急速な普及を続けるスマートフォンやタブレット。IDCによれば、タブレット出荷台数は2013年にノートPC全体の出荷台数を超え、2015年までにPC全体の出荷台数を上回る見込みだ。これらのデバイスを業務に積極活用していくのは、今後の大きな潮流となっていくはずだ。
そこで企業システムに求められるのは、特にセキュリティを高めてプライバシーを守ることや、しっかりしたサーバーインフラを整備することなど、モバイル機器単独ではなくシステム全体として考えることだ。こうしたなか、現状を「"PC+(プラス)"の訪れ」と見るのが、Dellのエバンジェリストである古川勝也氏だ。そこで本稿はインタビューを中心に、企業が意識すべき今後のITインフラのあり方を探っていきたい。
まず、今後の環境変化について聞かせて下さい。
Dell エバンジェリスト 古川勝也氏(以下略):「PC+時代」とは、皆さんがこれまで利用してきたPCに加えてもう一台、スマートフォンやタブレットといったモバイル機器を切り替えて利用するスタイルの時代です。スマートフォンやタブレットの出荷台数の急激な増加を見ても分かる通り、そのような時代がもう目の前まで来ているということは皆さんも実感されているのではないでしょうか。「PC+時代」においては、TPOに応じてユーザーがそれぞれのデバイスを使い分けるIT環境を、安全で確実に実現することが必要となります。
もちろん、PCはビジネス用途における中心的なデバイスとしてこれからも利用し続けられると考えています。それに加えて、LTEに代表されるような低コストで高速なモバイル通信環境が充実してきています。このような変化によって、時間と場所を問わず、最適なデバイスで業務が行える。そんなワークスタイルが実現できる環境が整えられつつあるといえるでしょう。
CNET JAPAN記事より、冒頭で紹介したIDCの市場予測だ。TPOに応じて最適なデバイスを使い分けるためには、それを支えるアプリケーションやエコシステムなども含めて考える必要がある。(http://japan.cnet.com/news/business/35032636/)
デルでは、お客様をとりまく「Transform, Connect, Inform, Protect」の4つのIT課題を解決することを重点施策としており、それぞれにオープンでエンド・ツー・エンドのソリューションを提供しています。今起こっている、「PC+時代」へのダイナミックな変革は、これら全ての課題に関連する潮流であり、お客様にとっても、我々にも非常に大きな革新を引き起こすと考えています。
PC+時代に考えるべきこと
いわゆるBYOD(Bring your own device)とは異なるのでしょうか。
スマートフォン、タブレットの急速な普及を背景に、社員が個人所有しているデバイスを活用して業務に取り込もう、ということがBYODというキーワードで語られていますが、端末だけ変えれば業務効率がアップするわけではありません。社員が持ち込む個人所有のデバイスをどう管理するのかといった対処療法的なことではなく、業務効率を最適化するためにIT環境全体をトータルで見直すことが本質であり、今BYODとして語られているデバイス中心の議論よりも広い視点が必要だと考えています。
より具体的に「PC+時代」において求められるIT環境とは、一体どのようなものなのでしょうか。
モバイル環境のデバイスは、いつでも、どこからでも接続してくる可能性があることを考えると、これまで以上にセキュリティが重要であると考えています。その際には、どこかのセキュリティを部分的に強化するということではなく、システムを構成する各要素のセキュリティを全体的に強化する必要があります。
それはつまり、セキュアなデバイスを用意すること。セキュアなネットワークに接続すること。セキュアなデータセンター環境を構築すること。そしてセキュアな環境全体を検査、確保、維持する仕組みを用意すること。この4つをしっかりと押さえたIT環境を整えていくということになります。
Dellでは、これら4つのポイントに対応したセキュリティ・ソリューションをご提供しています。
セキュリティへの要求も高まっています。ここへの対応に関しては、どうでしょうか。
これについては我々の大きな強みとして、長年に渡ってエンタープライズ向けにサーバー、ネットワーク、ストレージを提供していることがあります。データセンター環境を構築する点についても実績を積み重ねてきており、それをふまえて、よりセキュアなデータセンター環境を実現するために、セキュリティ分野への大規模な投資を行ってきました。たとえば、ネットワークセキュリティ製品のSonicWALL、セキュリティ運用管理サービスプロバイダーのSecureWorksなど、その分野でNo.1のソリューションを買収し、我々のセキュリティ・ソリューションに組み込んできました。
さらに、モバイル向けのノートPCはもちろん、「Latitude 10」のようなタブレットも提供しています。また、仮想デスクトップの分野も急成長していますが、この分野においてもWyseのようなシンクライアントソリューションも提供できます。
このように、Dellでは「PC+時代」を実現するためのセキュアなモバイルソリューションをワンストップで提供できることを強みと考えています。ビジネスにモバイル機器を活用する際に、我々のソリューションをご検討いただければと思います。
<取材を終えて>
Dellはこのように、「PC+時代」にEnd-to-Endで対応できるソリューションを提供できることを実現している。ユーザーの利用するモバイル端末から、セキュアなネットワークを通じてデータセンターにあるサーバーなどに接続するシステム全体の隅から隅までを提供できることに、Dellを選択する大きな理由があると言えるだろう。
次回以降は、セキュリティの詳細などを、さらに具体的に掘り下げていく。
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