス不足により、月曜朝一の始業時間などでログインに時間がかかるといった話題はよく上がります。しかし、当初は、各システムの正確な状況が可視化されていないので、どこに問題の原因があるのか、すぐに解明できない。サーバのメモリやネットワークの帯域幅を増やしても、パフォーマンスが向上しない。さらに詳しく調べてみるとストレージがボトルネックであることが判明した――。しかし、"ストレージを補強するための予算がない"といった話も少なくありません。

新井野 :そのような事態が起きないように、事前にアセスメントを実施して、サイジングの精度を高めることが重要です。単に「仮想マシンが何台必要なので、スペックはこの程度」ということではなくて、「どのようなユーザが、どういった用途で使っているのか」を数値化して把握することが不可欠ですね。

古山 :また、すでにVDIを導入している企業では、ストレージのI/Oパフォーマンスを監視したいというニーズや、仮想化のオブジェクトをモニタリングしたいという要望が出ています。実際、事前に行ったアセスメントの通りに安定稼働できているかどうか、運用開始後の検証、そして実数値による可視化は不可欠です。多くの企業では障害監視は行われているようですが、パフォーマンス監視やその評価に基づいたキャパシティ・プランニングは後回しになりがちです。これらはVDIの安定運用に直結する部分ですので、忘れずに行って頂きたいと思いますし、そうしたニーズに応えられるよう、Dellソフトウェアでは、モニタリング・ソリューションのラインナップを広げています。

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