古いスマホ、使い続けて大丈夫?知っておくべきリスクと対策

Andrew Lanxon (CNET News) 翻訳校正: 川村インターナショナル2025年03月18日 07時45分

 Appleの「iPhone 16 Pro」とサムスンの「Galaxy S25 Ultra」には、現時点で最高水準のモバイル技術がつぎ込まれているが、その結果、どちらもかなり高価になっている。2025年現在で最上級のモデルが1000ドル(約15万円)を超えるとなれば、多くの人がもっと安価な選択肢を求めるは当然で、そうなると中古商品や旧モデルの購入を検討するのが有力な手段になってくる。中古品の購入は、新しいモバイル製品を手に入れる費用対効果の高い方法といえる。なにしろ、ハードウェア的には必要な機能を使うのに十分だし、端末を少しでも長く使い続ける方が、廃棄するよりずっと環境にやさしい。

茄子のイラストが表示されたスマホ 提供:Andrew Hoyle/CNET
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 だが、そのような古い端末は安価で済む反面、安全ではないおそれもある。旧型のスマートフォンは、搭載している「Android」や「iOS」が古くなっている可能性があり、その場合、ユーザーとデータを守るための重要なセキュリティアップデートが提供されなくなっていることが多い。最高のカメラ機能や最速のプロセッサーを望んでいるのでない限り、ハードウェア自体は問題なく使えることがほとんどだ。しかし、セキュリティがサポートされていないほど古いとなると、安全性は大幅に下がってしまう。セキュリティやプライバシーを心配しているのであれば(というより気にかけておくべきなので)、考慮すべき点を以下にまとめてみた。

  1. モバイルOSのセキュリティパッチとは何か
  2. スマホメーカーがセキュリティパッチを終了する理由
  3. 旧型のスマホを使い続けるのは安全ではないのか
  4. 自分のスマホが古いかどうかを判断する方法
  5. スマホがハッキングされたことに気づく方法
  6. 古いスマホを使っている場合の対策

モバイルOSのセキュリティパッチとは何か

 ハッカーは、スマートフォンのソフトウェア上で悪用できる脆弱性や抜け穴を見つけようと、常に目を光らせている。新たな抜け穴が見つかった場合、スマートフォンメーカーは通常、それを修正し、悪用されないようにその修正プログラムをユーザーの端末に送信する。これがセキュリティパッチだ。サイバー犯罪者は終始スマートフォンのセキュリティをかいくぐる新しい手口を狙っているので、私たちがスマートフォンを使っている間、おそらく何度もこのセキュリティパッチを受け取っている。終わりのないいたちごっこのようなもので、ハッカーが抜け穴を見つけては、ソフトウェアプロバイダーがパッチを発行する、その繰り返しだ。

 ほとんどの場合、自分の知らない間に行われているが、これこそスマートフォンを最新の状態に保ち、既知の脅威から保護してくれる仕組みだといえる。

スマホメーカーがセキュリティパッチを終了する理由

 サムスン、ソニー、Google、OnePlusなど、すべてのメーカーは、スマートフォンを一定期間しかサポートしない。新しいモデルが登場するたび、Androidがバージョンアップするたびに、新しい脅威の評価とパッチの発行が必要になる。そこに要する作業は膨大であり、モデルごとに抜け穴をそれぞれ検出してパッチを発行するという作業を一定の年数より長く続けるのは、現実的に不可能になる。

 その結果、Googleもスマートフォンメーカー各社も最終的に古い機種のサポートは打ち切らざるを得ない。そうなった端末はセキュリティアップデートが送られてこなくなるので、その機種で脅威が見つかったとしても、もはや修正されないのである。

旧型のスマホを使い続けるのは安全ではないのか

 セキュリティインテリジェンス企業Lookoutのディレクターを務めるChristoph Hebeisen氏はこう説明している。「セキュリティパッチが提供されなくなったデバイスを使うのは安全とはいえない。セキュリティ上の重大な脆弱性は数週間ごと、あるいは毎月のように明らかになっているので、システムがサポートされなくなった時点で、そのシステムを使い続けるユーザーは、既知の脆弱性を悪用される可能性が高くなる」

 Hebeisen氏によると、スマートフォンの脆弱性を放置した場合、スマートフォン上のあらゆる情報へのアクセスを許可した状態になってしまうおそれがあるという。個人のメールや勤務先のメール、連絡先、オンラインバンキングの詳細な情報、通話の音声などがその対象だ。そして、危険な状態になった端末を使い続ける限り、ハッカーはそうした情報にアクセスし続けるかもしれない。

ソフトウェアアップデートの通知 提供:Andrew Hoyle/CNET
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自分のスマホが古いかどうかを判断する方法

 自分のスマートフォンが今もサポート対象かどうか、セキュリティパッチが提供されているかどうかを確認するのは、容易でない場合も多い。まず、「設定」を開いてソフトウェアアップデートを確認し、利用可能な最新バージョンをインストールする。この段階で通常は、前回のアップデートがいつだったかを確認できる。OSは最新と表示されるが、そのインストールが何カ月も、あるいは何年も前である場合は、悪い知らせだ。そのスマートフォンは、おそらくもうサポートが終了している。

 残念ながら、あるモデルのサポートを終了する時点でメーカーからの通知はない。したがって、自分自身で上述の不本意な結果に気づくか、あるいは何か別の方法を使って自分で調べるしかないのが現状だ。

 以前は、スマートフォンのサポート期間は数年というのが普通だったが、幸いGoogleやサムスンなど多くの企業がその方針を改め、最新世代のスマートフォンについては最低7年のサポート期間を設けるようになった。Googleの最新モデル「Pixel 9」と「Pixel 9 Pro」は、セキュリティアップデートの提供が2031年8月まで続く。Appleの「iPhone XR」は、発売から6年経った今でも最新バージョンのiOSを利用できる。Fairphoneのように、最低8年間のサポートを保証しているメーカーもある。

 ただし、サポート期間が長くなったのは最近の傾向なので、中古市場で旧型を購入する場合は、サポート期間が今よりも短い可能性もあり、すでにサポート期間が切れていることも考えられる。

 自分のAndroid端末がサポートされているかどうかを確認するには、少し手間がかかる。サムスンは、筆者が同社の広報チームに連絡をとった結果、一覧表を送ってくれた。こちらのページでも公開されており、これを見れば現在どのモデルがアップデート対象かはひと目で分かる。ただし、そのアップデートがいつまで続くかは書かれていない。Googleでは、Pixelのモデルごとにセキュリティサポート終了時期が分かるページが用意されている(念のためお伝えしておくと、「Nexus」もPixelも、2021年モデルの「Pixel 5a」まで含めた旧モデルはすべてサポートが終了している)。使っているスマートフォンのメーカーのウェブサイトで、サポートページを検索するところから始めてみよう。

 自分のスマートフォンが古くなっていても、すぐには気づかないかもしれない。OSが古くなっていることに気づきやすいのは、おそらく新しいアプリのダウンロードを試みるときだろう。端末のソフトウェアやハードウェアの制限から対応しなくなるアプリは多く、そうなると、そのアプリのインストールはできない。

スマホがハッキングされたことに気づく方法

 仮に自分のスマートフォンのセキュリティが破られたとしても、それに気づくのは難しい。サイバー犯罪者はデバイスにアクセスした痕跡を露骨に残したりしないので、自分で兆候を探さなければならない。画面にポップアップが表示されたり、ダウンロードしていないのに突然アプリが出現したりするのは、大きな目印になる。

 データ使用量が不意に増えたときも要注意だ。悪意のあるアプリがバックグラウンドで大量のデータを消費している兆候かもしれない。そのほか、バッテリーの使用量が増える、パフォーマンスが落ちるといった現象も目安になるが、そのどちらも経年劣化した旧型のハードウェアが原因という可能性もある。

古いスマホを使っている場合の対策

 Hebeisen氏が言うように、サポート期間が切れたスマートフォンはとにかく使わないことが最も望ましい。お金に余裕がなく買い換えられない場合、あるいは何らかの理由で一時的に古いスマートフォンを使わざるを得ない場合には、安全策の足しになる手段がいくつかある。

 まず、最新のソフトウェアがインストールされているかどうかを確認しよう。中古品を購入した場合は、必ず端末を出荷時の状態にリセットする。Androidの場合、アプリは必ず「Google Play」ストア(サードパーティーや非公式のアプリストアからではなく)からダウンロードする。ウェブサイトからAPKファイルをダウンロードしてアプリをインストールすることは避ける。APKファイルからのインストールは、不正なソフトウェアの侵入経路になりがちだからだ。

 個人情報を保護するには、そもそも情報を過剰に入力しないようにすればよい。その端末ではオンラインバンキングを使わない、会社のメールアカウントと同期しない。そして、安全なデバイスをまた使えるようになるまで、きわどい画像や性的なビデオチャットを送るのは控えること(機械の上でも、性をめぐる安全を心がけるのは大切だ)。Hebeisen氏によると、このような対策を講じなかった場合は、「デバイス上で行われるあらゆることが攻撃者に監視されたり、操作されたりしてしまう可能性がある」という。恐ろしいことだが、これが現実なのだ。

この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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