日本電信電話(NTT)の島田明社長は5月8日、NTTデータの完全子会社化を正式発表した。
島田社長は、「今後のNTTグループの成長期待の中心はNTTデータ」と述べ、AIやクラウド、情報システムを手掛ける同社をグループの成長エンジンに据える考えを示した。
完全子会社化にあたって、NTTは5月9日から6月19日まで、NTTデータ株を1株4000円で公開買付け(TOB)で取得する計画だ。取得総額は総額2兆3000億円超に達し、成立後はNTTデータを上場廃止となる。
島田社長は「これからの成長期待はNTTデータグループの事業分野に集中している。軸足を定め、ヒト・モノ・カネをさらに投入することで世界市場で勝ち抜く」「NTTデータにNTTグループの前面に立ってもらう」と説明。グローバル事業で機を逃さないためには、意思決定を一本化することが不可欠としつつ、これまで資本構成が複雑でグローバル展開の障壁になっていたという。
以下、島田社長の発言──
「2022年10月に、NTTが保有していた海外ビジネスをNTTデータに統合した。その結果、データセンターといったインフラ層から上位レイヤーのアプリケーションまでフルスタックで提供できる、世界でもユニークなサービスプロバイダーに変身した」
「しかし現在、グローバルのNTT DATA Incの株主構成はNTTデータグループが55%、NTTが45%だ。さらに複雑なのはNTT DATA Incの配下にあるデータセンター事業で、NTT Global Data Centersの資本はNTT DATA Incが50%、NTT都市開発が20%、NTTとファイナンスとコミュニケーションズがそれぞれ10%ずつという具合に、資本が複雑化してしまっていた」
「こうした状況では、各株主の意向を調整しながら意思決定を行う必要があり、議論や承認に時間がかかってしまう。今の時代はアジャイルにいろいろなことが展開しているなかで、このスピードの遅さが大きな課題だった。そこで2024年9月から検討を始め、11月にNTTデータ側に打診。12月に正式検討を開始し、およそ半年にわたる議論を経て今回の決断に至った。要するに、(グローバル競争に勝ち抜くために)迅速な投資判断とサービス展開を可能にする体制が必要というのが、完全子会社化の目的だ」
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