VDI構築のHow toから落とし穴、次世代のテクノロジを語るエンジニア座談会

CNET Japan Ad Special2013年10月17日 15時00分

意外に難しい?
VDIのサイジング

布谷 :サーバ仮想化と比較して「VDIのサイジングは難しい」と思われているようにも感じます。

新井野 :少々乱暴な言い方ですが、「物理サーバのスペックとそのまま同じものを積み上げればよい」というのがサーバ仮想化のサイジングであるのに対して、VDIの場合はオーバーコミットが前提となります。いかにオーバーコミットを凝縮するかがテーマとなりますが、パフォーマンスとの兼ね合いになりますので、一朝一夕にはいきません。

成田 :サーバの場合、リソースを100%で使うことはほとんどありませんが、通常のPC運用の場面では、CPUの利用率が100%に達することは結構ありますからね。

岳野 :先に話題に上がった、VDIのストレージのキャパシティ・プランニングについても、基本はIOPSの積み上げで計算するのですが、仮想マシンの展開の仕方によってReadとWriteの割合も変動します。また、社員のワークスタイルに応じて、共有化された"仮想デスクトッププール"としてVDIを提供するのか、あるいは一人に一台ずつ個人用VDIを用意するのか、構成や展開の仕方も変わりますし、当然、必要となるリソース容量も変動します。したがって、現状のPCの利用方法や使用状況を把握することが適切なサイジングをする上で重要となります。

成田 :社員のワークスタイルの分類がきちんとできないと、一人に一台ずつ個人用VDIを用意する、という形になりがちです。実際、1,000人社員がいたら1,000パターンの仮想マシンがあり、さらにアプリケーションの個別導入ついても申請があったら許可する、という運用が行われているケースも見受けられます。その結果、VDIの運用管理が煩雑になってしまうのですが、一方で、ユーザにはVDIを理解しやすいという側面もあります。そうした場合には、サポートの負荷を抑制する手段として、VDI端末にシンクライアントを採用するという選択肢もあります。

オフライン環境でも
利用可能なVDIに期待

布谷 :VDIに関して、さまざまな新しいテクノロジーも登場していますが、注目しているものはありますか。

成田 :個人的には、ローカルのPC上でハイパーバイザーを用いて複数の仮想マシンを同時に稼働できる「クライアントハイパーバイザー」に注目しています。これにより、従来のようにVDIサーバ上で仮想デスクトップの同期やバックアップが行えることに加え、オフライン環境であってもVDIを利用できるようになります。このソリューションが進化すれば、VDIの利便性も向上し、案件が広がっていくと感じています。

古山 :通常はローカル側のVDIで作業を行い、オンライン時にはデータセンター上にあるVDIサーバに接続、バックアップや同期を行うというものですね。現在、米Dell Softwareでは「MokaFive」、「Dell vWorkspace」といったソリューションを用意しており、そうした活用を後押ししています。例えば海外では大学など教育機関での導入事例が増えていますね。オフラインでは学生が自分の所有するPC上でVDIを稼働させ、キャンパスに入ったらサーバに接続、同期やバックアップを行うといった、BYODのような利用が進んでいます。

成田 :オフラインでもVDIが利用できるようになれば、市場もさらに広がっていくと思います。実際、IT管理者にVDIを提案すると8割以上、オフラインでの利用の可否について問い合わせを受けます。「マネジメント層が飛行機や新幹線の中など、移動中でも仕事をしたい」ので、オフライン機能は必須であると。

最適なVDIシステムを
実現するためには

布谷 :最後に最適なVDI環境を実現していくうえで、考えなければならないことを聞かせてください。

古山 :VDIへの投資という話題については、当初に掲げられた目的がいかに実現できているか、すなわち、IT投資が適切に行われているのか、数値として目に見える形で評価できるようにしていくことが重要です。したがって、パフォーマンス・モニタリングをはじめとした管理ソリューションについても、その必要性を理解して頂きたいと考えています。現在稼働しているシステムが十分な性能を実現しているのか、それにより、いかに業務の効率化が図られているのかを数値として可視化できるようになれば、次のIT投資には何が必要なのか、戦略的な判断が行えるようになりますので。

成田 :これまで、オープン化やストレージの共有化、ネットワークの高速化など、多くの企業でさまざまなIT投資が進められてきました。しかし、テクノロジーありきで導入されているケースも見受けられ、「一巡して投資する対象がなくなった、ならば次はVDIを導入してみたい」という話をされるお客様もあります。しかし、「VDIありき」という、ITの"パーツ"を導入するのではなく、競争力を高めるためにVDIを導入する、といった目的意識が不可欠であると考えます。実際、IT予算が削減されるなか、適切な投資を行い企業の競争力を高めていくためには、IT化にあたり従来とは違う考え方が必要であると思います。Dellとしても、将来にわたって企業の競争力を高められるような提案を今後も行っていきたいですね。

岳野 :最適なクライアント環境を実現していくにあたり、VDIはその選択肢の一つでしかない、と考えています。また、業務を効率化し、かつコスト削減をしていくには、テクノロジーだけですべて解決できるわけではありません。目標を達成していくにあたり、テクノロジーでカバーできる領域は3割で、残りの7割は、業務におけるプロセス改善、そして明確なゴール設定にあると私は考えます。

新井野 :現状の業務にはどのようなものがあり、かつ社員のワークスタイルが業務にどう結びついているのかを熟慮すれば、VDI導入のプロジェクトもスムーズに進められるようになります。しかし、業務の洗い出しやヒアリングを後回しにすると、プロジェクトにかかる期間も長期化するだけでなく、過剰投資にもつながりがちです。そうしたことを念頭に置きつつ、限られたIT予算を効率的に活用しながら、VDIによる業務効率の向上やワークスタイルの革新を実現して頂きたいと思います。

Dell 仮想デスクトップ 関連サービスとソリューションのご紹介

■ Dell デスクトップ仮想化ソリューション(DVS)アセスメントサービス

Liquidware Labsの"Stratasphere FIT"を利用したデスクトップ仮想化アセスメントを提供しています。既存PCやアプリケーション環境に関する実データを基にした評価、分析、レポートを提供します。

■ 仮想化環境のパフォーマンス監視とキャパシティ管理を実現する、
Foglight for Virtualization Enterprise Edition(FVE):デルソフトウェア株式会社

Hyper-V とVMwareなどハイパーバイザのパフォーマンス管理の問題を解決するため、グラフィカルな優れた可視性を提供し、問題をより迅速に診断/解決します。また併せて仮想インフラストラクチャの監視、キャパシティ・プランニング(容量計画)、サービス管理、チャージバック(課金) など仮想化環境を運用する上で不可欠な機能が統合されています。

■ Wyseトータルシンクライアントソリューション : ワイズテクノロジー株式会社

独自OSを搭載したセキュアで管理性の高いシンクライアントを始め、Citrix HDX / VMware Horizon View 専用のゼロクライアント、ソフトウェア及びサービスを提供

■ 新VDIパッケージ Dell Active System BRS for VDI

「シンプル」「オールインワン」「End-to-End」をコンセプトに、PoCモデルから100シート、300シートモデルまでをラインナップ。事前検証、事前サイジング済みにより、VDI環境の企画と導入を迅速化します。

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