Duolingoは現地時間4月29日、全社員向けのCEOメッセージをLinkedinに公開した。
CEOを務めるルイス・フォン・アン氏は文中で「何度も話してきたが、我々はAIファーストにかじを切る。働き方を根本的に見直す必要がある」と述べた。
「人間の作業を前提に作られた従来の仕組みを小手先で変えるだけでは不十分で、場合によってはゼロから再構築する必要がある」(ルイス氏)
「AIに自社コードを完全に理解させるには時間がかかる。それでも、技術が100%になるのを待つより、多少の品質低下を許容してでも迅速に動き、チャンスを逃さない道を選ぶ」(ルイス氏)
また、その過程でAIで代替できる業務の外部委託を段階的に廃止したり、採用や評価基準にAI活用を加えるなどの具体策も進めるという。ただし、これらは社員を置き換えることが目的ではなく「既存の優秀な社員がより創造的で本質的な仕事に集中できるように、AIを活用して障害を取り除く」意義があるという。そのため、社員へのAI研修やツールの提供も積極的に実施するとしている。
ルイス氏のメッセージの全文(日本語訳)は下記の通りだ。
「Q&Aや社内のさまざまな場で何度も触れてきたが、ここで公式に宣言する。DuolingoはAIファーストへと舵を切る。
AIはすでに仕事のやり方を変え始めており、それは「もし」や「いつか」の話ではなく、今まさに進行中だ。これほど大きな変化が押し寄せたときに最悪なのは、傍観して行動しないことである。2012年、私たちはモバイルに賭けた。当時は多くの企業がウェブの付属的存在としてモバイルアプリを作っていたが、私たちはモバイルファーストこそ未来だと信じ、開発の主軸を移した。その決断は2013年の「iPhone App of the Year」受賞と自然な成長につながった。
モバイルへの賭けが今日の成長の原動力になったように、今回はAIというプラットフォームに対して同じ規模の賭けをする。
AIは単なる効率化ツールではなく、私たちのミッションを大きく前進させる鍵だ。質の高い授業を提供するには膨大なコンテンツが必要だが、手作業だけでは追いつかない。最近、時間のかかる手動プロセスをAI駆動に置き換えたが、これは正しい判断だった。AIがなければ、世界中の学習者に必要なコンテンツを届けるのに何十年もかかってしまう。だからこそ、可能な限り早く教材を届ける責任が私たちにはある。
さらにAIは、GPT-4を活用したロールプレイ機能や新しいAIチューターなど、これまで実現が難しかった体験を可能にしてくれる。初めて、最高の人間講師と同等の指導を大規模に提供できる未来が現実味を帯びてきた。
AIファーストで進むには、働き方そのものを根本から見直さなければならない。人間の作業を前提に設計されたシステムを表面的に修正するだけでは不十分で、ときにはゼロから作り直す覚悟が必要だ。もちろん一夜で全てが完成するわけではないし、AIが自社コードを完全に理解するまでには時間がかかる。それでも技術が完璧になるのを待つより、多少の品質低下を許容してでも迅速に動き、チャンスを逃さない道を選ぶ。
この転換を後押しするため、次の建設的な指針を掲げる。
・AIで代替できる業務については外部業者への委託契約を段階的に終了する
・採用時の評価項目にAI活用能力を含める
・業績評価の指標にもAI活用度を盛り込む
・増員は、自動化で対応できない場合にのみ許可する
・ほとんどの部門で、仕事のやり方を根本的に変える具体的なイニシアティブを設ける
もっとも、私たちはこれからも人を大切にする会社だ。AIで社員を置き換えるのではなく、優秀なDuos(社員)が本領を発揮できるようボトルネックを取り除くことが目的である。創造的な仕事や実際の課題解決に集中してもらい、単純作業からは解放したい。そのために、より多くのトレーニング、メンタリング、そして職務に合わせたAIツールを提供する。
変化は不安を伴うものだが、これはDuolingoにとって大きな前進になると確信している。この一歩が私たちのミッションを推進し、Duosが常に最先端で成果を出し続ける助けになるだろう」
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