カシオ計算機(以下、カシオ)といえば、デジタルカメラの原型ともいえる「QV-10」を生み出したメーカーとして知られる。そんなカシオが現在手掛けるデジタルカメラブランドが、ご存知「EXILIM」だ。"驚くべき"を表すラテン語の「エクシミウス」と英語の「スリム」を合わせた造語で"極めて薄い"という意味を持っている。そんな"EXILIM"も、今年で10周年。EXILIMの初代機「EX-S1」からスタートし、世界初の1000万画素機「EX-Z1000」や現在のHIGH SPEED EXILIMの礎となったハイスピードモデル「EX-F1」など、数々の製品が発売された。
今回は、そんなEXILIMの最新フラッグシップモデル「EX-ZR300」の開発者インタビューをお送りする。2012年6月に発売された同製品について、カシオ QV事業部 商品企画部 第二企画室の西坂信儀 氏に様々な質問をぶつけてみた。
--最新フラッグシップモデル「EX-ZR300」が2012年6月に発売されました。「HIGH SPEED EXILIM」を冠する製品ですが、まずは「HIGH SPEED EXILIM」の歴史について教えてください。
カシオ 西坂氏(以下略):
最新モデルである「EX-ZR300」は「HIGH SPEED EXILIM」の「ZR」シリーズとして6代目の製品となります。「HIGH SPEED EXILIM」としては、"基"となった「EX-F1」があり、シリーズ初のコンパクトモデルである「EX-FC100」へと続きます。それからずっとコンパクトボディなのですが、「EX-F1」の発売から「EX-FC100」が世に出るまで、その約一年でかなりの小型化を達成しました。一言で小型化といってもクリアするハードルは高く、特に発熱の問題などで苦労したことを覚えています。
「EX-FC100」の発売後、販売応援という形で店頭に立ちましたが、これが思いのほか反響がない。何故だろう、どうしてだろうと原因を追究していたところ、"高速連写"という"言葉"だけが先行していて、一般ユーザーにアピールしきれていないということ、そして、ユーザーニーズに応えられていないということが分かってきたのです。その反省を踏まえて開発したのが、「ZR」シリーズの1代目となる「EX-ZR10」というモデルです。このモデルには、「オートモード」の進化形である「プレミアムオート」を搭載しています。プレミアムオートとは、カメラが自動で撮影環境を認識し、最適な設定/処理を同時に行うのが特徴です。ただ、この機能はすでに他のモデルに搭載されていたこともあり、"わかりやすい差別化"という意味では、まだまだ開発の余地がありました。
--昨今、さまざまなデジタルカメラが登場しています。その中で"わかりやすい差別化"というとどのようなものになるのでしょうか? その"差別化"について教えてください。
そのことについては、実体験から学びました。「EX-FC100」の販売応援をしていた時期の休日、子どもの自転車の練習をしていたのですが、連れてきていたもう一人に目を向けた瞬間、よたよたとですが、補助なし運転ができてしまいました。練習に「EX-FC100」を持ってきており、はじめて運転できた瞬間を撮ってやろうと、そう意気込んでいたわけですが、思った以上に起動が遅くてタイミングを逃し、AF(オートフォーカス)が遅く慌てていたせいかボケボケの写真しか撮れませんでした。
失敗と割り切って、次の写真を狙うも画像処理中ですぐには撮れない。結果として、想定していた写真が撮れなかったという悔しい思い出があります。"次に乗ったところを撮ればいいじゃないか!"と、いう声もあるでしょう。しかし、親バカかもしれませんが、はじめての瞬間というものを残しておきたかったんです。
その時思ったのが、"起動やAFが速くて撮影間隔が短い"そんなカメラを自分は欲しい、という事でした。
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