米Intuitive Machinesは日本時間3月7日未明、月面着陸プロジェクト「IM-2」で月面着陸を試みた。着陸船「Nova-C」(別名Athena)は月面に到達し、太陽光発電や地球との通信も継続しているが、着陸姿勢に問題が生じている模様だ。
同探査車は、日本の民間企業、ダイモンが開発した月面探査車「YAOKI」も搭載している。なお、YAOKIの公式X(旧Twitter)は、着陸後もYAOKIの温度計データが継続して取得できていると投稿した。
着陸はおおむね順調に見えた。通信が一部途切れたが、Nova-Cは地球との交信を維持し、降下中の画像も送信している。月着陸の1時間ほど前からYouTubeでのライブ配信も実施しており、見逃した場合も後から確認できる。
着陸のライブ配信が終了した時点で、同社は「Nova-C」の着陸、および太陽光発電も確認した。しかし、着陸の向きや安定した着陸が実現できているかが不明で、同社は引き続きデータの収集に努めているという。
民間企業による月面着陸をめぐっては、米Firefly Aerospaceは3月2日に「Blue Ghost」ミッションを実施。フルサクセスでの民間月面着陸を成功させたばかりだ。なお、着陸後の姿勢が不明という点は、日本のJAXAが実施した「SLIM」を彷彿とさせる状況だ。
同ミッションは、NASAが進める「商業月面輸送サービス」の一環で、民間企業を活用しながら月へ物資を輸送する取り組みの一部だ。NASAは「アルテミス計画」によって、月面に宇宙飛行士を再び送り込み、長期的な人類の活動拠点を作ろうとしている。IM-2はその実現に向けた輸送を支援する。NASAは最新の声明で「同着陸船には、月の表面から燃料や酸素を生産できるかを調べる技術が搭載されている」と説明していた。
Intuitive Machinesの着陸船Nova-Cは、NASAと民間企業が開発したホッピングドローン、複数の小型ローバー、そして月面掘削装置などの科学機器を搭載している。前述の「YAOKI」もその1つだ。
Nova-Cは米国時間2月26日、SpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられた。3月6日午前9時32分(日本時間3月7日午前2時32分)に着陸予定だった。場所は月の南極付近で、NASAも将来の有人ミッションで着陸の候補に位置づけているエリアだ。
Nova-Cは太陽光発電で動力を得る設計で、すべて順調なら着陸後、約半月続く「月の夜」が到来するまで、およそ10日間の運用が見込まれている。
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