約80万個の銀河を収録したこの宇宙マップは、天球の0.54平方度(満月2.7個分の面積)をカバーする──。
遠く深い宇宙を自分の目でじっくり見てみたい――そんな願いを叶える絶好のチャンスがやってきた。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)が観測した膨大な宇宙データが一般公開されたのだ。なかでも注目は、約80万個もの銀河を収めたインタラクティブな宇宙マップ。ウェブブラウザ上で、様々なフィルターを使い分けながら、自宅にいながら宇宙空間を自由自在に巡ることができる。
このデータは、カリフォルニア工科大学(Caltech)の「Cosmic Evolution Survey(COSMOS)」プロジェクトによって6月5日から開始された。マップが描き出す範囲は天球上の0.54平方度で、これは今月見える満月(ストロベリームーン)を横に3つ並べたほどの広さに相当する。データの総容量は約1.5TBに達する膨大さだ。
マップには、宇宙誕生後わずか3億年後(約135億年前)に存在した銀河や恒星も含まれており、人類がこれまで観測した中で最も鮮明で深い、初期宇宙への視点を提供している。NASAの推定では宇宙の年齢は約138億年のため、宇宙の歴史の98%をカバーする地図とも言える。
この宇宙マップの規模は、これまで最大とされてきた天の川銀河のマップよりも面積的には遥かに広い。ただし、天の川銀河のマップはデータ容量が500TBを超えるため、データの規模という点では依然としてトップクラスだ。
今回の観測にはJWSTの高性能な近赤外線カメラ(NIRCam)が用いられ、そのうちの一部(0.2平方度)には中間赤外線装置(MIRI)も使用された。
約1.5TBに及ぶ膨大な観測データの中でも特に目を引くのが、自由に動かせるインタラクティブマップの存在だろう。マップ上の気になる天体をクリックすると、銀河や恒星の詳細なデータが瞬時に表示されるなど、宇宙探検の楽しみが広がっている。
もし興味がある場合、同プロジェクトが公開しているマップビューアーを試してみるといい。リンク先で「check it out!」ボタンをクリックすればマップが開く。読み込みが完了すると、70万個以上の銀河や天体を収めたやや正方形の画像が表示される。
マップを最大限に活用するには、画面右上にあるレイヤーとフィルターを使うのがコツだ。最初のボックスにはNIRCam RGBなど複数のビューが用意されている。次のボックスでは画像がタイル状に分割されており、どのセグメントをどの観測装置で撮影したかがわかる。
教育用途で重宝するのが3番目のボックスだ。ここでは注目すべき天体を輪郭表示でき、クリックするとカタログID(後で検索する際に便利)、各天体の生データ画像、光の波長などの追加情報が得られる。
画面左上のツールでは検索や設定変更が可能で、輝度を上げたり色相を変えたりして天体を見やすくできる。まずはあちこち眺めて“お宝”を探してみよう。設定を元に戻したいときはブラウザをリロードすれば初期状態にリセットされる。
データは複数の方法で入手できる。COSMOS2025プロジェクトは、観測結果をまとめた3本の論文を公開しており、1本目は観測対象を網羅したカタログ、残り2本は近赤外線と中間赤外線によるイメージング解析にフォーカスしている。
データ取得には指定フォームの記入が必要で、完了後にダウンロードが可能になる。丸ごと一括で落とすことも、個別タイルごとに取得することもできる。より詳細な手順や追加データはCOSMOS2025の公式サイトに用意されている。
大半のファイルはFITS形式で提供されるため、一般的なPhotoshopや画像ビューアーでは扱いにくい。NASAが信頼できるFITSビューワーのリストを公開しているので、それを利用するとよい。同データは初期宇宙の謎を解明する手がかりとなる見込みで、世界中の研究者が自由に利用できる点が大きな価値をもたらすだろう。
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この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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