一歩先行くクラウド活用術

企業規模で考えるクラウドバックアップのメリット

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 顧客のオンプレミスのデータを事業者が用意したクラウド環境にバックアップする、「クラウドバックアップ」あるいは「バックアップクラウドサービス」などのサービスには、どのようなメリットがあるのか。クラウドバックアップを手掛ける事業者が公開しているユーザー事例から、ユーザーの声をピックアップしてみよう。

中小事業所:「高嶺の花」に手が届く


 「以前はテープにバックアップを取って金庫などに保管していたが、クラウドバックアップに移行したことで作業の負担は減り、データの安全性も高まった」

 「バックアップ先の環境のケアをする必要がなくなり、本番システムの管理など通常業務に専念できるようになった」

 「システム管理の負担が減り、ひいてはコストの削減に」

 こういった声がよく聞かれるのは、規模的に小さめの事業所が多い。バックアップ専用に作られたバックアップクラウドサービスでは、高機能なバックアップ用ストレージを多くのユーザーとシェアする形になっており、規模の小さなユーザーにとって「高嶺の花」だった豊富な機能の恩恵に与れることが大きな魅力となっている。

 テープストレージは導入コストが比較的低く、実績があるメディアとあって根強いニーズがある。しかし、中小規模の事業所で導入できる価格帯のテープドライブでは、転送速度の都合からバックアップに時間がかかったり、テープの入れ替えなどの作業が欠かせない。


 また、事業所が災害に見舞われた場合を想定して金庫に保管したり、遠隔地に搬送して保管したりなどの運用をしている場合には、その負担もかかる。中小規模の事業所ではシステム運用スタッフも少ないことから、バックアップにまつわる作業が日々の業務の中で大きな割合を占め、重荷に感じられることも多いだろう。

 これに対し、クラウドバックアップでは、もとより遠隔地の事業者データセンターにデータを送ってバックアップを取るものだし、数本分のテープに相当する量のデータでも一括して転送できるため、テープ運用の負担はまったく不要になる。テープでは面倒だった差分バックアップや世代管理なども、ほとんど苦にならずに使える。

 また、リストアする際の時間や手間、確実性も、総合的に見てクラウドバックアップの方が有利だ。例えば差分バックアップからリストアする場合、リストアする現場に何本ものテープを抜けがないようにそろえ、順序を間違えないように注意して入れ替えながらサーバへ転送しなくてはならない。クラウドバックアップなら、バックアップデータにアクセスできる環境が整っていれば、リストアを開始したら、あとは終わるのを待つだけで済む。

中堅・大手企業:ハードルの低い選択肢に


 「導入は短期間で済み、コストも削減できた」

 「バックアップシステムの資産化を回避できた」

 「スモールスタートが可能になった」

 これらの声は、主に中堅規模以上の事業所で聞かれる声だ。もちろん、クラウドバックアップの利用を開始するのに必要な準備期間は中小企業でも大企業でもあまり違わないが、大規模なバックアップストレージを用意して、いくつものサーバにバックアップツールを設定し、その運用をテストして、確実に使えるようにするためには、相応の時間と人手を要するもの。導入準備作業の軽減というメリットは規模の大きなシステムを運用している企業ほど大きいと言えるだろう。

 大規模なバックアップシステムは当然ながら高額なものとなり、それを自社で持てば償却資産として経営に重くのしかかってくる。ずっと運用を続けるための人件費やメンテナンスなども含めると、相当なコストを払い続けなければならない。しかしクラウドバックアップを使えば、事業者に利用料を払い続けるだけであり、それらはすべて経費として処理できるので経理上も楽になる。

 事業拡大や買収などに伴ってバックアップ対象のシステムが増えたり、データが急増したりするような場面も、企業規模が大きいほど生じやすい。自社でバックアップシステムを持つ場合には、ストレージの増設などで少なからぬ時間と手間とコストが発生するのに対し、クラウドバックアップでは使っている容量や機能に応じて料金が増えるだけであり、将来的な不安も抑えられる。

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