OpenAIのAIチャットボット「ChatGPT」のライバルといえば、Googleの「Gemini」やMicrosoftの「Copilot」、Anthropicの「Claude」などを思い浮かべる人が多いだろう。だが、その競争相手のリストに、なんと1977年に発売されたレトロゲーム機「Atari 2600」が新たに加わった。
Citrixのエンジニアであるロバート・カルーソ氏が、1979年にAtariから発売されたゲーム『Video Chess』をソフトウェアエミュレーターで動かし、46年前のゲームとChatGPT(4oモデル)との異色のチェス対局を実現させたのだ。しかし、この勝負はChatGPTにとって思わぬ惨敗に終わった。
カルーソ氏はLinkedInへの投稿で、その衝撃的な試合内容を次のように振り返っている。
「ChatGPTは、ルークをビショップと勘違いしたり、ポーンによるフォーク攻撃を見落としたり、何度も駒の位置を見失った。最初は『Atariのアイコンが抽象的すぎる』と言い訳していたが、標準的なチェス記譜に切り替えたあとも改善はなかった。3年生のチェスクラブでも笑われるような凡ミスを繰り返し、初心者レベルのゲームに完膚なきまでに叩きのめされた」
さらにカルーソ氏によれば、90分間続いたこの対局中、ChatGPTは状況が悪化するたびに何度も「やり直したい」とリクエストを繰り返したという。
チェスは数十年にわたりコンピューターの計算能力を試す重要なベンチマークとなってきた。特に1997年、IBMのスーパーコンピューター「Deep Blue」がチェス界の伝説的プレイヤー、ガルリ・カスパロフを破った際には世界中で大きな話題となった。
今回の実験結果は、ChatGPTがチェスに全く役立たないということを意味するわけではない。しかし、ChatGPTはスーパーコンピューターのような高速な演算処理を得意とするAIではなく、あくまでも言語理解を目的とした言語モデルであるため、チェス対局にはあまり向いていないようだ。数年前にはChatGPT用のチェスプラグイン「ChessGPT」も登場しているが、OpenAIのチャットボットとはチェスの戦術を議論する程度にとどめておくほうが賢明かもしれない。
(国内編集部注:今回は言葉の数珠繋ぎに過ぎない4oモデルを用いたが、思考する「o3」モデルを用いれば結果が異なっていたかもしれない)
なお、OpenAIの広報担当者からは、本件に関するコメントを求めたものの、記事執筆時点では回答を得られていない。
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(更新)タイトルを「55年前→約50年前」に修正しました。
この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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