場所を問わないワークスタイルを実現し、「PCプラス」を担うための重要なソリューションであるVDI(Virtual Desktop Infrastructure)。クライアントPCからデスクトップOSの環境を分離し、サーバ上の仮想環境に集約するVDIは、昨今は事業継続の面からも重要性が高まっている。
だが、企業が仮想環境を本格的に導入し、PCプラスを推進しようとするなら、必ず考慮すべき優先度の高い項目がある。仮想環境に接続されるストレージ性能だ。
半導体技術の革新をベースにしたメモリやCPUのスペック向上は途切れず確実に続いているのに対し、ストレージのディスク性能は費用対効果に優れた性能進化が遅れている。その結果起きているのが、例えば、始業時刻に出社してきた従業員が一斉に仮想環境にアクセスすると全社的にレスポンスが急低下してしまう、いわゆる「朝9時問題だ」。この背景にあるのが、ディスクI/Oのボトルネックなのだ。
だからこそ、PCプラスを実現したければ、ストレージ環境の再考は避けて通れない。本稿は事例をベースに、その現実解を考察していきたい。
阪神高速道路株式会社
(本社:大阪市、2005年設立)
関西地域の高速道路網の新設や改築、維持などを通じて道路交通の円滑化を図る阪神高速道路株式会社は、いち早く「Hyper-V」でプライベートクラウドの構築に着手し、物理サーバの大幅な削減や運用管理の一元化など多くの成果を上げてきた。
前述のように、仮想化環境ではハードウエアの集約に伴うアクセスの集中、とりわけストレージへのアクセス負荷の上昇が処理のボトルネックの原因になりがちだ。そこで物理サーバ上で稼働させる仮想サーバの共有ストレージとして導入されたのが、計7台の仮想化ストレージ「EqualLogicストレージ」である。10ギガビットイーサネットに対応したiSCSIストレージであるEqualLogicなら、仮想化集約によって生じるアクセスの集中や負荷の増大にも十分対応できると判断した。
阪神高速道路が導入した
「EqualLogic PS6010XV」の後継機種となる「EqualLogic PS6110XV」
この取り組みは効を奏し、同社のクラウド環境は全社的な利用にまで拡大した。2011年には、グループウエアを中心とした社内業務支援系システムのほとんどをプライベートクラウドに移行。グループウエアの利用環境は関連会社にまで広げられ、総ユーザー数は1800人以上に達している。
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